ハルのてのひら、ナツのそら。

華子

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中学一年生、夏の頃1

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 中学一年生の夏休み。小学生の頃は電光石火のごとく過ぎ去ったその休みも、ハルくんに恋をしたわたしには、とても長く、遅く感じられた。

「ハルくんは野球漬けの毎日なのかなあ」

 あてもない散歩中、道ばたに落ちていた小石をひとつ蹴って、抜けていくのは大きな溜め息。

「会いたいよお、ハルくん……」

 連絡先を知らないわけではないけれど、ただのクラスメイトでしかないわたしがハルくんのアイコンをタップするには、相当な意気込みが必要だった。

「あれ、ナツじゃん」

 ハルくんに会いたいハルくんに会いたいと、何百回か頭で唱えていれば、奇跡は起きた。わたしのラッキーナンバーは「5」で間違いないから、おそらく555回目だと思う。

 場所はお母さんにおつかいを頼まれ訪れた近所のスーパー。ふと後ろから聞こえてきた愛しい声に、勢いよく振り返る。

「ハルくんっ」
「久しぶりだね。買い物?」
「うんっ、ハルくんも?」
「そう。明日の買い出し」
「明日?」
「あ、ナツも暇なら来ない?チケット余ってるんだよね」

 何かのイベントでもあるのだろうか、と思っていると、ハルくんの財布から取り出されたのは一枚のチケット。書いてある文字をそのまま読み上げる。

「ナナボシ VS シープ」
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