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三・運命の分岐点
運命の分岐点(3)
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結局、五人は戻ってきてまた最初の人数がそろった。
ほっとため息をつく。こんなんじゃ、終わるまでに精神的に参ってしまう。
ふいに、黒板上のスピーカーから、ピンポンパンポーン、と音がした。
「みなさんに新しいお知らせです。午後三時から、学生寮が入れるようになります。それから三時から図書館も開放します!」
はずむ声は、また円のものだった。無神経なくらい楽しそうだ。
「図書館?何でこんなところで?本、なんて」
そう思ったけど、わたしは少しして向かうことを決めた。
なぜなら、本というものは知恵の宝庫のはずだから。
本がたくさんある図書館は、生き延びる方法を教えてくれるのではないか。
三時のチャイムがなり、各自の寮の部屋へ入れるようになった。
でも、そっちよりも図書館が先だ。
地図で自分の部屋を確認すると、わたしは寮からまた校舎へと戻る。
わたしの他にも、ばらばらと何人かがついてきた。
別に示し合わせたわけではなかったけど、図書館にはわたし含め六人がたどり着いた。
「何だ、あんたも来たの?」
「そっちこそ」
わたしは中村えり(なかむら・えり)に声をかけた。えりもわたしを気になっていたらしい。
他に高山郁生(たかやま・いくお)、近藤七瀬(こんどう・ななせ)、恩田桜(おんだ・さくら)、長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)が集まった。
「何、読書好きなのか?」
「はい。学校では図書委員でしたので」と、わたし。
「何、みんな読書オタク?」そう言ったのは長谷川祐紀だった。
「そうよ。知恵の宝庫・図書室にはきっと何か大切な情報があるはず」
同じことを考えた。わたしは、声の先を見る。
恩田桜もわたしを見て微笑む。
「よろしく。わたしたち、きっといい仲間になれそう」
「だな」と、高山郁生がうなずく。
「仲間って何です?わたしたち、敵同士ですよ?」と、近藤七瀬。
「やあだ、円の言うこと真に受けてんの?そんなんじゃ生き残れないわよ?」恩田桜がそう言った。
「恩田先輩。それって」言いかけたわたしに、そっと人指し指を立てて止める。
「桜でいいわ。きっとここに集まることが、ひとつの分かれ道のはず」
「どういう意味、です?」
「そのうちわかる、たぶんね」
でも、わたしはうなずけないままだまった。
ほっとため息をつく。こんなんじゃ、終わるまでに精神的に参ってしまう。
ふいに、黒板上のスピーカーから、ピンポンパンポーン、と音がした。
「みなさんに新しいお知らせです。午後三時から、学生寮が入れるようになります。それから三時から図書館も開放します!」
はずむ声は、また円のものだった。無神経なくらい楽しそうだ。
「図書館?何でこんなところで?本、なんて」
そう思ったけど、わたしは少しして向かうことを決めた。
なぜなら、本というものは知恵の宝庫のはずだから。
本がたくさんある図書館は、生き延びる方法を教えてくれるのではないか。
三時のチャイムがなり、各自の寮の部屋へ入れるようになった。
でも、そっちよりも図書館が先だ。
地図で自分の部屋を確認すると、わたしは寮からまた校舎へと戻る。
わたしの他にも、ばらばらと何人かがついてきた。
別に示し合わせたわけではなかったけど、図書館にはわたし含め六人がたどり着いた。
「何だ、あんたも来たの?」
「そっちこそ」
わたしは中村えり(なかむら・えり)に声をかけた。えりもわたしを気になっていたらしい。
他に高山郁生(たかやま・いくお)、近藤七瀬(こんどう・ななせ)、恩田桜(おんだ・さくら)、長谷川祐紀(はせがわ・ゆうき)が集まった。
「何、読書好きなのか?」
「はい。学校では図書委員でしたので」と、わたし。
「何、みんな読書オタク?」そう言ったのは長谷川祐紀だった。
「そうよ。知恵の宝庫・図書室にはきっと何か大切な情報があるはず」
同じことを考えた。わたしは、声の先を見る。
恩田桜もわたしを見て微笑む。
「よろしく。わたしたち、きっといい仲間になれそう」
「だな」と、高山郁生がうなずく。
「仲間って何です?わたしたち、敵同士ですよ?」と、近藤七瀬。
「やあだ、円の言うこと真に受けてんの?そんなんじゃ生き残れないわよ?」恩田桜がそう言った。
「恩田先輩。それって」言いかけたわたしに、そっと人指し指を立てて止める。
「桜でいいわ。きっとここに集まることが、ひとつの分かれ道のはず」
「どういう意味、です?」
「そのうちわかる、たぶんね」
でも、わたしはうなずけないままだまった。
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