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刺青と鬼胎
刺青と鬼胎3
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俺は気が使えないどうしようもない野郎だから、翌朝もいつも通りの時刻に家を出た。そして信号機が見えたところでハッとするんだ。
ああそっか。芽衣は敢えて時間をずらしてくれたんだ。俺と鉢合わせないように、配慮してくれた。
空っぽになった信号機の下では、ランドセルを背負った俺と君が笑っているような気がした。
「田中さん、頬っぺたどうしたんすか?喧嘩っすか?」
その日の放課後は、薬の受け渡し。運転席の田中の横顔には、大層な怪我があった。
「この前ちょいとミスしてよ、兄貴にボコボコにされたわ」
「うえー、まじっすか。身内でも容赦ないっすね」
「ほんとだよくっそ…大したミスでもねえのに殴りやがって、あり得ねえよっ」
「うちの母も、そういえばそんな事言ってました。内田組はやり方が残虐だから、体制を変えてかなきゃいけないーって」
ちっと舌を打ち気色ばんだ田中は、カーブを荒く曲がった後の信号待ちで、ハンドルを乱暴に弾いていた。
「もう辞めてぇな。内田組」
やっと本腰を入れた俺なのに、1番頼りにしている田中にそう呟かれ、先行きが不安になる。
ああそっか。芽衣は敢えて時間をずらしてくれたんだ。俺と鉢合わせないように、配慮してくれた。
空っぽになった信号機の下では、ランドセルを背負った俺と君が笑っているような気がした。
「田中さん、頬っぺたどうしたんすか?喧嘩っすか?」
その日の放課後は、薬の受け渡し。運転席の田中の横顔には、大層な怪我があった。
「この前ちょいとミスしてよ、兄貴にボコボコにされたわ」
「うえー、まじっすか。身内でも容赦ないっすね」
「ほんとだよくっそ…大したミスでもねえのに殴りやがって、あり得ねえよっ」
「うちの母も、そういえばそんな事言ってました。内田組はやり方が残虐だから、体制を変えてかなきゃいけないーって」
ちっと舌を打ち気色ばんだ田中は、カーブを荒く曲がった後の信号待ちで、ハンドルを乱暴に弾いていた。
「もう辞めてぇな。内田組」
やっと本腰を入れた俺なのに、1番頼りにしている田中にそう呟かれ、先行きが不安になる。
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