僕らの10パーセントは無限大

華子

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ちーちゃんの手紙と、ユーイチへの愛と

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「ぶっちゃけね、うちら手探りだった。和子へどう振る舞うのが正解なのかわからなくて、悩んでたってのが本音」

 近所のファミリーレストランへと着き、ドリンクバーの飲み物を各々テーブルに運んできたタイミングで、果穂が口を開く。

「和子に無理はしてほしくないからさ、放課後の遊びとかも誘っていーのか悩んで、結局誘えなくて。だけどこのままじゃ和子と会えないまま夏休み終わっちゃいそーだし、気付かないうちにアメリカ行かれても困っちゃうし、だから今日は思い切って来ちゃった」

 そう言って、アイスコーヒーの氷をストローでまわす果穂。その隣で七海がうんうんと首を縦に振る。

「めっちゃ会いたかったよ、和子。クラスのラインで、和子がリアクション全然しないから、わたしたちもう嫌われちゃったのかと思って、個別に連絡するのも控えてた」

 ね、と顔を見合わせて、その顔を再びわたしに向ける果穂と七海。
 ふたつの思案顔を見れば、わたしのことでよっぽど悩んでくれているのが伝わってくる。

 さっぱりとしたグレープフルーツジュースをひとくち飲み、唾の溜まった口内を一旦リセット。「あのさ」とわたしは切り出す。

「お医者さんの言葉を、わたしがそのままふたりに打ち明けた時、正直どう思った……?」

 そう聞くと、ふたりの喉がごくんと波打つ。

「この心臓は半年もつか、はたまた一ヶ月としてもたないか。明日、突然止まってしまってもおかしくない状態にありますって言われて、唯一残された手段はアメリカでの手術だけど、それも10パーセントの確率でしか成功しないんだって、そうふたりに告げた時どう思ったの……?」
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