男子高校生を生のまま食べると美味しい

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第21話 また偶然遭遇したり?

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 やはり、心配。

 このままの状態で、ダイチくんを来年三月の春休みにアルバイトとして製造ラインに放り込んでも大丈夫だろうか?
 うまくいく姿がイメージできない。

 正直、厳しいと思う。
 ポテンシャル的にはもちろん問題はないと思うのだけれども、やはり学生臭が強すぎる。

 高卒の製造職については、今年の三月も、その前の年の三月も、私は「大丈夫だろう」とそのままアルバイトに送り出していた。

 その期間中に現場を視察をしたことはない。
 けれども、後から本人たちに聞いた話では「かなり怒られた」「凹んだ」とのこと。
 給料が発生しているので当たり前かもしれないが、結構な厳しさで指導を受けていたそうだ。

 前回までは『大丈夫だろうレベル』で送り出してその結果だ。
 今回の『とてもヤバいレベル』では、今から不安しかない。



「どうすればいいかなあ」

 仕事を終えて家に帰り、食事や風呂など全て終え。
 ベッドにダイブしてからも、それを考えていた。

 よその会社の担当者はこういう不安があるとき、どうしてるんだろう……と思ってしまう。

「いや、よそは参考にならないか」

 他社では『内定者研修』があるところが多い。
 外部や内部のセミナーや、通信教育などで、ビジネスマナーや社会人としての心構えを身につけさせている。
 その上で入社させるため、今回の私のような悩みは発生しないところが多いだろう。

「うーん。うちはなぜ研修がないんだー」

 うちは慣例により、内定者研修を特にやっていない。
 製造職は三月の春休みのアルバイトが内定者研修のようなものだが、そこではビジネスマナーや心構えなどから教えてくれるわけではない。
 いきなり製造現場へヒョイと放り込む形だ。

 そうなると手としては、また夜な夜な個人レッスン……?
 それでも私はまったく構わない。
 むしろまた個人的に会い続ける理由が出来……

「……じゃなくて」

 おバカな私の中の一部勢力を、枕と一緒に放り投げた。

 個人レッスンは今回ちょっとベストな選択とは言えない。
 ビジネスマナーということになると、私も専門家ではないためだ。
 私が新卒で入社した頃も内定者研修は当然なかったため、私自身があまりきちんとしたビジネスマナーの教えを受けたことがないのだ。

「できればちゃんとした形で教わったほうがいいんだよなあ」

 でもうちの会社は研修ないし。むむむ。



 ……いや、待てよ。

「なるほど。内定者研修、か」

 慣例で内定者研修がないなら、これからは毎年やるようにしてしまえばよいのでは?

 うちの会社になくて、よその会社にある。
 つまりそれは、うちの会社はその部分で他社より遅れているということを意味するだろう。
 ならば、その遅れている部分を改善する、というのは会社にとってプラスのように思える。

 来年以降もダイチくんのような、人事担当者から見て不安になるような内定者があらわれることがあるかもしれない。
 そのような者を入社前に少しでも仕上げられれば、配属部署も助かるだろうし、内定者も入社後のストレスが軽減するだろう。

 さらには、今後の新卒求人の際に『内定者研修が充実しています』とアピールできる点も大きいのではないだろうか?
 中には、就活エントリーの段階から「入社後にやっていけるか自信がない」と悩んでいる学生だっているだろうから。

 うん。メリットは沢山ありそうに思えてきた。
 やはり会社の未来のためにもやったほうがいい。

 年度の経営計画には、新卒採用関連の費用はかなり多く見積もっている。
 毎年毎年、使い切らずに余らせていた。
 なので、予算には余裕がある状態のはず。

 提案すれば、許可は貰えるのではないだろうか?



 ◇ ◆ ◇ ◆ ◇



「ダメ」

 翌日、部長席に行って提案したら、あっさりとそう返された。

「えー!? 何でですか?」
「前例がないからな」

「でも他の会社はやってますよ?」
「ほう。ではうちはうち、よそはよそという論法で却下することにするか」

「いや、でもこれは会社のためによいことですよ? 予算も年度計画の範囲内に収まります」
「ふふふ。じゃあ単純にめんどくさいからという理由で却下としよう」

 はい?
 耳を疑うような理由が飛んできたので、私はさらなる説明を求めた。

「理由がめんどくさいじゃ納得できません」
「ほう、ずいぶん食い下がるな」

 部長は少しだけ謎のニヤリとした笑みを浮かべると、
「じゃあ納得できるように話そうか」
 と言って続けた。

「金額的には社長決裁にはならないだろう。だが、最終的な決裁権限者は私ではなく担当役員、つまり本部長になるんだよ。
 今ここで私が『いいね』と言ってしまうと、上長である私がアオイくんの意見に賛同したことになってしまうじゃないか」

「賛同すると何か問題でもあるんですか?」

 まだ意味が分からない私は聞き返した。

「こういう過去の慣例を変えてしまうようなことは、いきなり稟議書を回すわけにはいかない。
 根回しのために管理本部長に先に話をしなければならないだろう。
 そうなると、説明する役は私になってしまう。わからないものは説明できないから、私も他社の動向や、内定者研修の内容、その効果などを勉強しないといけないじゃないか。
 ならば、私はもう定年待ちモードで楽したいんで拒否――ということだ」

「むむむ。そう来たか」
「何がむむむだ。私も楽してる範囲内でそこそこ普段忙しいからな。
 まあ、もっとも……“それ”を読めば瞬時にすべてが理解できて、私が説明を付けなくてもそのまま本部長に流せるくらいの『素晴らしい完成度の資料』を作って持って来てくれるのであれば、まあ考えてやらんでもないが」

「くそぅ。このジジイ思ったより手ごわいわ」
「……だからそれは心の声だよな? 口に出したら意味ないぞ?」
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