道理恋慕

華子

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守護と殺人

守護と殺人10

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 こてんぱんに蓮に負かされ、兄妹揃ってヘソを曲げたところでゲームはお開き。いつの間にやら沈む夕日。桜子は明かりをつけてカーテンを閉めた。
 うーんと伸びをした蓮が、俺に聞く。

「組長って何時頃帰ってくるんすか?」
「わかんねぇ。いつもバラバラだよ」
「そうなんすね。挨拶していこうと思ったんすけど、迷惑っすかね?」

 俺はふと、桜子の顔を窺った。彼女は歯を広げながら、うんうんと頷いた。

「じゃ、夕飯食べてけば」
「まじっすか!?」
さかずき交わしのリベンジでもしていきなよ」
「はい?」

 目を丸くさせてきた蓮へ、それ以上の事を言うのはやめた。「酔っ払いの父さんは、お前の顔も名前も覚えてなかったよ」と伝えるのは、少し可哀想に思えたから。

 子供だけで勝手に決めてしまった1人前の夕飯の追加に、俺はメールを作成する。相手は母親、彼女からはすぐに返信がきた。

『夕ご飯一緒に食べるのはいいんだけれど、実は私も思い出せないのよね。蓮なんて名前、聞いたことないわ』
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