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第3部 遺された漁港・銚子
第42話
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「お前、まだ帰ってなかったのか。危ないぞ? 獣機が出るかもしれないんだしよ」
それが、目の前に来て電動スケートボードから降りた子供に対し、ハヤテが発した言葉だった。
「オレ、毎週ここに来てるけど。一回も出たことないよ」
そっけない返事。
過去にこんな子供を相手に会話したことはないため、ハヤテの調子は狂う。
「え? あ、いやいや、今さっき出たんだよ」
手を振るジェスチャーをしようとして、拘束されたままであることを忘れていたことに気づいた。
「って、俺、縛られてたんだった! 悪い。避難する前に、これをほどいてくれると助かる」
子供に助けを求めるのは情けないけどな――と、苦笑いする。
しかし、子供は冷たい目でハヤテの体を眺め続ける。
「巻き付けて引っかけてるだけみたいだから、子供でもほどけると思うぞ。この鎖を――」
「まだわかんないの?」
やはり子供にしては冷めた声で、ハヤテの言葉をさえぎった。
「アンタをそこに縛ったの、オレだよ」
「な、何だって!?」
「たまたま外を通ったら音が聞こえてきたからさ。来てみたらアンタが気絶してた……。でさ、オレがなんでアンタが起きるまで待ってたのか、わかる?」
「ど、どういうことだ?」
「オレ、ヒーロー、嫌いだから。殴るのに相手が寝てたらつまんないだろ」
子供が右足を引き、サッカーのように蹴る。
そのつま先が行くのは、拘束されているハヤテの側腹部。
「……」
その蹴りは、ヒーロースーツに吸収された。火花を散らすこともできない。
なおも子供はハヤテを蹴る。そして、踏みつけも入れる。
細い体の線、そして軽い体重、腰の入っていないフォーム。
灯台のときと同様、変身しているハヤテの体にはまったくこたえるものではない。
だが、物理的ではないダメージが確実にハヤテの心をえぐっていく。
「なんでだ。なんでヒーローを嫌うんだ? 理由を教えてくれ」
「へえ。ヒーロースーツ、やっぱり頑丈なんだな」
子供はハヤテの質問には答えなかった。
足で電動スケートボードを立たせ、先を両手で持つ。
そしてそれをバットのように使い、ハヤテの腹部に打ち付けた。
「っ……! お、おい!」
打ち付ける瞬間、スーツ表面に鍛えられた腹筋がグッと浮き出た。ハヤテが力を入れたのだ。
ヘッドギアからわずかに息の音が漏れたが、やはりダメージはあるようには見えない。
「これでもダメか」
子供は小さく舌打ちして、電動スケートボードを置いてハヤテの横にしゃがみこんだ。
挙上されているハヤテの二の腕を軽くつかむ。
「柔らかいのに頑丈って、どうなってんだ。握ると普通に指は入るのに」
ハヤテがやや身じろぐ。
そこで子供は一つの“気づき”があったようだ。
「速く強い力は通しにくくて、ゆっくりで弱い力は通しやすい仕組みになってるのか」
「そ、そうだ。攻撃はある程度防げないといけないし、でも動きやすくないといけない。感触だって生身と同じくらいしっかりと感じないとダメだからな」
「フン」
子供の右手が伸びる。
今度は、グーに握らずに。
そして行き先は上半身でなく、下半身――。
「ぅあっ!?」
不意な股間への刺激に、変な声が出るハヤテ。
「お、おい! どこ触ってんだ!」
「殴るのはやめだ。意味ないみたいだし」
包み込むように睾丸や陰茎を握り、揉む。
「ぁっ……!」
体をくねらせて逃れようとするハヤテだが、鎖がほどけない以上はその手から逃れられない。
「目いっぱい恥かかせてやんよ」
「ちょ、ちょっと待て! うっ……ぁ……」
鍛えられてバネのある体をくねくねと動かすハヤテ。
子供はお構いなしとばかりに、なおもヒーロースーツ越しに股間を揉んでいく。
「あっ……や、やめてくれ…………!」
やがて、柔らかかった陰茎が徐々に芯を持ち始め、膨張していった。
「……っ……ぁ……」
「へえ、ヒーローもチンポ揉まれると勃つわけ?」
(続く)
それが、目の前に来て電動スケートボードから降りた子供に対し、ハヤテが発した言葉だった。
「オレ、毎週ここに来てるけど。一回も出たことないよ」
そっけない返事。
過去にこんな子供を相手に会話したことはないため、ハヤテの調子は狂う。
「え? あ、いやいや、今さっき出たんだよ」
手を振るジェスチャーをしようとして、拘束されたままであることを忘れていたことに気づいた。
「って、俺、縛られてたんだった! 悪い。避難する前に、これをほどいてくれると助かる」
子供に助けを求めるのは情けないけどな――と、苦笑いする。
しかし、子供は冷たい目でハヤテの体を眺め続ける。
「巻き付けて引っかけてるだけみたいだから、子供でもほどけると思うぞ。この鎖を――」
「まだわかんないの?」
やはり子供にしては冷めた声で、ハヤテの言葉をさえぎった。
「アンタをそこに縛ったの、オレだよ」
「な、何だって!?」
「たまたま外を通ったら音が聞こえてきたからさ。来てみたらアンタが気絶してた……。でさ、オレがなんでアンタが起きるまで待ってたのか、わかる?」
「ど、どういうことだ?」
「オレ、ヒーロー、嫌いだから。殴るのに相手が寝てたらつまんないだろ」
子供が右足を引き、サッカーのように蹴る。
そのつま先が行くのは、拘束されているハヤテの側腹部。
「……」
その蹴りは、ヒーロースーツに吸収された。火花を散らすこともできない。
なおも子供はハヤテを蹴る。そして、踏みつけも入れる。
細い体の線、そして軽い体重、腰の入っていないフォーム。
灯台のときと同様、変身しているハヤテの体にはまったくこたえるものではない。
だが、物理的ではないダメージが確実にハヤテの心をえぐっていく。
「なんでだ。なんでヒーローを嫌うんだ? 理由を教えてくれ」
「へえ。ヒーロースーツ、やっぱり頑丈なんだな」
子供はハヤテの質問には答えなかった。
足で電動スケートボードを立たせ、先を両手で持つ。
そしてそれをバットのように使い、ハヤテの腹部に打ち付けた。
「っ……! お、おい!」
打ち付ける瞬間、スーツ表面に鍛えられた腹筋がグッと浮き出た。ハヤテが力を入れたのだ。
ヘッドギアからわずかに息の音が漏れたが、やはりダメージはあるようには見えない。
「これでもダメか」
子供は小さく舌打ちして、電動スケートボードを置いてハヤテの横にしゃがみこんだ。
挙上されているハヤテの二の腕を軽くつかむ。
「柔らかいのに頑丈って、どうなってんだ。握ると普通に指は入るのに」
ハヤテがやや身じろぐ。
そこで子供は一つの“気づき”があったようだ。
「速く強い力は通しにくくて、ゆっくりで弱い力は通しやすい仕組みになってるのか」
「そ、そうだ。攻撃はある程度防げないといけないし、でも動きやすくないといけない。感触だって生身と同じくらいしっかりと感じないとダメだからな」
「フン」
子供の右手が伸びる。
今度は、グーに握らずに。
そして行き先は上半身でなく、下半身――。
「ぅあっ!?」
不意な股間への刺激に、変な声が出るハヤテ。
「お、おい! どこ触ってんだ!」
「殴るのはやめだ。意味ないみたいだし」
包み込むように睾丸や陰茎を握り、揉む。
「ぁっ……!」
体をくねらせて逃れようとするハヤテだが、鎖がほどけない以上はその手から逃れられない。
「目いっぱい恥かかせてやんよ」
「ちょ、ちょっと待て! うっ……ぁ……」
鍛えられてバネのある体をくねくねと動かすハヤテ。
子供はお構いなしとばかりに、なおもヒーロースーツ越しに股間を揉んでいく。
「あっ……や、やめてくれ…………!」
やがて、柔らかかった陰茎が徐々に芯を持ち始め、膨張していった。
「……っ……ぁ……」
「へえ、ヒーローもチンポ揉まれると勃つわけ?」
(続く)
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『勇者の股間触ったらエライことになった』
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