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ハルくんはわたしをどう思っていますか。
その質問にどうして答えをくれなかったの?どうして下唇を噛んでいたの。本当に言いたかった言葉はなんなの。
ねえハルくん。あなたはわたしをどう思っていますか。
そんなことを考えながら、今日も気付けば三年五組のベランダにいた。
「三日連続は、さすがに気持ち悪いか……」
中学一年生の頃から野球部に所属するハルくんを見るため、幾度となく身を置いてきたベランダだけど、学年が上がるごとに微妙に位置は異なる。
一年生の時は五階のフロア、二年生の時は四階のフロア。そして三年生になってからは三階と、ひとつずつ階は下がった。それでもわたしはずっと五組だから、校舎の真ん中あたりってことに変わりはない。
五組の位置はいいと思う。たまにサッカー部や陸上部と校庭を分け合う時は、ハルくんが遠く、小さくなってしまうけれど、普段はバッターボックスに立つハルくんの顔がちゃんと見える。斜めの顔や横顔ではなくて、きちんと正面の顔が。
「はあ、ハルくんってばあー……」
校庭で、キャッチボールをするハルくんにかける溜め息。肝心な部分を教えてくれなかった彼の胸の内は、彼にしか知り得ない。
「わたしのこと、好き?」
好きだよ。そう言ってもらえたならどんなに幸せか。想像するだけでも心は華やぐのに、ちっとも実現しない。
「なんで抱きしめたのよ、もうっ」
好きと言えないならば、そんなことはしないでほしい。
ううん、うそ。また抱きしめてほしい。
矛盾して、葛藤して、ハルくんを見て。
きゅんとして、ドキドキして、どうしようもないくらいやっぱり好きで。
彼の彼女になりたいなあ、と思う。
その質問にどうして答えをくれなかったの?どうして下唇を噛んでいたの。本当に言いたかった言葉はなんなの。
ねえハルくん。あなたはわたしをどう思っていますか。
そんなことを考えながら、今日も気付けば三年五組のベランダにいた。
「三日連続は、さすがに気持ち悪いか……」
中学一年生の頃から野球部に所属するハルくんを見るため、幾度となく身を置いてきたベランダだけど、学年が上がるごとに微妙に位置は異なる。
一年生の時は五階のフロア、二年生の時は四階のフロア。そして三年生になってからは三階と、ひとつずつ階は下がった。それでもわたしはずっと五組だから、校舎の真ん中あたりってことに変わりはない。
五組の位置はいいと思う。たまにサッカー部や陸上部と校庭を分け合う時は、ハルくんが遠く、小さくなってしまうけれど、普段はバッターボックスに立つハルくんの顔がちゃんと見える。斜めの顔や横顔ではなくて、きちんと正面の顔が。
「はあ、ハルくんってばあー……」
校庭で、キャッチボールをするハルくんにかける溜め息。肝心な部分を教えてくれなかった彼の胸の内は、彼にしか知り得ない。
「わたしのこと、好き?」
好きだよ。そう言ってもらえたならどんなに幸せか。想像するだけでも心は華やぐのに、ちっとも実現しない。
「なんで抱きしめたのよ、もうっ」
好きと言えないならば、そんなことはしないでほしい。
ううん、うそ。また抱きしめてほしい。
矛盾して、葛藤して、ハルくんを見て。
きゅんとして、ドキドキして、どうしようもないくらいやっぱり好きで。
彼の彼女になりたいなあ、と思う。
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