100 / 196
決意と懇願
決意と懇願3
しおりを挟む
「おはよう琴ちゃん、昨日の音楽特番観たー?」
「観た観たー!かっこよかったよね星咲くんっ」
下駄箱で琴音を発見するやいなや、俺と勇吾の存在は失せたらしく、芽衣は女ふたりでぺちゃくちゃとアイドル話に花を咲かせながら、階段を上って行った。
それを見ていた勇吾は笑う。
「今も昔も、モテるのは華やかな世界の人間なんだなあ」
「な」
「一般社会にも良い男はいっぱいいるのに、テレビであんなかっこいいのばっか放映されちゃ、霞んじゃうんだろうな」
その『一般社会』にすら、俺はもうすぐいられなくなる。
ああ、芽衣になんて伝えようか。
真実を話してしまえば、俺と恋人同士だった過去ですら後悔に変えてしまうのだろう。こんな人間と付き合うのではなかったと悔いては欲しくない。
かと言って、訳もなく俺にフラれるのは気の毒だし、ならば一層の事、アイドルでも何でもいいから彼女の前に現れて、連れ去ってくれればいいのに。
「おーい、大和ぉ?」
上履きに手をかけたまま、いつまで経っても下駄箱から取り出さない俺の顔を勇吾は覗いた。
「ん~、大和やっぱ煙草臭いかも。どうした?いつから吸ってんの?」
その臭いは肺から放たれているのか髪の毛か。シャワーでも浴びてくれば良かったと悔いた。
「勇吾」
テレビの中の星咲とかいう奴には、流石に頼めやしないから。
「放課後、公園でも行くべ」
だから勇吾、お前が芽衣を拐ってくれよ。
「観た観たー!かっこよかったよね星咲くんっ」
下駄箱で琴音を発見するやいなや、俺と勇吾の存在は失せたらしく、芽衣は女ふたりでぺちゃくちゃとアイドル話に花を咲かせながら、階段を上って行った。
それを見ていた勇吾は笑う。
「今も昔も、モテるのは華やかな世界の人間なんだなあ」
「な」
「一般社会にも良い男はいっぱいいるのに、テレビであんなかっこいいのばっか放映されちゃ、霞んじゃうんだろうな」
その『一般社会』にすら、俺はもうすぐいられなくなる。
ああ、芽衣になんて伝えようか。
真実を話してしまえば、俺と恋人同士だった過去ですら後悔に変えてしまうのだろう。こんな人間と付き合うのではなかったと悔いては欲しくない。
かと言って、訳もなく俺にフラれるのは気の毒だし、ならば一層の事、アイドルでも何でもいいから彼女の前に現れて、連れ去ってくれればいいのに。
「おーい、大和ぉ?」
上履きに手をかけたまま、いつまで経っても下駄箱から取り出さない俺の顔を勇吾は覗いた。
「ん~、大和やっぱ煙草臭いかも。どうした?いつから吸ってんの?」
その臭いは肺から放たれているのか髪の毛か。シャワーでも浴びてくれば良かったと悔いた。
「勇吾」
テレビの中の星咲とかいう奴には、流石に頼めやしないから。
「放課後、公園でも行くべ」
だから勇吾、お前が芽衣を拐ってくれよ。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
0
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる