45 / 120
中学一年生、冬の頃7
しおりを挟む
「おいナツ、笑いすぎっ」
いつまでもしつこく笑い続けていれば、ふざけたハルくんが止めにかかってくる。
「おーいっ、笑いの国から戻ってこーいっ」
ゆさゆさとわたしの肩を揺さぶり、腹を抱えたわたしの顔を上げさせて。
「だってハルくんがぁっ」
なんて言った時、ふたりの距離が友達の距離ではないことに気付く。たった数センチ先にあるハルくんの顔に、笑いも一瞬にしておさまった。
離れるでもなく、また、それ以上近付くわけでもなく、ただじっと動かなくなったわたしたちは、互いが互いを見つめていた。
ハルくんが好き、大好き。もうどうしたらいいの。
全身に熱が帯びていくのを感じながら、わたしはそんなことを思っていた。
「ナツ」
少しかすれた声で名を呼ばれ、びくんと体がはね上がる。
「俺さ……」
真剣な面持ちになったハルくんが、何か大事なことを言おうとしているのがわかった。
ドキドキドキドキ。
なんて言われるんだろう。
「俺、ナツのこと──」
一番肝心な部分。それはバタンと開いた、部屋の扉が邪魔をした。
いつまでもしつこく笑い続けていれば、ふざけたハルくんが止めにかかってくる。
「おーいっ、笑いの国から戻ってこーいっ」
ゆさゆさとわたしの肩を揺さぶり、腹を抱えたわたしの顔を上げさせて。
「だってハルくんがぁっ」
なんて言った時、ふたりの距離が友達の距離ではないことに気付く。たった数センチ先にあるハルくんの顔に、笑いも一瞬にしておさまった。
離れるでもなく、また、それ以上近付くわけでもなく、ただじっと動かなくなったわたしたちは、互いが互いを見つめていた。
ハルくんが好き、大好き。もうどうしたらいいの。
全身に熱が帯びていくのを感じながら、わたしはそんなことを思っていた。
「ナツ」
少しかすれた声で名を呼ばれ、びくんと体がはね上がる。
「俺さ……」
真剣な面持ちになったハルくんが、何か大事なことを言おうとしているのがわかった。
ドキドキドキドキ。
なんて言われるんだろう。
「俺、ナツのこと──」
一番肝心な部分。それはバタンと開いた、部屋の扉が邪魔をした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説

婚約破棄されるのらしいで、今まで黙っていた事を伝えてあげたら、婚約破棄をやめたいと言われました
新野乃花(大舟)
恋愛
ロベルト第一王子は、婚約者であるルミアに対して婚約破棄を告げた。しかしその時、ルミアはそれまで黙っていた事をロベルトに告げることとした。それを聞いたロベルトは慌てふためき、婚約破棄をやめたいと言い始めるのだったが…。

茶番には付き合っていられません
わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。
婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。
これではまるで私の方が邪魔者だ。
苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。
どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。
彼が何をしたいのかさっぱり分からない。
もうこんな茶番に付き合っていられない。
そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。
【完結】目覚めたら男爵家令息の騎士に食べられていた件
三谷朱花
恋愛
レイーアが目覚めたら横にクーン男爵家の令息でもある騎士のマットが寝ていた。曰く、クーン男爵家では「初めて契った相手と結婚しなくてはいけない」らしい。
※アルファポリスのみの公開です。

余命3ヶ月を言われたので静かに余生を送ろうと思ったのですが…大好きな殿下に溺愛されました
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のセイラは、ずっと孤独の中生きてきた。自分に興味のない父や婚約者で王太子のロイド。
特に王宮での居場所はなく、教育係には嫌味を言われ、王宮使用人たちからは、心無い噂を流される始末。さらに婚約者のロイドの傍には、美しくて人当たりの良い侯爵令嬢のミーアがいた。
ロイドを愛していたセイラは、辛くて苦しくて、胸が張り裂けそうになるのを必死に耐えていたのだ。
毎日息苦しい生活を強いられているせいか、最近ずっと調子が悪い。でもそれはきっと、気のせいだろう、そう思っていたセイラだが、ある日吐血してしまう。
診察の結果、母と同じ不治の病に掛かっており、余命3ヶ月と宣言されてしまったのだ。
もう残りわずかしか生きられないのなら、愛するロイドを解放してあげよう。そして自分は、屋敷でひっそりと最期を迎えよう。そう考えていたセイラ。
一方セイラが余命宣告を受けた事を知ったロイドは…
※両想いなのにすれ違っていた2人が、幸せになるまでのお話しです。
よろしくお願いいたします。
他サイトでも同時投稿中です。

【完結】王太子殿下が幼馴染を溺愛するので、あえて応援することにしました。
かとるり
恋愛
王太子のオースティンが愛するのは婚約者のティファニーではなく、幼馴染のリアンだった。
ティファニーは何度も傷つき、一つの結論に達する。
二人が結ばれるよう、あえて応援する、と。

あさきゆめみし
八神真哉
歴史・時代
山賊に襲われた、わけありの美貌の姫君。
それを助ける正体不明の若き男。
その法力に敵う者なしと謳われる、鬼の法師、酒呑童子。
三者が交わるとき、封印された過去と十種神宝が蘇る。
毎週金曜日更新
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる