道理恋慕

華子

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抵抗と棄却

抵抗と棄却1

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 それからというもの、俺の尻には火が付いた。毎朝6時に起床して、勉学に励んだ。無論、夜も眠気に襲われるまではペンを持ち続けた。
 教科書なんて開くだけで、頭痛を引き起こす魔法の道具だと感じていた過去の自分にはこう教えてやりたい。

 目標を作れ。そうすりゃ結構楽しいぜ、と。

 俺は絶対、芽衣と一緒に笹北高校に合格する。

 彼女がくれた愛の言葉は着火剤となり、俺の闘魂をみなぎらせてくれた。だから余計に鬱陶しく感じてしまうのはあの異世界。
 早く抜け出したい。あの組織にはもういたくない。

 それでもまだ、夏休みには時間に余裕があった。仕事に3、4時間割いたとしても、机に向かう余裕はある。
 けれど蝉の死骸が道端に転がり始め、夏の終わりを感じ始めた頃、俺はそろそろ両親と話さなければならないと思っていた。

 勉強に集中したい事。幸せにしたい恋人もいるし、あの世界からはもう足を洗いたいという事。そして、普通でいたいって事。

 しかしただひとつ、何の変哲もない学生に戻るのに自らつけてしまった足枷がある。それは百害あって一利なしの煙草だ。
 俺が勉強のインターバルとして必要としているのは、紛れもなく煙草そいつだった。ヤニが切れれば苛立つし、もどかしくなる自分。次第に本数は増えていって、気付けば1日1箱が常識になった。

 子供部屋で吸おうものならば、桜子がギャンギャン吠えてくるから、俺は台所の換気扇の下で、いつしか親の目も気にせずに喫煙をするようになった。
 父親は俺が咥えるそれを初めて見た時、大爆笑していた。「それっぽっちのタールでよく吸った気になれるなあ」とも言っていた。

 母親は「外ではやめときなさいね」と言うだけで、とくに俺を批判する事もなかった。家族の中で唯一、桜子だけが頬を膨らませていた。
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