21 / 37
第4章 近況報告
1.隼人からの連絡
しおりを挟む
フィレンツェでの生活が始まってから数ヶ月が過ぎ、隼人は忙しい日々の中で少しずつイタリアの文化に馴染んでいった。ホテルの業務にも慣れ、新しい環境での経験は彼にとって多くの学びをもたらしていたが、心の中にぽっかりと空いたような感覚があった。それは、日本にいる翔のことを思い出すたびに一層強まっていく。
ふとした瞬間、フィレンツェの美しい街並みや文化に触れるたびに、隼人は「翔にもこの景色を見せたい」と感じていた。そして、翔と過ごした青海の宿での日々が何度も頭をよぎった。彼とのやりとりや些細な会話さえ、今となっては懐かしく、何かを共有したいという気持ちが募るばかりだった。
その思いが募る中、ある日、隼人は翔にメッセージを送る決心をした。スマートフォンを手に取り、しばらく考え込んだ後、画面に「元気にしてるか?」と入力した。その後、イタリアでの生活や研修の様子も少し加える。具体的なエピソードを交えながら、フィレンツェでの経験がどれほど刺激的であるか、そして充実していることを伝える内容にした。
「元気にしてるか?こっちは毎日忙しいけど、充実してるよ。フィレンツェの街は本当に美しくて、毎日新しい発見があるんだ。最近は仕事も少しずつ慣れてきて、研修先のスタッフとも仲良くなったよ。そっちはどう?健一は成長してるかな?」
メッセージを送った後、隼人は画面を見つめたまま、心が少しだけ軽くなるのを感じた。翔との距離を感じながらも、こうしてメッセージを通じて繋がっていることで、彼の存在が自分の中で特別なものであることを再認識した。
翔からの返信を待つ間、隼人はふと笑みを浮かべた。研修での成長ももちろん大切だったが、翔に会いたいという気持ちがますます強まっていることに気づいてしまったのだ。彼への想いが、ただの仲間以上の何かであることを、隼人は次第に自覚しつつあった。
ふとした瞬間、フィレンツェの美しい街並みや文化に触れるたびに、隼人は「翔にもこの景色を見せたい」と感じていた。そして、翔と過ごした青海の宿での日々が何度も頭をよぎった。彼とのやりとりや些細な会話さえ、今となっては懐かしく、何かを共有したいという気持ちが募るばかりだった。
その思いが募る中、ある日、隼人は翔にメッセージを送る決心をした。スマートフォンを手に取り、しばらく考え込んだ後、画面に「元気にしてるか?」と入力した。その後、イタリアでの生活や研修の様子も少し加える。具体的なエピソードを交えながら、フィレンツェでの経験がどれほど刺激的であるか、そして充実していることを伝える内容にした。
「元気にしてるか?こっちは毎日忙しいけど、充実してるよ。フィレンツェの街は本当に美しくて、毎日新しい発見があるんだ。最近は仕事も少しずつ慣れてきて、研修先のスタッフとも仲良くなったよ。そっちはどう?健一は成長してるかな?」
メッセージを送った後、隼人は画面を見つめたまま、心が少しだけ軽くなるのを感じた。翔との距離を感じながらも、こうしてメッセージを通じて繋がっていることで、彼の存在が自分の中で特別なものであることを再認識した。
翔からの返信を待つ間、隼人はふと笑みを浮かべた。研修での成長ももちろん大切だったが、翔に会いたいという気持ちがますます強まっていることに気づいてしまったのだ。彼への想いが、ただの仲間以上の何かであることを、隼人は次第に自覚しつつあった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
隼人と翔の休日
中岡 始
BL
三条美玲の炎上事件によって、隼人の心には深い傷が残った。恋愛に対する不安やためらいを抱き、穏やかな表情の裏には重苦しい影が漂っている。自信を失い、心を閉ざしつつあった隼人に、さりげなく支えの手を差し伸べたのは同期入社の翔だった。「いつでも話していいから」とかけられた一言が、彼の心を救うきっかけとなる。
そんな二人に、松永総支配人から3日間の休暇が与えられ、山間の秘湯「深緑の宿」で心を癒す旅が始まる。紅葉に包まれた静かな温泉旅館での時間が、隼人の心を少しずつ解きほぐし、彼の中に眠っていた翔への特別な感情を浮かび上がらせる。そして、女将・山崎美沙子との対話が、隼人をさらに自分の本当の気持ちへと導いていく。
旅の終わり、二人が展望台で見つめ合ったその瞬間――言葉にしなくても通じる想いが二人の間に流れ、彼らの関係は新たな段階に踏み出そうとしている。この旅が、隼人と翔をどこへ導くのか。心の傷が癒されるとともに、二人の絆が深まるストーリーが今、静かに幕を開ける。
※「三条美玲の炎上」のスピンオフ小説となります。
https://www.alphapolis.co.jp/novel/560205036/618916300
↑三条美玲の炎上

【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

初恋はおしまい
佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。
高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。
※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。
今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。
後輩に嫌われたと思った先輩と その先輩から突然ブロックされた後輩との、その後の話し…
まゆゆ
BL
澄 真広 (スミ マヒロ) は、高校三年の卒業式の日から。
5年に渡って拗らせた恋を抱えていた。
相手は、後輩の久元 朱 (クモト シュウ) 5年前の卒業式の日、想いを告げるか迷いながら待って居たが、シュウは現れず。振られたと思い込む。
一方で、シュウは、澄が急に自分をブロックしてきた事にショックを受ける。
唯一自分を、励ましてくれた先輩からのブロックを時折思い出しては、辛くなっていた。
それは、澄も同じであの日、来てくれたら今とは違っていたはずで仮に振られたとしても、ここまで拗らせることもなかったと考えていた。
そんな5年後の今、シュウは住み込み先で失敗して追い出された途方に暮れていた。
そこへ社会人となっていた澄と再会する。
果たして5年越しの恋は、動き出すのか?
表紙のイラストは、Daysさんで作らせていただきました。

【完結】義兄に十年片想いしているけれど、もう諦めます
夏ノ宮萄玄
BL
オレには、親の再婚によってできた義兄がいる。彼に対しオレが長年抱き続けてきた想いとは。
――どうしてオレは、この不毛な恋心を捨て去ることができないのだろう。
懊悩する義弟の桧理(かいり)に訪れた終わり。
義兄×義弟。美形で穏やかな社会人義兄と、つい先日まで高校生だった少しマイナス思考の義弟の話。短編小説です。
【完結】雨降らしは、腕の中。
N2O
BL
獣人の竜騎士 × 特殊な力を持つ青年
Special thanks
illustration by meadow(@into_ml79)
※素人作品、ご都合主義です。温かな目でご覧ください。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる