道理恋慕

華子

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銃声と花火

銃声と花火12

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 俺の発言に、桜子の首が横に振られる。

「やだやだ!なんでそうなっちゃうの?どうして子供がしたいことをしちゃいけないの!?」

 俺を想ってくれての反応と、桜子自身の未来を不安視したその反応に、俺は少しでも彼女の安堵の材料になりそうな言葉を紡いでいく。

「大丈夫だよ。桜子はちゃんと高校に行けるし、組にも入らなくていい。それは父さんに約束させたから」
「え……?じゃあ、お兄ちゃんだけが入るの?」
「そう。だから桜子は安心して」

 けれどそれは、互いが互いを想い合う俺等兄妹にとっては、不合理だったようだ。

「なんで……なんでそうなるの?お兄ちゃんと私の立場は一緒じゃん!どうしてお兄ちゃんだけが、そんな道に行かなきゃいけないの?」

 途切れる事がない彼女の質問ラッシュには慣れているはずなのに、今日は上手いこと躱せない。

「そんなのどうでもいいじゃん。とにかく桜子は高校に行けるんだから、心配すんな」
「なんでよ!そんなのちっとも嬉しくないよ!」

 彼女を逆撫でるばかりで、参ってしまう。

「お兄ちゃんがやりたいことを出来ないのに、私だけ卑怯じゃん!」

 違う、そうじゃないんだよ桜子。

「私だってお父さんの仕事出来る!そうすれば傷も痛みも半々になるじゃん!」

 だからそうじゃないんだってば。

「違う」
「なにが違うの!?」
「桜子は関係ないから」
「私だって関係あるよ!同じ親じゃん!」
「俺は長男だから」
「意味分かんないよ!」

 段々と募っていく焦燥感に、俺は再び苛立った。

 パアンと手元で音が鳴った。桜子はそれと同時に、頬に手を運んでいた。

「なんで、ぶつの……?」

 人を黙らせるには暴力行為。俺は紛う事なく、あの父親の子孫だった。
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