道理恋慕

華子

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懺悔と離別

懺悔と離別9

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 俺は産まれてから今まで、人が死没するところを見た事がなかった。歩いていればそこら中にいる鳩やからすの他界するその時だって、目撃した事はなかった。せいぜい死骸くらいしか目にした事がない。
 だからにわかには信じ難かったんだ。寿命にはほど遠い人間が、いとも簡単に命尽きてしまうなんて。あやめられてしまうなんて。

「あっちのベンチに行こう、うっちゃん。立てる?」

 立場逆転。捨て鉢の俺の手をとった芽衣は、俺を促し連れて行く。

「うっ、うぅっ……」

 次から次へと落ちていく、濁った涙。

「う、ううっ……」

 今更懺悔したところで、悔いたところで、死んだ人間は戻ってこない。

「芽衣…離し、て……」
「離せないよ」

 俺とリンクしたその手から、芽衣はどんどんと汚染されていく。純白だった君を染めてしまうくらいならば、俺はもう、今すぐちりぢりになって消えてしまいたい。
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