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中学一年生、春の頃1
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「いいなあ、綿矢ナツさんの席。窓際の一番後ろなんて最高じゃんっ。交換してほしーっ」
真っ新な制服を身にまとい、入学した中学校。そんなに友達の多くないわたしが、ひとり緊張しながら席へ着くと、隣から聞こえてきたのはそんな声。
横を向けば見覚えのない顔がひとつあって、どうしてわたしの名前を知っているのだろうと首をかしげた。
「えーっと、そのお……」
あなたは誰ですか。
そんな思いが顔に出ていたのか、彼が始めたのは自己紹介。
「俺、相良ハル。出身校は南小」
「南小?珍しいね。ここは東小出身の子が多いのに」
「小五の時に近場で引っ越しをしたんだ。新しい家から南小は少し遠くなったけど、通えない距離ではなかったから転校はしなかった。本来なら、東小に通う住所なんだけどね」
「そうなんだ」
「綿矢ナツさんは東小なの?」
「うん、そうだよ」
「へえ。じゃあ小学校からの友達いっぱいいるね」
「ん~。そんなに多くはないけど」
「あ、綿矢ナツさんってさ」
「ちょ、ちょっと待って相良くんっ」
はじめましてにもかかわらず、すいすいとスムーズに進められていく会話に、肝心なことを聞きそびれてしまいそうになったわたしは、途中で待ったを入れた。
真っ新な制服を身にまとい、入学した中学校。そんなに友達の多くないわたしが、ひとり緊張しながら席へ着くと、隣から聞こえてきたのはそんな声。
横を向けば見覚えのない顔がひとつあって、どうしてわたしの名前を知っているのだろうと首をかしげた。
「えーっと、そのお……」
あなたは誰ですか。
そんな思いが顔に出ていたのか、彼が始めたのは自己紹介。
「俺、相良ハル。出身校は南小」
「南小?珍しいね。ここは東小出身の子が多いのに」
「小五の時に近場で引っ越しをしたんだ。新しい家から南小は少し遠くなったけど、通えない距離ではなかったから転校はしなかった。本来なら、東小に通う住所なんだけどね」
「そうなんだ」
「綿矢ナツさんは東小なの?」
「うん、そうだよ」
「へえ。じゃあ小学校からの友達いっぱいいるね」
「ん~。そんなに多くはないけど」
「あ、綿矢ナツさんってさ」
「ちょ、ちょっと待って相良くんっ」
はじめましてにもかかわらず、すいすいとスムーズに進められていく会話に、肝心なことを聞きそびれてしまいそうになったわたしは、途中で待ったを入れた。
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