ハルのてのひら、ナツのそら。

華子

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「ハルくん頑張れ!」

 それでも残りの一ヶ月は、目一杯楽しもうと思った。

「いっけー!ハルくん!」

 ベランダではもうこそこそしない。大きな声を出せば、ハルくんが三階向けてニカッと笑う。

 この日は他校との練習試合。
 バッターボックスに立つハルくんはもちろんカッコいいが、守備をしている時の彼も見逃せない。
 空高くから落ちてきたボールを見事グローブにおさめると、そこからすぐにフォームを変えてボールをベースへ戻す姿は、まるでプロの野球選手。
 速い球が、空中に敷かれたレールの上を進むように、真っ直ぐ飛んでいく。
 バンッと味方のグローブがそれを受け取り、試合は終了。項垂れる相手チームに対し、ガッツポーズをするのはハルくんたちのチーム。

「ハルくんおめでとー!」

 試合に勝った時のハルくんの、無邪気なその笑顔がすごく好き。
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