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四・知恵の宝庫を探検する
知恵の宝庫を探検する(3)
しおりを挟む「ここに来てる他の人にも、これを知らせた方が?」
「……そうね。今のところは、協力しあった方がいいし」
桜(さくら)は、わたしたちを"仲間”と言った。
わたしだって円の言いなりに答えを当てて、相手を消したくはない。
たとえ、マスターの言いなりになるしかないとしてもだ。
始めてしまえば、もう止められなくなる気がする。だれかを消さなければ、自分が負ける。
そんなサバイバルゲームを、本当なら始めたくはない。
仲間を求めていると言う意味では、ここにいる人たちは同意見に思える。
「じゃあ、ここに呼んできます。みんなに見てもらう方がいいですよね?」
わたしは、一度部屋を出て他の人たちを呼んだ。
「と、いうわけです。みなさん、どう思いますか?」
「どうって。まあ、一応は踏まえておくか?ってくらいだな」
高山郁生(たかやま・いくお)はあんまり信じてなさげな返事。
えっ?そんなもん?
中村えりを見ると、うんうんうなずいている。
「もし、今後その通りだったら信じてもいいかな?」
「白情報と黒情報って、どうやって見分けるのかな?」近藤七瀬が口を滑らす。
みんなが、しっ!と口に指を当てる。
「あ、ごめん」もう!どこで見られてるかわかんないんだから。
あちこちにカメラが仕掛けられて、わたしたちをずっと見張っているんだ。
白と黒。説明こそないが、色としては白の方が正しそうだ。
黒は間違い、もしくは人をだまそうとするニセ情報。そういう意味だろう。
できるだけカメラから離れて話をした。
そして、パソコンの電源を落とすときに……アドバイス通りにファイルをアイコンごと消した。わたしたち六人は、こっそりと協力しあうことを約束した。
今までずっと不安だらけだった胸の内に、温かな光がともるように感じた。
だって、わたしはずっと仲間が欲しかったんだから。
ピンポンパンポーン。
脳天気な、明るい音がスピーカーから流れた。
六時から夕食だからそれまで寮へ戻って、各自の部屋を確認しろと。
わたしたちは、何もなかったように寮へ向かう。
桜が言った通り、他の人たちとはちがう道を歩み出したのだ。
お互いを攻撃するのではなく、協力しあうと。最後までこれで乗り切れるかは、わからないけど。
でも、どうしても円に反抗したい。言いなりになりたくない。
わたしたちはジャングルの草原で食い合う、猛獣ではない。
人間なんだから。
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