ハルのてのひら、ナツのそら。

華子

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いま25

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 ハルくんからばかにされないためにも、受験勉強頑張らないとな。

 そんなことをぼんやりと考えながら朝の通学路を歩いていると、辻本くんともうひとりの男友達との三人で、歩いているハルくんの後ろ姿を見つけた。

「ハルくん、辻本くん、おはよっ」

 近くまで駆け寄り声をかけると、足を止めたハルくんが振り向いて、続けて辻本くんともうひとりも立ち止まり、ハルくんの視線の先を追っていた。
 もうひとりの男の子。その人の名前がわからなかったわたしは彼の前で軽く会釈をしたけれど、彼は返してくれなかったから、少し傷付いた。

 朝練習の多い野球部。その部活に所属しているハルくんと、朝の通学路で会うことは滅多にない。だからハルくんは、突然のわたしの登場にびっくりした様子だった。

「おはよっ」

 誰もわたしに挨拶をしてくれないから、もう一度する。

「ハルくん?おはようってば」

 けれどハルくんも辻本くんももうひとりの彼も、ただただわたしを見るだけで、何も言葉を発さない。

 どうして無視されているのだろう、何か三人を怒らせることでもしてしまったのだろうか、と心にもやがかかった時、わたしから視線を外したハルくんが言った。
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