19 / 61
七・始まっていたゲーム
始まっていたゲーム(1)
しおりを挟む
わたしたちは、ばらばらに食堂へと帰った。
もちろん、図書館で集まっているメンバーだとばれないようにだ。
そろそろ昼食の時間だ。でも、食堂の列に並んでいるうちに、何だかみんな落ち着かないでいることに気づいた。
目の前の二人は、どっちも男子。中一?二人は学年ちがいなのかな?わかんない。
「ついにやったらしいですよ」
「聞いた。あいつだろ?やっぱそうだな、と思ったんだ」
「でも、それでどうなったんですかね?」
「中一の女子を、消しちまったってさ。自慢げに言ってた」
えっ。
「ねえ、それどういうこと……です、か?」わたしはつかみかかる勢いで、問いただした。
片方は学年が上っぽい。敬語をとってつけた。
「中二の三村ってやつが、バトルに成功したんだってさ」
「だれにですか?」
「よく知らない。おとなしそうな女の子だって聞いた、けど」
中一の女子はわたし含めて全部で六人。列を見ると、名札なしでも顔で覚えてる子は何人かいる……。そうなると、わたしがまだよく知らない子?
三村一紀は最初から、印象が悪かったから覚えている。
本当にバトルして、相手を消してしまったんだろうか?
そんな戦いなんてやらない、とっとと脱落する……なんて言ってたくせに。
円の誘いにまんまと乗るなんて……本当にこわい人だな。
と、わたしたちの前にだれかが立ち止まった。
「何?おれのこと噂してんの?」
三村一紀だった。
うわあ。
「いえ、何でもないっす。な?」
「え、うん。そうです。何でもないです」
二人はぺこぺこしている。でも、わたしは同じにはできなかった。
なぜって、三村一紀の目はぎらついて……普通じゃなかったから。
「バトルで勝っちゃったよ。案外、簡単だった」
悪びれず堂々と言った。にやついた口元。
こわい。
「だれ、を消したんですか?」わたしは、震える声で聞いた。
「だれだっけ。名札も見ないうちだったしな。メガネをかけた、小柄な子だったよ」
何で、名前もわからないのに……バトルできるの?
「あのお。どうやって、当てたんですか?」
どっちの男子も、いつの間にか真顔になっていた。
「ふふん。知りたい?」一紀は、ますますいやらしい顔で笑いかける。
「ええ、ぜひとも!」
そろって拝むようにうなずく。
何これ?みんなおかしくなってる。
「……って、教えるわけねえだろ?自分でやれよ!」
三村一紀は、ふいっと立ち去ってしまった。
「むかつくなあいつ!さすが卑怯なやつ!」
「そういうやつだとは思ってましたよ。まじむかつく」
うーん。この二人も、裏表が激しいな。
もちろん、図書館で集まっているメンバーだとばれないようにだ。
そろそろ昼食の時間だ。でも、食堂の列に並んでいるうちに、何だかみんな落ち着かないでいることに気づいた。
目の前の二人は、どっちも男子。中一?二人は学年ちがいなのかな?わかんない。
「ついにやったらしいですよ」
「聞いた。あいつだろ?やっぱそうだな、と思ったんだ」
「でも、それでどうなったんですかね?」
「中一の女子を、消しちまったってさ。自慢げに言ってた」
えっ。
「ねえ、それどういうこと……です、か?」わたしはつかみかかる勢いで、問いただした。
片方は学年が上っぽい。敬語をとってつけた。
「中二の三村ってやつが、バトルに成功したんだってさ」
「だれにですか?」
「よく知らない。おとなしそうな女の子だって聞いた、けど」
中一の女子はわたし含めて全部で六人。列を見ると、名札なしでも顔で覚えてる子は何人かいる……。そうなると、わたしがまだよく知らない子?
三村一紀は最初から、印象が悪かったから覚えている。
本当にバトルして、相手を消してしまったんだろうか?
そんな戦いなんてやらない、とっとと脱落する……なんて言ってたくせに。
円の誘いにまんまと乗るなんて……本当にこわい人だな。
と、わたしたちの前にだれかが立ち止まった。
「何?おれのこと噂してんの?」
三村一紀だった。
うわあ。
「いえ、何でもないっす。な?」
「え、うん。そうです。何でもないです」
二人はぺこぺこしている。でも、わたしは同じにはできなかった。
なぜって、三村一紀の目はぎらついて……普通じゃなかったから。
「バトルで勝っちゃったよ。案外、簡単だった」
悪びれず堂々と言った。にやついた口元。
こわい。
「だれ、を消したんですか?」わたしは、震える声で聞いた。
「だれだっけ。名札も見ないうちだったしな。メガネをかけた、小柄な子だったよ」
何で、名前もわからないのに……バトルできるの?
「あのお。どうやって、当てたんですか?」
どっちの男子も、いつの間にか真顔になっていた。
「ふふん。知りたい?」一紀は、ますますいやらしい顔で笑いかける。
「ええ、ぜひとも!」
そろって拝むようにうなずく。
何これ?みんなおかしくなってる。
「……って、教えるわけねえだろ?自分でやれよ!」
三村一紀は、ふいっと立ち去ってしまった。
「むかつくなあいつ!さすが卑怯なやつ!」
「そういうやつだとは思ってましたよ。まじむかつく」
うーん。この二人も、裏表が激しいな。
0
お越しいただきありがとうございます。
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
命がけの投票サバイバル!『いじめっ子は誰だゲーム』
ななくさ ゆう
児童書・童話
見知らぬ教室に集められたのは5人のいじめられっ子たち。
だが、その中の1人は実はいじめっ子!?
話し合いと投票でいじめっ子の正体を暴かない限り、いじめられっ子は殺される!!
いじめっ子を見つけ出せ!
恐怖の投票サバイバルゲームが今、始まる!!
※話し合いタイムと投票タイムを繰り返す命がけのサバイバルゲームモノです。
※モチーフは人狼ゲームですが、細かいルールは全然違います。
※ゲーム参加者は小学生~大人まで。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
【完結】カラ梅雨、美津希! ―蛙化女子高生の日常―
ginrin3go/〆野々青魚
児童書・童話
完結しました!
川原美津希(かわはらみづき)は高校一年生。
彼女は憧れの先輩にひとめぼれしてしまい、カナヅチにもかかわらず水泳部へと入部してしまう。
いくら頑張ってもまともに泳ぐことすらできない美津希。
記録会を前にした練習で溺れてしまうという失態を演じ、とうとう退部を決意する。
その日の夜、彼女の身にとんでもないことが起こる。
SF(すこしふしぎ)系のぬるいお話。全11話 約2万2000字の短編です。
※本作は奨励賞を頂戴した長編のプロトタイプ的な作品で、作中、似たシチュエーションがあります。
今回はあえてその部分は変更せず、そのまま公開いたします。
山姥(やまんば)
野松 彦秋
児童書・童話
小学校5年生の仲良し3人組の、テッカ(佐上哲也)、カッチ(野田克彦)、ナオケン(犬塚直哉)。
実は3人とも、同じクラスの女委員長の松本いずみに片思いをしている。
小学校の宿泊研修を楽しみにしていた4人。ある日、宿泊研修の目的地が3枚の御札の昔話が生まれた山である事が分かる。
しかも、10年前自分達の学校の先輩がその山で失踪していた事実がわかる。
行方不明者3名のうち、一人だけ帰って来た先輩がいるという事を知り、興味本位でその人に会いに行く事を思いつく3人。
3人の意中の女の子、委員長松本いずみもその計画に興味を持ち、4人はその先輩に会いに行く事にする。
それが、恐怖の夏休みの始まりであった。
山姥が実在し、4人に危険が迫る。
4人は、信頼する大人達に助けを求めるが、その結果大事な人を失う事に、状況はどんどん悪くなる。
山姥の執拗な追跡に、彼らは生き残る事が出来るのか!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる