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第1幕

発見

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優子は、静まり返った部屋の中でスマートフォンを手にしていた。大谷が姿を消してからというもの、日常がすっかり変わってしまった。これまで信じていたものすべてが崩れ去り、優子は孤独と絶望の中で、かすかな救いを求めていた。

「誰かに、助けてほしい……」

そんな願いを込めて、彼女は画面に「結婚詐欺 被害者 相談」などと入力した。次々に表示されるリンクの中には、詐欺被害に関する情報や相談先がいくつもあったが、どこか心に響くものがない。ただ単に「弁護士に相談を」「警察へ通報を」といった冷たいアドバイスが羅列されるページばかりだった。

何度もページをスクロールし、画面をタップしては戻り、また検索しては別のリンクを開く。もしかしたら、彼の行方を捜せる何かが見つかるかもしれない。少しでも自分の気持ちに寄り添ってくれる人がいるかもしれない――そんな淡い期待と不安が、優子の心を支えていた。

そんな時、ふと彼女の目に「リーガルアシスタンスネットワーク(LAN)」という名前が飛び込んできた。見たことのない名前だったが、何か引き寄せられるように、そのリンクをタップした。

---

画面が切り替わると、そこには柔らかな色合いの背景と、優しいフォントで綴られた言葉が並んでいた。どこか温かさを感じさせるデザインで、目に痛くない柔らかなトーンが優子の心を少し和らげた。

「ひとりじゃない。あなたの声に、真心で応えます」

その言葉が画面の冒頭に大きく表示されていて、優子の視線はそこに釘付けになった。

「ひとりじゃない……」

その言葉はまるで彼女の心に直接語りかけてくるかのようで、涙が自然と目に滲み始めた。ずっと一人で抱え込んでいた痛みが、少しだけ軽くなったような気がした。これまで誰にも話せなかった苦しみや不安を、この場所なら聞いてもらえるかもしれないという期待が、彼女の心の中でふくらんでいく。

LANのサイトには、被害者支援や法的サポートの詳細が丁寧に記載されていた。通常の法律相談だけでなく、カウンセリングや心理的なサポートも提供していることがわかり、優子はこのサイトに対してどんどん信頼感を抱いていった。 

「ここなら相談できるかもしれない……」

そう思いながら、優子はさらにページを読み進めていった。ページの至るところに「あなたの苦しみを共に受け止めます」「法的救済が難しいケースにも対応します」といった言葉が並び、自分の心が少しずつほどけていくのを感じた。今まで感じたことのない「救われるかもしれない」という感覚が、彼女の胸に芽生えていた。

さらにサイトを読み進めると、LANが依頼者一人ひとりに寄り添い、問題解決に向けた包括的な支援を行っていることがわかってきた。これまでの検索結果とは違い、LANのサイトはどこか人間味があり、「私たちはここにいます」というメッセージが優子の心に深く届いた。

彼女はしばらくの間、画面を見つめたまま考え込んでいた。ここまで寄り添ってくれる場所が本当にあるのか、半信半疑ではあったが、「ひとりじゃない」という言葉が彼女の中で大きくなり、自然とスマートフォンを握る手に力が入った。

「ここなら、話せるかもしれない……」

自分にそう言い聞かせるように、優子はついに「相談予約」のページへ進んだ。
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