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第15話 ネクスト・トラブル

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「師匠
 なんであの銃盗まれたんですか?」
「今はトレーニング中なんだから
 集中しろ」

ナインはサイに銃の扱いのトレーニングを始めた

今日はナインの家の中で
トリガープルのトレーニング
小型の銃カンパリを体の正面で構え
銃の上に小さな水入りのコップを乗せ
水がこぼれない様に
ひたすらトリガーを引く
という練習
当然空撃ちでである

「こんな地味なトレーニングじゃなくて
 実弾使った射撃訓練に行きましょうよ」
「馬鹿野郎
 弾だってただじゃねーんだ
 まず基本ができてからだ
 ほら
 腕下がってんぞ」
ナインはサイの腕を正しいポジションに戻す
「にしても
 お前本当に女みてーな細腕だな
 もっと鍛えとけよ」
「うるさいなー」
「ほら
 トリガーは指の腹だってつってんだろ
 関節で巻き込んだららズレるんだよ」
「もう疲れたよ!」
「疲れてからが重要なんだよ
 戦場ってのは常に疲弊した状態だと思ってろ」
時折文句は言うもののサイは懸命にトレーニングに励んだ
これまで全く相手にされていなかったので
ちゃんと相手にしてくれている時間が嬉しかったのだ

「よし
 今日はここまでだ」
「ぷはー
 しんどい」
サイは大の字で床に倒れた
寝ながらサイはナインにさっきの質問をする
「師匠
 そろそろあの銃の事教えてくださいよ」

あの銃とは先日
トランプ傭兵団の裏切者であるロウが盗んでいった銃の事だ

「あの銃は
 団長が死んだ時に持っていた銃だ」
「団長って確か師匠の尊敬してた
 テンペストさんでしたっけ
 ナンバーはたしか10」
「そうだ
 でも
 なんでお前が知ってる?」
「サッソさんに色々と聞いて勉強してます
 師匠はあまり話してくれないから」
「サッソか……
 言っとくけどあまりトランプの事には関わるな
 って聞くほど素直じゃねーんだよな
 お前は」
「オレも裏切り者のジュダって奴の事調べましょうか!」
「バーカ
 俺や元団員のみんなが探して見つからないんだ
 お前みたいな小僧に何が出来る」
「師匠の役に立ちたいって言ってるのに」
「いいから
 お前は自分の身が守れる力があれば
 それでいい」
「で
 元団長が持ってた銃をなんでロウは盗んでいったんですか?」
「ジュダが
 自分に繋がる何かを恐れたんだろう
 正直あの銃は謎が多かった
 そもそもどこで誰が使った銃かもわからなかった」
「ライオットさんにも見てもらったんですか」
「お前ライじいの事まで知ってんのか?」
「はい元トランプの人の名前とナンバーは大体覚えました」
「はー
 サッソの奴
 そんなに暇なのか」
ナインはため息をつく
「ライじいにも当然見せた
 でも何も分からないって言われたよ」
「でもなんで今盗んだんでしょうね
 だってもう団が壊滅してから数年経つんですよね」
「ああ
 俺もそれが気になってはいる
 俺が持ってる事を最近知ったか
 何かのほとぼりが冷めるのを待っていたのか
 ただこれに関しては手掛かりがなくなったから
 今はほっておく」

「さて
 俺は傭兵ギルドに行くから
 お前は帰れ」
「仕事ですか!
 オレも一緒に」
「ひよっこ以下のお前を連れていけるか」

傭兵ギルド
いつもの様にサッソが笑顔で迎える
「今日はお弟子さん一緒じゃないんですか?」
「仕事に連れて行けるかよ
 で
 手ごろな仕事は?」
「えっと
 1カ月以内で1万でしたっけ?
 でも
 ちょっと前にレースの賞金で大金手に入れてましたよね?」
「借金の支払いで全部消えたよ」
「あれだけの金額を
 少しくらい残しておけばいいのに」
「いいから
 仕事をよこせ」
「ちょっとお待ちを
 えーとですね
 運搬護衛系でなら
 ちょうど条件にある依頼が
 ただ
 良いんですか?
 天下のナイン・スペード様がこんなちんけな依頼を」
「背に腹はかえられないんだよ」
「しかもなんだかきな臭い感じもしますよ」
「いつもの事だろ」

そしてまた厄介な仕事に巻き込まれてるナインだった
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