21 / 76
海神作戦
海神作戦05
しおりを挟む
卓上が、俺の嫌いなものだけで彩られた。穏やかな口調で聞く。
「美咲さんのそれはなんですか……?」
「これ?季節の野菜ハーブ蒸しだよ」
「そうですか。アイラさんのそれはなんですか……?」
「これはねえ、牛肉と葡萄のバジルミントソース添え」
「そうですか。海のこれはなんですか……?」
「パクチーたっぷり海老炒飯っ」
「ティッシュを超えてぼくの体内に入ってくるのは、おそらくこれですね……」
俺はそこら辺に見えたペーパーナプキンを二、三枚ちぎって、鼻の穴へと詰め込んだ。
「神人くんは、それだけで足りるの?」
オレンジジュースのみを啜る俺に、アイラが聞いた。
「私のひとくちあげようか?」
俺はぶんぶんと横に首を振った。
「俺、エスニック系はちょっと苦手で……」
「え、そうだったんだっ。じゃあ他のお店にすればよかったね、ごめんね」
「う、ううんいいよ。俺以外はみんな好きなんだし……」
アイラとの会話中に隣をふいと見やれば、そこには仲睦まじくトークに花を咲かせるふたりの姿。
「へえ、エスニック系のブッフェが近くにあんの?全然知らなかった」
「けっこう手頃な値段でね、種類も多いんだよ。海くんがよければ今度私と一緒に行こうよっ」
「おう、超行きたいっ」
行きたいの先頭に「超」はいらなくね?とか思ってしまう自分に気分が沈む。これはただの作戦なのに。
「あー、わかるそれっ。あのうどん屋ではココナッツミルクうどんが一番美味しいよねー。海くんと私、食の好みバッチリッ」
そう、これは海と俺の関係を上手くいかせるためだけの、ただのプランだ。
「美咲さんのそれはなんですか……?」
「これ?季節の野菜ハーブ蒸しだよ」
「そうですか。アイラさんのそれはなんですか……?」
「これはねえ、牛肉と葡萄のバジルミントソース添え」
「そうですか。海のこれはなんですか……?」
「パクチーたっぷり海老炒飯っ」
「ティッシュを超えてぼくの体内に入ってくるのは、おそらくこれですね……」
俺はそこら辺に見えたペーパーナプキンを二、三枚ちぎって、鼻の穴へと詰め込んだ。
「神人くんは、それだけで足りるの?」
オレンジジュースのみを啜る俺に、アイラが聞いた。
「私のひとくちあげようか?」
俺はぶんぶんと横に首を振った。
「俺、エスニック系はちょっと苦手で……」
「え、そうだったんだっ。じゃあ他のお店にすればよかったね、ごめんね」
「う、ううんいいよ。俺以外はみんな好きなんだし……」
アイラとの会話中に隣をふいと見やれば、そこには仲睦まじくトークに花を咲かせるふたりの姿。
「へえ、エスニック系のブッフェが近くにあんの?全然知らなかった」
「けっこう手頃な値段でね、種類も多いんだよ。海くんがよければ今度私と一緒に行こうよっ」
「おう、超行きたいっ」
行きたいの先頭に「超」はいらなくね?とか思ってしまう自分に気分が沈む。これはただの作戦なのに。
「あー、わかるそれっ。あのうどん屋ではココナッツミルクうどんが一番美味しいよねー。海くんと私、食の好みバッチリッ」
そう、これは海と俺の関係を上手くいかせるためだけの、ただのプランだ。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説

片桐くんはただの幼馴染
ベポ田
BL
俺とアイツは同小同中ってだけなので、そのチョコは直接片桐くんに渡してあげてください。
藤白侑希
バレー部。眠そうな地味顔。知らないうちに部屋に置かれていた水槽にいつの間にか住み着いていた亀が、気付いたらいなくなっていた。
右成夕陽
バレー部。精悍な顔つきの黒髪美形。特に親しくない人の水筒から無断で茶を飲む。
片桐秀司
バスケ部。爽やかな風が吹く黒髪美形。部活生の9割は黒髪か坊主。
佐伯浩平
こーくん。キリッとした塩顔。藤白のジュニアからの先輩。藤白を先輩離れさせようと努力していたが、ちゃんと高校まで追ってきて涙ぐんだ。

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する野球ドーム五個分の土地が学院としてなる巨大学園だ
しかし生徒数は300人程の少人数の学院だ
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語である


悪役令息シャルル様はドSな家から脱出したい
椿
BL
ドSな両親から生まれ、使用人がほぼ全員ドMなせいで、本人に特殊な嗜好はないにも関わらずSの振る舞いが発作のように出てしまう(不本意)シャルル。
その悪癖を正しく自覚し、学園でも息を潜めるように過ごしていた彼だが、ひょんなことからみんなのアイドルことミシェル(ドM)に懐かれてしまい、ついつい出てしまう暴言に周囲からの勘違いは加速。婚約者である王子の二コラにも「甘えるな」と冷たく突き放され、「このままなら婚約を破棄する」と言われてしまって……。
婚約破棄は…それだけは困る!!王子との、ニコラとの結婚だけが、俺があのドSな実家から安全に抜け出すことができる唯一の希望なのに!!
婚約破棄、もとい安全な家出計画の破綻を回避するために、SとかMとかに囲まれてる悪役令息(勘違い)受けが頑張る話。
攻めズ
ノーマルなクール王子
ドMぶりっ子
ドS従者
×
Sムーブに悩むツッコミぼっち受け
作者はSMについて無知です。温かい目で見てください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる