幻魔少女物語〜神様の失敗で人間から異界人になった8人の話〜

campanella

文字の大きさ
4 / 58
第一章 運命の始まり

第2話  宝玉

しおりを挟む
 放課後。
「なあ~。かなちゃ~ん」
 イヤな奴が話しかけてきた。彼は近藤雅一。幼なじみの、俗に言ういじめっ子だ。何かと昔から私に突っかかってくる。
「近衛さんと仲直りできなくて寂しいでしょ?俺と帰らない?近くにコンビニあるから、おごるよ」
「そんなのいいし。典道は。いつも一緒じゃん」
「あー、アイツ帰った。塾だってさ」
「そ」
 イライラオーラを、微妙に出しながら対応する。頼む。早く帰らせてくれ。私は今、気持ちが沈んでいるんだ。ナップを背負い、挨拶する。
「んじゃね。また明日」
 私の気持ちなど、知ったことかとでも言うように優しく話しかけてくる。
「冷たいなあ~。せめて顔見せろよ」
「・・・」
 私は前の扉から廊下に出る。
 すると後ろから足音がして、それが急に止まった。
「近衛に無視されて病んでるだろ!?」
 私はこめかみがきしんだ。ああ、そうだよ。たしかに今心は沈んでいる、病んでる。ただ。何も知らないお前に、口出す筋合いはない!
 だから。
「うるさい」
 それが精一杯だった。しかし雅一は煽るように私に向かって叫んだ。
「はあ!?聞こえねえよ!!」
 その時、私の中の なにか がキレた。
 自分でも怯むぐらいの大声で叫んだ。
「うるさいつってんだろ!!!」
 そういってふりかえる。
 雅一は、潰されたように顔をしかめた。
「えーなになに」
「タイマンか?」
 気づけばクラスメートどころか、隣の5組まで興味深そうに私を見ている。
 私は突然恥ずかしくなり、ズカズカと下駄箱に向かった。

 帰り道。
 私はため息ばかりついていた。
 思い出す度、後悔という2文字が脳裏をよぎっては消える。
 何もうまく行かない。人間関係も、運動も、成績も。自分は何も成し遂げられない。
 自暴自棄になっていた、その時。
「?」
 周りが霧に包まれていた。
「いつもの道通ったのに。変だな」
 前になにかある。
 ゆっくり近づいていくと段々と形がはっきりしていく。
 小さくて古そうな骨董屋が姿を盛大にみせていた。
 その店は私を呼んでいるようだった。
 まるで、手招きするように。おいでおいで、と言うように。
「・・・入ってみるか」
 入らないと、帰らせてくれなさそうな雰囲気だったので、入ってみることにした。
 カランコロン 。
 カフェとかによくある、ドアのベルがなる。
 バタン。
「こんにちは。どなたかいらっしゃいませんか」
 返事がない。もう一度言ってみる。
「どなたかいらっしゃいますか」
 やっぱり返ってこない。
「留守かな。でも店は開いてるし。」
 キラン。
「ん」
レジの方で、なにかが光った。
 見る限り、赤色をしている。
 私はカウンターに寄った。
 光っていたものは、何かしらの玉だった。
 驚く程に赤く、美しかった。
「それは神の宝玉ですよ」
 突然の声にびっくりした。弾かれたように、前を向く。
 するとさっきまで居なかったはずのおばあさんが、数珠をジャリジャリさせていた。
「それは神が作ったとされる、究極の玉です。持ち主にふさわしい者に触れたときには、強く反応すると言われています」
「へえー」
 私は何も考えずに、玉を持ってみた。
 すると。
 ビカアッ !!
 玉が太陽のように眩しく光った。私は慌ててもとの場所に置く。すぐに光が消えた。
「ま、ま、まさかあなたのような方に・・・反応するとは・・・」
 おばあさんが目を見開いて言った。手から、数珠が消えていた。間もなくボトっ、という音がした。数珠を落とす程びっくりしたんだな、そう思っていると。
「これ持っていきますか?よければ・・・差し上げますよ」
「え、いいんでしょうか」
「どんな物も、持ち主と一緒にいるほうが良いですからね。大事にしてください」
 私は一礼すると、店を出た。
 カランコロン。
 次にベルがなった時、世界が変わった。といっても、普通の通学路に戻っただけ。
 手には、赤い玉があった。私は悟った。あれは幻ではなく、本当に自分の身に起こったのだと。
 宝玉の光は随分弱まっていた。私はポケットにそれを突っ込んだ。

 前置きが長くなった。今ここに、すべてを話すことを宣言しよう。
 私達の、不思議な3年間の物語を。
しおりを挟む
感想 11

あなたにおすすめの小説

【完結】夫に穢された純愛が兄に止めを刺されるまで

猫都299
児童書・童話
タイムリープしたかもしれない。中学生に戻っている? 夫に愛されなかった惨めな人生をやり直せそうだ。彼を振り向かせたい。しかしタイムリープ前の夫には多くの愛人がいた。純愛信者で奥手で恋愛経験もほぼない喪女にはハードルが高過ぎる。まずは同じ土俵で向き合えるように修行しよう。この際、己の理想もかなぐり捨てる。逆ハーレムを作ってメンバーが集まったら告白する! 兄(血は繋がっていない)にも色々教えてもらおう。…………メンバーが夫しか集まらなかった。 ※小説家になろう、カクヨム、アルファポリス、Nolaノベル、Tales、ツギクルの6サイトに投稿しています。 ※ノベルアップ+にて不定期に進捗状況を報告しています。 ※文字数を調整した【応募版】は2026年1月3日より、Nolaノベル、ツギクル、ベリーズカフェ、野いちごに投稿中です。 ※2026.1.5に完結しました! 修正中です。

14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート

谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。 “スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。 そして14歳で、まさかの《定年》。 6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。 だけど、定年まで残された時間はわずか8年……! ――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。 だが、そんな幸弘の前に現れたのは、 「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。 これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。 描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。

星降る夜に落ちた子

千東風子
児童書・童話
 あたしは、いらなかった?  ねえ、お父さん、お母さん。  ずっと心で泣いている女の子がいました。  名前は世羅。  いつもいつも弟ばかり。  何か買うのも出かけるのも、弟の言うことを聞いて。  ハイキングなんて、来たくなかった!  世羅が怒りながら歩いていると、急に体が浮きました。足を滑らせたのです。その先は、とても急な坂。  世羅は滑るように落ち、気を失いました。  そして、目が覚めたらそこは。  住んでいた所とはまるで違う、見知らぬ世界だったのです。  気が強いけれど寂しがり屋の女の子と、ワケ有りでいつも諦めることに慣れてしまった綺麗な男の子。  二人がお互いの心に寄り添い、成長するお話です。  全年齢ですが、けがをしたり、命を狙われたりする描写と「死」の表現があります。  苦手な方は回れ右をお願いいたします。  よろしくお願いいたします。  私が子どもの頃から温めてきたお話のひとつで、小説家になろうの冬の童話際2022に参加した作品です。  石河 翠さまが開催されている個人アワード『石河翠プレゼンツ勝手に冬童話大賞2022』で大賞をいただきまして、イラストはその副賞に相内 充希さまよりいただいたファンアートです。ありがとうございます(^-^)!  こちらは他サイトにも掲載しています。

悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~

橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち! 友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。 第2回きずな児童書大賞参加作です。

生まれたばかりですが、早速赤ちゃんセラピー?始めます!

mabu
児童書・童話
超ラッキーな環境での転生と思っていたのにママさんの体調が危ないんじゃぁないの? ママさんが大好きそうなパパさんを闇落ちさせない様に赤ちゃんセラピーで頑張ります。 力を使って魔力を増やして大きくなったらチートになる! ちょっと赤ちゃん系に挑戦してみたくてチャレンジしてみました。 読みにくいかもしれませんが宜しくお願いします。 誤字や意味がわからない時は皆様の感性で受け捉えてもらえると助かります。 流れでどうなるかは未定なので一応R15にしております。 現在投稿中の作品と共に地道にマイペースで進めていきますので宜しくお願いします🙇 此方でも感想やご指摘等への返答は致しませんので宜しくお願いします。

9日間

柏木みのり
児童書・童話
 サマーキャンプから友達の健太と一緒に隣の世界に迷い込んだ竜(リョウ)は文武両道の11歳。魔法との出会い。人々との出会い。初めて経験する様々な気持ち。そして究極の選択——夢か友情か。  大事なのは最後まで諦めないこと——and take a chance! (also @ なろう)

【もふもふ手芸部】あみぐるみ作ってみる、だけのはずが勇者ってなんなの!?

釈 余白(しやく)
児童書・童話
 網浜ナオは勉強もスポーツも中の下で無難にこなす平凡な少年だ。今年はいよいよ最高学年になったのだが過去5年間で100点を取ったことも運動会で1等を取ったこともない。もちろん習字や美術で賞をもらったこともなかった。  しかしそんなナオでも一つだけ特技を持っていた。それは編み物、それもあみぐるみを作らせたらおそらく学校で一番、もちろん家庭科の先生よりもうまく作れることだった。友達がいないわけではないが、人に合わせるのが苦手なナオにとっては一人でできる趣味としてもいい気晴らしになっていた。  そんなナオがあみぐるみのメイキング動画を動画サイトへ投稿したり動画配信を始めたりしているうちに奇妙な場所へ迷い込んだ夢を見る。それは現実とは思えないが夢と言うには不思議な感覚で、沢山のぬいぐるみが暮らす『もふもふの国』という場所だった。  そのもふもふの国で、元同級生の丸川亜矢と出会いもふもふの国が滅亡の危機にあると聞かされる。実はその国の王女だと言う亜美の願いにより、もふもふの国を救うべく、ナオは立ち上がった。

【3章】GREATEST BOONS ~幼なじみのほのぼのバディがクリエイトスキルで異世界に偉大なる恩恵をもたらします!~

丹斗大巴
児童書・童話
 幼なじみの2人がグレイテストブーンズ(偉大なる恩恵)を生み出しつつ、異世界の7つの秘密を解き明かしながらほのぼの旅をする物語。  異世界に飛ばされて、小学生の年齢まで退行してしまった幼なじみの銀河と美怜。とつじょ不思議な力に目覚め、Greatest Boons(グレイテストブーンズ:偉大なる恩恵)をもたらす新しい生き物たちBoons(ブーンズ)とアイテムを生みだした! 彼らのおかげでサバイバルもトラブルもなんのその! クリエイト系の2人が旅するほのぼの異世界珍道中。  便利な「しおり」機能を使って読み進めることをお勧めします。さらに「お気に入り登録」して頂くと、最新更新のお知らせが届いて便利です! レーティング指定の描写はありませんが、万が一気になる方は、目次※マークをさけてご覧ください。

処理中です...