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第4部 越谷アパセティックタウン

第55話

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 目を覚ましたハヤテは、すぐにそこが四畳半ほどの小さな部屋の中で、さほど大きくないベッドの上であることに気づいた。そして、まだ特殊戦闘スーツに身が包まれていることにも気づいた。

 さらに。
 もはや完全に力を使い果たしたらしいことにも気がついた。
 痛みはさほどでもないが、手足に力が全く入らない。しびれ切っている。

「あっ、お兄さん気がついたんだ。よかった」

 ベッド横にあった学習デスクの前の椅子に座っていたのは、あかね色のタンクトップとデニムのパンツを着ている褐色の少年だった。

「もしかして……お前が運んでくれた?」
「うん」
「一人で、か? 重かっただろ」
「ちょっと前まで親の介護をやってたからさ。割と慣れてるんだよね」
「そ、そうか……。ありがとな」

 口はしっかり動くようなので、ハヤテは寝たままで少年に礼を言った。

「生きててよかった。死んだかと思ったよ」
「俺けっこう頑丈だぞ。あれくらいじゃ死なねえよ」
「でも、あの獣機が『死んだか』とか言ってたから」
「変身すると……獣機からは人間の生体反応がないように見えるらしい。たぶん俺が気絶したから、死んだと勘違いしたんだろ」
「じゃあ、大丈夫なんだね?」
「ああ、ヒーローはこんなのヘーキだ。でも今度こそ力使い切っちまったから、ちょっとだけ休ませてもらってもいいか?」
「もちろん」
「悪いな。俺、回復早いから、すぐ歩けるようにはなると思う」

 少年はベッドのすぐ横に座り込むと、じっとハヤテの顔を見つめた。

「……あのさ。お兄さんまだ変身してるし、うちの中にいるってことは、今は安全ってことでいい?」
「ん、そうなんじゃないか? 大きな声出したりしなければ」
「なら……さっきの続き、やろ」
「続き?」
「ごめん。なんかムラムラしちゃってダメみたい」

 褐色の手が、特殊戦闘ボディスーツに包まれたハヤテの股間に伸びる。

「お、おい……」
「このヒーロースーツ、ゆっくり伸ばすとすごく伸びるなあ。股の下のところはけっこう薄い造りになってるみたいだね」
「……ぅっ……わ、わざわざ触らなくていいっ」
「ちょっと穴のあたりをコチョコチョさせて」
「はアぁッ!!」

 肛門をスーツ越しに触られた瞬間に、ヘルメットに包まれたハヤテの頭がビクンと反応した。

「うーん、ちんこ並にここも弱そう」
「ぅぁっッ……ぁぁっ……ぁあっ……」

 少年は継続して指先で肛門をくすぐるように擦り続けた。ヘルメットの中からハヤテの声が漏れ続ける。

「じゃ、そろそろいこうかな」
「……!」
「オレがスパッツ破いちゃったから、ヒーロースーツの中は下半身ハダカのはずだよね? このまま入れられるかやってみる」

 少年は立ち上がると、デニムの半ズボンと、ボクサーパンツを脱いだ。
 すでに勃起していたソレは、大きさはハヤテに比べれば小さく、皮も剥けていなかった。が、きれいな上反りの形をしていた。
 少年は二本の指でスッと皮を下ろす。勃起時に手でやれば剥けるようである。
 そしてベッドの上にあがり、ハヤテの両脚を広げながら持ち上げた。

「お、おい、い、いい加減にし……あっッ」

 少年のモノが肛門に当たった瞬間に、またハヤテの口から声が漏れた。

「よーし、いくよ」
「あっ、やめ――」
「すごいきつそうだけど……押し込んでいいのかな」
「あっ、う、うっ……あ……うううっッ!」
「は、入った……本当に入るんだ」

 心底感動したような少年の声。
 一方、ハヤテは焦ったように体に力を入れるが、やはりまだ思うように動かない。

「ぬ、抜いてくれ!」
「ごめん無理。前もいじる」

 挿入したまま、半勃ち状態のハヤテの陰茎をボディスーツ越しにしごいていく。

「あうああっッ」
「うわあ、えっちな声。もっと聞きたい」
「ああぁあっッ」
「タマ裏もこすってみるね」
「くうううっぁッ」
「ヒーロースーツってツルツルして触るの気持ちいい」
「はあ゛あ゛ああっッ!」

 少年は挿入部位がおろそかになっていたことに気づき、次のアクションに入ろうとした。

「あ、これ、腰動かして奥を突く感じにしたほうがいいんだっけ」
「ぐ……ううっ……ぐ、ぐっ……!」
「こんな感じかなア」
「ぐぐ……うぁッ!?」

 少年が自らの陰茎でハヤテの奥を突いていくと、突然ハヤテの体がビクンと大きく痙攣し、声色に変化が生じた。

「あれ、気持ちいいとこに当たった?」

 褐色少年がヘルメットのグラス部分をのぞき込んだ。

「うわあ、えっちな顔してるなー。お尻の中に気持ちいいところがあるって聞いたけど。これでいいってことかな。続けるよ!」
「うああぁっ! はああっッ!」
「あー、気持ちいい……」

 少年が腰を気持ちよさそうに、ハヤテがヘルメットに覆われた頭部を苦しそうに、激しく振る。

「あああっ……ま、待て、や、やべえ……な、なんか、ま、また――」

 そして。

「で、出ちまうッ! うああっッあああっッ――!!」
「お兄さん、オレもイクよ。ぅっッ!」
「……」
「はぁ……はぁ……あ、またお兄さん気絶しちゃった」

 ハヤテはぐったりして動かなくなった。






「あっ、お兄さん。起きた?」

 ハヤテの気絶前と比べ、褐色少年の雰囲気は一変していた。
 一転、心底すまなそうにうなだれている。

「ごめんなさい。オレ、やっぱり逮捕される? ヒーローにこんなことして」
「あのなあ……反省するなら最初からするなって」
「なんかさ、イったら頭が急に冷めた感じが……これが賢者モードってやつなのかな」

 褐色少年がため息をつきながら、自身の額を触っている。

「まあ、それは心配しなくていいはずだぞ」
「どういうこと?」
「これ言っていいのかな? まあいっか。ヒーローってちょっと扱いが特殊だ。コセキってのがなくて、IDカードもなかったり、ケンコーホケンにも入ってなかったり、ゼイキン取られなかったり……ああ、それはいいことか。まあ、国民扱いじゃなくてだな。ホーリツに守られてない、というよりも存在しない人間扱いだ。殴っても罪にならないし、たぶん……殺しちまっても殺人にならないんじゃないか」
「え!? なんで!? ひどくない?」
「まあひどいかどうかは知らねえけど。ヒーローってそういうものなんだ。でも俺の相棒が上の人間を通していろいろ言ってくれて頑張ってるらしくてさ、そのうち変わるかもな。でも今はまだ、お前は無罪だぜ」
「そっか、よかった」
「でも、もうこういうことするなよ?」

 ハヤテは上半身を起こすと、褐色少年の頭を優しくポンと叩いた。

「こういうことをしたいって思うのは、オレ、やっぱり異常なの? 同級生はそんなの思わないって言うし、街の大人に聞いても『どうだったか』とかヌボーっと言われるだけだし。みんなネットの掲示板で相談しようにも、この街はそういうのはフィルターにかかって消されちゃうし」
「あー、俺もそういうのよくわからないんだよな。ただ……思うのは、たぶん異常じゃないぜ」
「ほんと?」
「ああ。逆にお前が普通に近いんだろうな……。この街の連中、ちょっと変というか、まだ何人も見たわけじゃねえけど、俺から見ても違和感はあったからな。あんまカンジョーがなさそうな雰囲気というか」
「よかった……」
「でも俺はよくねえぞ」
「あはは、ごめんね」

 ハヤテが少年の頭を、もう一度ポンと叩く。
 そして壁にかかっていた時計をチラッと見て、ベッドの上から降りた。 

「あ、お兄さんどこ行くの」
「休ませてもらったおかげかな? もう手足は動くみたいだ。あの獣機が言ってた感じだと、相棒のとこに早く行かなきゃいけないから、病院に行くぜ。昼間だと迷惑かけちまうかもしれないから、まだ暗いうちに出る」
「ならオレ案内するよ。お兄さん、道わからないでしょ」
「サンキュ。じゃあ入り口近くまで頼む。そこからは危ないから俺だけで行くぜ」

 準備を整えると、二人は夜明け前の闇の中、湖畔にあるという病院へと向かった。
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