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守護と殺人
守護と殺人5
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人類皆へ平等に与えられる太陽の光でさえ、俺は浴びてはいけない人種だった。
2限目が終わる頃、勇吾から1通のメールが届く。
『大和、今日学校来ないの?』
ようやく東向きの居間に這って出てきた俺は、床にゴロンと背をつけながら返信をする。
『行かない』
『なんで』
『風邪』
『そうなんだ。お大事に~』
ここでこうしていられるならば、一生風邪でもひいていたい。
スマートフォンをそこら辺に投げた俺は、思いに耽た。
今の時期、受験生を持つ家庭は大変なのだろうか。塾が遅くまであったり、健康に気を遣ったり、願を懸けたり。「すべる」「おちる」は禁句だとか言うから、会話中ですら気を配ったりするのだろうか。
こんな風に受験生が学校をサボっていたら、家族会議になるほどの大問題だろうし、暇潰しの動画をいつまでも観続けていたら、小言を吐かれるのだろう。
そうか。受験生のみんなもその家族も、大変なのか。
寝返りをうつ。窓の向こう、眩い太陽が目に入る。俺はそれをぼんやり眺めた。
だけどきっと、勉強ばかりで辛いと思うそんな人生も、俺より恵まれている事は確かだ。そんな事、当の本人達は一生気が付かないだろうけれど、俺には分かる、知っている。
ごく当たり前に、ごく自然に進学について悩めるのは、心底幸せな事なのだと。
2限目が終わる頃、勇吾から1通のメールが届く。
『大和、今日学校来ないの?』
ようやく東向きの居間に這って出てきた俺は、床にゴロンと背をつけながら返信をする。
『行かない』
『なんで』
『風邪』
『そうなんだ。お大事に~』
ここでこうしていられるならば、一生風邪でもひいていたい。
スマートフォンをそこら辺に投げた俺は、思いに耽た。
今の時期、受験生を持つ家庭は大変なのだろうか。塾が遅くまであったり、健康に気を遣ったり、願を懸けたり。「すべる」「おちる」は禁句だとか言うから、会話中ですら気を配ったりするのだろうか。
こんな風に受験生が学校をサボっていたら、家族会議になるほどの大問題だろうし、暇潰しの動画をいつまでも観続けていたら、小言を吐かれるのだろう。
そうか。受験生のみんなもその家族も、大変なのか。
寝返りをうつ。窓の向こう、眩い太陽が目に入る。俺はそれをぼんやり眺めた。
だけどきっと、勉強ばかりで辛いと思うそんな人生も、俺より恵まれている事は確かだ。そんな事、当の本人達は一生気が付かないだろうけれど、俺には分かる、知っている。
ごく当たり前に、ごく自然に進学について悩めるのは、心底幸せな事なのだと。
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