友達が僕の股間を枕にしてくるので困る

ベータヴィレッジ 現実沈殿村落

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第1話

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 小学校からの付き合いである友人・陸斗は、漫画を読むことが好きだ。

 和室六畳間の僕の部屋には、漫画雑誌や単行本がたくさんある。
 だから、休日になると彼はうちに来て、漫画を読む。

 一緒にゲームやらない? と言っても乗ってこない。ひたすら漫画を読み、そして帰る。
 目的は漫画であり、僕と遊ぶために来ているわけではないようだ。

 まあ、たぶん、それだけなら問題はない。
 問題は、読み方にある。

「陸斗」
「んー?」

 彼のとぼけた声が、僕の股間から返ってくる。

「なんで僕の股間を枕にするわけ? お前のぶんの座椅子あるのに」
「んー……なんか落ち着くし、目が疲れたらそのまま寝られるし」

 僕は、自分用の座椅子に足を投げ出すように座って、ひたすらゲームをやる。
 彼は、僕の両足の間に寝転がって、頭を僕の股間の上に乗せて、今人気爆発中の少年漫画を読む。

 小学生時代からそうだったのだが、だんだん恥ずかしくなってきたので、今日は彼の座椅子を準備していた。
 なのに、無視された。

 漫画を一冊読み終わると、彼は本棚まで交換に行く。
 そこで僕は両足を閉じて股間を封鎖してみた。
 しかし戻ってきた彼は、ご丁寧に僕の両足をこじあけて、また股間枕の状態に戻っていた。

「もう僕ら中学生だし、そろそろ普通に座らない?」
「んー」

 またとぼけた声で返事が来た。
 彼は、学校だとシャキっとしている。
 頭も顔もいいし、誰にでも親切だし、サッカー部だし、教師陣やクラスの女性陣からの評価も高い。
 バレンタインデーにチョコレートをたくさんもらっていたことも、僕は知っている。
 なのにコレはいかがなものか。

「その『んー』の意味がわかんないんだけど。『はい』なの?『いいえ』なの?『検討中』なの?」
「うんぅー……」

 さらに意味不明な答えが返ってきて、結局よくわからなかった。



(続く)
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