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嫉妬と接近
嫉妬と接近3
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週末土曜日、地元のバス停で待ち合わせ。
「俺、バスって久しぶりに乗るかも」
「俺も」
勇吾は赤いチェックの襟付きシャツ。制服を纏わない俺等が揃うのは小学生以来。
スマートフォンで技術館の公式ホームページを確認したのは、ジーンズ姿の芽衣だった。
「みんな、『技術館前』で降りるからね。間違わないでよー」
まだ空席が目立つだろうと予想していた朝10時のバス車内は、ファミリーや年寄りで溢れていた。
芽衣は俺の一直線、一番遠くの吊革に掴まっていた。時折俺の肘に触れるのは、勇吾の肘。
「楽しみだな、大和」
まあ、いいけど。
数ヶ月前、リュックに弁当箱を詰めて訪れたその場所は、意外にも再び俺等のテンションを上げた。
「これやろっ!巨大シャボン玉に入れるやつー!」
芽衣も当初の目的を忘れて、そこそこ楽しんでいる。
「じゃあ勇吾と琴音で入れよ、写真撮ってやるから」
俺は絶対に忘れない。今日は君とふたりきりになるのだと。
「あ、そうだねっ。ほら琴ちゃん、入って入って」
芽衣が琴音の背中を押すのを確認すると、俺も勇吾の尻を叩いて促す。彼は自身を指さし聞く。
「え、俺?女子同士じゃなくていいの?」
「そんなんしたら、次は男同士のもっさい写真になるだろうがっ」
「ああ、確かに」
柔順な彼は、素直に輪の中へと入っていった。
「琴音、もう少しこっち来ないとはみ出ちゃうよ」
「あ、うんっ」
そうやって、琴音の肩を引き寄せるのも格好良いぞ。
「いくよ、はいチーズッ」
「俺、バスって久しぶりに乗るかも」
「俺も」
勇吾は赤いチェックの襟付きシャツ。制服を纏わない俺等が揃うのは小学生以来。
スマートフォンで技術館の公式ホームページを確認したのは、ジーンズ姿の芽衣だった。
「みんな、『技術館前』で降りるからね。間違わないでよー」
まだ空席が目立つだろうと予想していた朝10時のバス車内は、ファミリーや年寄りで溢れていた。
芽衣は俺の一直線、一番遠くの吊革に掴まっていた。時折俺の肘に触れるのは、勇吾の肘。
「楽しみだな、大和」
まあ、いいけど。
数ヶ月前、リュックに弁当箱を詰めて訪れたその場所は、意外にも再び俺等のテンションを上げた。
「これやろっ!巨大シャボン玉に入れるやつー!」
芽衣も当初の目的を忘れて、そこそこ楽しんでいる。
「じゃあ勇吾と琴音で入れよ、写真撮ってやるから」
俺は絶対に忘れない。今日は君とふたりきりになるのだと。
「あ、そうだねっ。ほら琴ちゃん、入って入って」
芽衣が琴音の背中を押すのを確認すると、俺も勇吾の尻を叩いて促す。彼は自身を指さし聞く。
「え、俺?女子同士じゃなくていいの?」
「そんなんしたら、次は男同士のもっさい写真になるだろうがっ」
「ああ、確かに」
柔順な彼は、素直に輪の中へと入っていった。
「琴音、もう少しこっち来ないとはみ出ちゃうよ」
「あ、うんっ」
そうやって、琴音の肩を引き寄せるのも格好良いぞ。
「いくよ、はいチーズッ」
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