メンヘラ×メンヘラ=恋、暴走中!?~お前なしじゃ生きられない!…いや、マジで無理だから!

中岡 始

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卒業式、俺より先に泣くな!

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式が終わり、卒業証書を手にしたまま、真尋は大学の正門前に立っていた。  

周囲では友人たちが笑い合い、写真を撮り合っている。  

「おい、真尋、写真撮るぞ」  

友人に呼ばれ、適当にポーズを取りながら、スマホのシャッター音を聞く。  

「もう社会人か…信じられねぇな」  

「なあ、マジで四年間あっという間だったよな」  

「ほんとにな」  

みんな笑いながらそう言うが、真尋はなんとなく落ち着かなかった。  

確かに、もう大学を卒業する。  

それはわかっているのに、心の奥に何かモヤモヤしたものが残っている気がした。  

「……なんか、卒業する実感湧かねぇ」  

ぼそっと呟くと、友人たちが「お前、意外とセンチメンタルだな」と笑う。  

「いや、なんかさ…本当に今日で終わりなのかって」  

「まあ、でも新生活始まるしな」  

「そうなんだけど」  

頷いてみるものの、すっきりしない。  

玲央と付き合っているから、別に環境が変わるわけでもない。  

それでも、学生という肩書きがなくなることに、漠然とした寂しさを感じる。  

「……俺、卒業していいのか?」  

「は?」  

隣から聞き慣れた声がして、真尋はそちらを振り向いた。  

玲央が腕を組みながら、少し呆れたようにこちらを見ていた。  

「お前、今さら?」  

「いや、なんか…卒業するのが正解なのかよくわかんなくなってきた」  

玲央はため息をつくと、ポケットからタバコを取り出しそうになり、「あ、やべ、ここ禁煙か」と手を止める。  

そのまま真尋の顔をじっと見つめた。  

「お前、泣きそうじゃね?」  

「……泣いてねぇし」  

「いや、泣きそうだろ」  

「泣いてねぇっつの」  

「ほんとか?」  

「ほんとだ」  

そう言いながら、目元が熱くなるのを感じる。  

「……俺より先に泣くなよ」  

玲央がぼそっと呟いた。  

その言葉にムッとして、「だから泣いてねぇって」と言い返そうとした瞬間、玲央がふっと口元を緩める。  

「それにしても、お前のスーツ姿、意外と似合ってんじゃん」  

「……は?」  

突然の話題転換に、真尋は思わず聞き返した。  

「いや、普段ラフな格好しかしねぇのに、こういうの着ると意外とちゃんとして見えるなって思って」  

「……」  

「へぇー、そんな顔もできんだなって」  

「……なんだよ、それ」  

「別に。ただの感想」  

玲央は軽く肩をすくめた。  

「まあ、社会人になっても、俺のことはちゃんと優先しろよ」  

「いや、それは無理」  

「は? ふざけんな」  

「社会人だからな」  

「関係ねぇだろ」  

そんなやり取りをしているうちに、さっきまで感じていた感傷がどこかへ消えていった。  

「……まあ、卒業してもお前とは変わんねぇか」  

「当たり前だろ」  

玲央が当然のように言う。  

真尋は小さく息を吐きながら、卒業証書を握り直した。  
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