道理恋慕

華子

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決意と懇願

決意と懇願9

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 こんなにも切ないのは、心痛いのは思春期だから。中学3年生なんて皆こんなものだろう。

 そんな事を物静かな空気の中で思っていれば、勇吾が沈黙を破ってくる。

「俺にはできないよ、大和」

 約束もまだ取り付けられていないのに、俺はどこか、裏切られたようにすら感じてしまった。

「なん、で……?」
「だって芽衣は大和が好きだから。俺が自分の気持ちを告白したところでなにも変わらない、断られるだけだ」
「で、でも芽衣は俺と付き合った時、勇吾が好きだったんだよ」
「そんなの、遠い昔の想いだろ?」

 優しい微笑を浮かべる勇吾。彼のその瞳の奥には、絶望など見えなかった。

「もしそうなら少し浮かれるけどさ、でも今は関係ない。俺がいくら芽衣に想いを寄せてたって好きだって、芽衣の気持ちは大和にあるんだ、俺じゃない」

 組んでいた足を元に戻し、彼は続けた。

「大和、力になれなくてごめん。でも人の気持ちが第三者の思い通りになるんだったら、この世に片想いなんて言葉、存在しないよ」

 その瞬間、心の奥がズキッと傷んだ。我欲に塗れた事により、自分の考えばかり押し付けた事により、後回しにしてしまっていた友人の気持ちが沁みてしまったから。

「だから大和、違う解決法を探そう」

 暗闇の中にいる俺では発見できないその方法が、違う角度からなら見えるのだろうか。
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