ハルのてのひら、ナツのそら。

華子

文字の大きさ
上 下
111 / 120

いま67

しおりを挟む
「俺の人生一番のラッキーは、ナツと出逢えたことだよ。そしてナツに、好きになってもらえたこと」

 ハルくんの背景を彩るのは、彼が見せてくれたプレゼント。広い夜空の中で幾千もの星たちが、ぼくはここだよと光っている。

「ナツと初めて出逢った時から、俺はナツのことが気になってた。一見おとなしそうなのにけっこうツッコミ入れてくるとことか、好きなギャグ漫画が男っぽいとことか、肘でだって小突いてくるし。なんていうか、最初はギャップに惹かれたんだと思う」

 ずっと聞きたかったハルくんの気持ち。頭の中で、彼との思い出が駆け巡る。

「でもナツと過ごしているうちに、ギャップがどうとか言ってられなくなったんだ。ナツがメロンパンを頬張ってるだけでも可愛いと思ったり、保健室でふたりきりになった時もすっごいドキドキしたり。あの時、危うく本当にキスしそうになった。ナツの寝顔が愛らしかったから、つい」

 ゴチンとあたった鼻と額。
 あの時のわたしがもう少し長くたぬき寝入りをしていれば、そこからわたしたちの恋人関係はスタートしていたのかもしれない。

「俺はいつもナツを想ってた。一年の頃からずっと、俺の心の真ん中にはナツがいた」
 
 夢のような言葉が並べられて、今にも幸せで消えてしまいそうだった。徐々に軽くなっていくと感じた体は、その前兆か。

「放課後の部活中、ベランダからナツがこっそり応援してくれたの、本当は知ってたんだよね」

 だけどハルくんのその言葉で、一旦前兆からは解放された。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】大好き、と告白するのはこれを最後にします!

高瀬船
恋愛
侯爵家の嫡男、レオン・アルファストと伯爵家のミュラー・ハドソンは建国から続く由緒ある家柄である。 7歳年上のレオンが大好きで、ミュラーは幼い頃から彼にべったり。ことある事に大好き!と伝え、少女へと成長してからも顔を合わせる度に結婚して!ともはや挨拶のように熱烈に求婚していた。 だけど、いつもいつもレオンはありがとう、と言うだけで承諾も拒絶もしない。 成人を控えたある日、ミュラーはこれを最後の告白にしよう、と決心しいつものようにはぐらかされたら大人しく彼を諦めよう、と決めていた。 そして、彼を諦め真剣に結婚相手を探そうと夜会に行った事をレオンに知られたミュラーは初めて彼の重いほどの愛情を知る 【お互い、モブとの絡み発生します、苦手な方はご遠慮下さい】

【完結】愛してなどおりませんが

仲村 嘉高
恋愛
生まれた瞬間から、王妃になる事が決まっていたアメリア。 物心がついた頃には、王妃になる為の教育が始まった。 父親も母親も娘ではなく、王妃になる者として接してくる。 実兄だけは妹として可愛がってくれたが、それも皆に隠れてコッソリとだった。 そんなある日、両親が事故で亡くなった同い年の従妹ミアが引き取られた。 「可愛い娘が欲しかったの」 父親も母親も、従妹をただただ可愛いがった。 婚約者である王太子も、婚約者のアメリアよりミアとの時間を持ち始め……? ※HOT最高3位!ありがとうございます! ※『廃嫡王子』と設定が似てますが、別のお話です ※またやっちまった、断罪別ルート。(17話から)  どうしても決められなかった!!  結果は同じです。 (他サイトで公開していたものを、こちらでも公開しました)

ざまぁ を目指すショートショート

リコピン
恋愛
「簡潔で鮮やかなざまぁ」を目標に掲げたショートショート集です。 ・一話完結です ・一万字以下を目指しています ・タイトルがあらすじです ・不定期更新です

【完結】3度婚約を破棄された皇女は護衛の騎士とともに隣国へ嫁ぐ

七瀬菜々
恋愛
 先日、3度目の婚約が破談となったモニカは父である皇帝から呼び出しをくらう。  また皇帝から理不尽なお叱りを受けると嫌々謁見に向かうと、今度はまさかの1回目の元婚約者と再婚約しろと言われて----!?  これは、宮中でも難しい立場にある嫌われ者の第四皇女モニカと、彼女に仕える素行不良の一途な騎士、そして新たにもう一度婚約者となった隣国の王弟公爵との三角関係?のお話。

私、女王にならなくてもいいの?

gacchi
恋愛
他国との戦争が続く中、女王になるために頑張っていたシルヴィア。16歳になる直前に父親である国王に告げられます。「お前の結婚相手が決まったよ。」「王配を決めたのですか?」「お前は女王にならないよ。」え?じゃあ、停戦のための政略結婚?え?どうしてあなたが結婚相手なの?5/9完結しました。ありがとうございました。

実在しないのかもしれない

真朱
恋愛
実家の小さい商会を仕切っているロゼリエに、お見合いの話が舞い込んだ。相手は大きな商会を営む伯爵家のご嫡男。が、お見合いの席に相手はいなかった。「極度の人見知りのため、直接顔を見せることが難しい」なんて無茶な理由でいつまでも逃げ回る伯爵家。お見合い相手とやら、もしかして実在しない・・・? ※異世界か不明ですが、中世ヨーロッパ風の架空の国のお話です。 ※細かく設定しておりませんので、何でもあり・ご都合主義をご容赦ください。 ※内輪でドタバタしてるだけの、高い山も深い谷もない平和なお話です。何かすみません。

エリート警察官の溺愛は甘く切ない

日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。 両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉

公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~

朱色の谷
恋愛
公爵家の末娘として生まれた幼いティアナ。 お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。 お父様やお兄様は私に関心がないみたい。 ただ、愛されたいと願った。 そんな中、夢の中の本を読むと自分の正体が明らかに。

処理中です...