28 / 58
第三章 修行の日々
第1話 待ち合わせ
しおりを挟む
翌日の夕方。
どうやら私が一番乗りのようだ。まだ知っている顔の人は、誰もいない。
夏の風景になりつつあるこの大同公園を、私___加奈は見ていた。
今日、この公園に来た理由は、自然をたしなむためではなく、子供の様に遊具で遊ぶのでもなく、はたまたデートでもない。では、それ以外に何があると?それは昨日のことである。
昨日、私達は誘拐犯に成りすました怪魔を撃破(私はなんもしてないけど)。その際、私と由紀ちゃん、そして春の他、もう一人幻魔の仲間がいることが発覚。今日はその4人で、つい5日前、突如現れた謎の神様・松ノ殿の話を聞くことになっている、はずだが。
結構遅い。みんなも、松ノ殿も。3人は委員会活動があるからいいとしても(私の学校は、委員会の活動日がそれぞれ違う)、松ノ殿が遅れる理由が思いつかない。昨日自分から4時って言ったのに、もう10分過ぎた。
「どういうことだよ、これ。せめてなんか夢でもいいから、遅れるって教えてくりゃあ、良いのに」
周囲に怪しまれながら、文句をこぼしていた。
もうそろそろ、皆も来ていいと思うけど・・・。
「よ」
「遅れてごめーん」
噂をすれば。仲間の3人がやって来た。これでまあ、ヒマはしないだろう。
「ゆっくりだったね」
なるべくさっきまでの、イライラを隠すように言った。私は結構、感情を隠すのが苦手だ。気を付けなければ、バレてしまうことがある。
由紀ちゃんは私の気持ちを読み取ったようで、優しく言った。
「先輩に仕事、押し付けられちゃってさ。断っても怖いし、まじめにやって来た。千代ちゃんも一緒だって」
「そっか。春は」
私は由紀ちゃんの肩から、覗き込むように春を見た。
「私?私は、実行委員会の会議が長引いて」
「ああ、体育祭の」
「うん」
由紀ちゃんから聞き、後に本人から仕入れた情報だと、彼女は体育祭実行委員会だ。私も小学校の時、修学旅行の実行委員会をやったから、気持ちはよく判る。
実行委員って楽しそう、と思ったのもつかの間。会議に次ぐ、会議で大変。臨時会議もやるから、それもめんどいとしか思えない。ただ、そうやって一生懸命取り組んで企画を考え、みんながそれで喜んでいるのをみると、すごくうれしいのだ。すごくやりがいを感じる。
脱線しちゃったね。話を戻そう。
普通、舗装された地面と生の土とは境界線として柵が立っている。
その柵を構わず飛び出して、草をかき分け、何かを探している子がいた。千代ちゃんだ。
そんな所に居て、大丈夫だろうか。
「あ!」
何か見つけたらしい。手に持っていたのは、ピンク色の花だった。
「それ何?」
思わず私は聞いていた。
「フロックスだよ。今が旬の花でね。花言葉は、『一致』」
異国の言葉を帰国子女が、流暢に話すかのように、彼女は説明してくれた。
「千代ちゃん、賢いねー」
由紀ちゃんが感嘆の声を上げると、千代ちゃんは満面の笑みで言った。
「私、植物のこと知るのが好きなんだ。良く自然センターとか、週1で行くよ」
この町には、自然観察やウォーキングなどに使える自然センターという物が存在する。私なんて、小4の校外学習から、一回も行ったことないのに、この人は週1だなんて・・・。
「ああ、空気が美味しくて、自然もいっぱいのあそこ?」
「うん。それ」
正直言って、話に乗れないんだけど。私。どしたらいい?そんな状況についてこれる、私の親友。凄い。
「私もよく行くよー。お母さん、そこで働いてるから」
「へー」
それ、初耳なんですけど。
「そうだっけ!?」
私は驚き口調で言った。
「あれ、言わなかった?」
きょとんした顔で見てきた。
すると春が、急に口を開いて言った。
「千代。そこ、立ち入り禁止じゃない?草がしおれちゃうよ」
その口調は、どこかで聞いたことがあり、優しかった。
そこで千代ちゃんは我に返り、
「あ、そっか」
と言って、柵の内側から出た。
いや、気付かなかったんかい!と突っ込みたくなるが、言わぬが花だろう、花だけに(草)。
そんな私達だけの、平和な時間が流れていた時。
「やあ、遅くなった。準備に時間がかかった」
あの、松ノ殿がやって来た。
どうやら私が一番乗りのようだ。まだ知っている顔の人は、誰もいない。
夏の風景になりつつあるこの大同公園を、私___加奈は見ていた。
今日、この公園に来た理由は、自然をたしなむためではなく、子供の様に遊具で遊ぶのでもなく、はたまたデートでもない。では、それ以外に何があると?それは昨日のことである。
昨日、私達は誘拐犯に成りすました怪魔を撃破(私はなんもしてないけど)。その際、私と由紀ちゃん、そして春の他、もう一人幻魔の仲間がいることが発覚。今日はその4人で、つい5日前、突如現れた謎の神様・松ノ殿の話を聞くことになっている、はずだが。
結構遅い。みんなも、松ノ殿も。3人は委員会活動があるからいいとしても(私の学校は、委員会の活動日がそれぞれ違う)、松ノ殿が遅れる理由が思いつかない。昨日自分から4時って言ったのに、もう10分過ぎた。
「どういうことだよ、これ。せめてなんか夢でもいいから、遅れるって教えてくりゃあ、良いのに」
周囲に怪しまれながら、文句をこぼしていた。
もうそろそろ、皆も来ていいと思うけど・・・。
「よ」
「遅れてごめーん」
噂をすれば。仲間の3人がやって来た。これでまあ、ヒマはしないだろう。
「ゆっくりだったね」
なるべくさっきまでの、イライラを隠すように言った。私は結構、感情を隠すのが苦手だ。気を付けなければ、バレてしまうことがある。
由紀ちゃんは私の気持ちを読み取ったようで、優しく言った。
「先輩に仕事、押し付けられちゃってさ。断っても怖いし、まじめにやって来た。千代ちゃんも一緒だって」
「そっか。春は」
私は由紀ちゃんの肩から、覗き込むように春を見た。
「私?私は、実行委員会の会議が長引いて」
「ああ、体育祭の」
「うん」
由紀ちゃんから聞き、後に本人から仕入れた情報だと、彼女は体育祭実行委員会だ。私も小学校の時、修学旅行の実行委員会をやったから、気持ちはよく判る。
実行委員って楽しそう、と思ったのもつかの間。会議に次ぐ、会議で大変。臨時会議もやるから、それもめんどいとしか思えない。ただ、そうやって一生懸命取り組んで企画を考え、みんながそれで喜んでいるのをみると、すごくうれしいのだ。すごくやりがいを感じる。
脱線しちゃったね。話を戻そう。
普通、舗装された地面と生の土とは境界線として柵が立っている。
その柵を構わず飛び出して、草をかき分け、何かを探している子がいた。千代ちゃんだ。
そんな所に居て、大丈夫だろうか。
「あ!」
何か見つけたらしい。手に持っていたのは、ピンク色の花だった。
「それ何?」
思わず私は聞いていた。
「フロックスだよ。今が旬の花でね。花言葉は、『一致』」
異国の言葉を帰国子女が、流暢に話すかのように、彼女は説明してくれた。
「千代ちゃん、賢いねー」
由紀ちゃんが感嘆の声を上げると、千代ちゃんは満面の笑みで言った。
「私、植物のこと知るのが好きなんだ。良く自然センターとか、週1で行くよ」
この町には、自然観察やウォーキングなどに使える自然センターという物が存在する。私なんて、小4の校外学習から、一回も行ったことないのに、この人は週1だなんて・・・。
「ああ、空気が美味しくて、自然もいっぱいのあそこ?」
「うん。それ」
正直言って、話に乗れないんだけど。私。どしたらいい?そんな状況についてこれる、私の親友。凄い。
「私もよく行くよー。お母さん、そこで働いてるから」
「へー」
それ、初耳なんですけど。
「そうだっけ!?」
私は驚き口調で言った。
「あれ、言わなかった?」
きょとんした顔で見てきた。
すると春が、急に口を開いて言った。
「千代。そこ、立ち入り禁止じゃない?草がしおれちゃうよ」
その口調は、どこかで聞いたことがあり、優しかった。
そこで千代ちゃんは我に返り、
「あ、そっか」
と言って、柵の内側から出た。
いや、気付かなかったんかい!と突っ込みたくなるが、言わぬが花だろう、花だけに(草)。
そんな私達だけの、平和な時間が流れていた時。
「やあ、遅くなった。準備に時間がかかった」
あの、松ノ殿がやって来た。
1
あなたにおすすめの小説
【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで
猫都299
児童書・童話
タイムリープしたかもしれない。中学生に戻っている? 夫に愛されなかった惨めな人生をやり直せそうだ。彼を振り向かせたい。しかしタイムリープ前の夫には多くの愛人がいた。純愛信者で奥手で恋愛経験もほぼない喪女にはハードルが高過ぎる。まずは同じ土俵で向き合えるように修行しよう。この際、己の理想もかなぐり捨てる。逆ハーレムを作ってメンバーが集まったら告白する! 兄(血は繋がっていない)にも色々教えてもらおう。…………メンバーが夫しか集まらなかった。
※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、Nolaノベル、Tales、ツギクルの6サイトに投稿しています。
※ノベルアップ+にて不定期に進捗状況を報告しています。
※文字数を調整した【応募版】は2026年1月3日より、Nolaノベル、ツギクル、ベリーズカフェ、野いちごに投稿中です。
※2026.1.5に完結しました! 修正中です。
星降る夜に落ちた子
千東風子
児童書・童話
あたしは、いらなかった?
ねえ、お父さん、お母さん。
ずっと心で泣いている女の子がいました。
名前は世羅。
いつもいつも弟ばかり。
何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。
ハイキングなんて、来たくなかった!
世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。
世羅は滑るように落ち、気を失いました。
そして、目が覚めたらそこは。
住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。
気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。
二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。
全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。
苦手な方は回れ右をお願いいたします。
よろしくお願いいたします。
私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。
石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!
こちらは他サイトにも掲載しています。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
9日間
柏木みのり
児童書・童話
サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。
大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance!
(also @ なろう)
【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?
釈 余白(しやく)
児童書・童話
網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。
しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。
そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。
そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。
【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~
丹斗大巴
児童書・童話
幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。
異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。
便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
四尾がつむぐえにし、そこかしこ
月芝
児童書・童話
その日、小学校に激震が走った。
憧れのキラキラ王子さまが転校する。
女子たちの嘆きはひとしお。
彼に淡い想いを抱いていたユイもまた動揺を隠せない。
だからとてどうこうする勇気もない。
うつむき複雑な気持ちを抱えたままの帰り道。
家の近所に見覚えのない小路を見つけたユイは、少し寄り道してみることにする。
まさかそんな小さな冒険が、あんなに大ごとになるなんて……。
ひょんなことから石の祠に祀られた三尾の稲荷にコンコン見込まれて、
三つのお仕事を手伝うことになったユイ。
達成すれば、なんと一つだけ何でも願い事を叶えてくれるという。
もしかしたら、もしかしちゃうかも?
そこかしこにて泡沫のごとくあらわれては消えてゆく、えにしたち。
結んで、切って、ほどいて、繋いで、笑って、泣いて。
いろんな不思議を知り、数多のえにしを目にし、触れた先にて、
はたしてユイは何を求め願うのか。
少女のちょっと不思議な冒険譚。
ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる