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一章
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閑静な住宅街にある駅を降り、商店街のある通りから逸れた脇の坂道を七分ほど登れば、景色は一変する。緑が豊かな、まるで広大な自然公園のような周囲の環境の中に、連なってそびえ立つ二棟の白い建物。そして、そこから少し離れた場所にもう一棟、更に遠く離れた場所にまた一棟。合わせて四棟になる、大きな敷地に建てられたこの場所が夕日降学院である。
「それにしても、ホントに広いな……」
まだ用事が残っている灰奈と別れた湊は、地図を片手に目的地へと歩いていた。その横にいる凪は、キョロキョロと周りを見回しているところから、相当驚いているようであった。
「えっと……あぁ、ここだな」
そして、一番大きな建物の前で足を止め、意を決して正面玄関への階段を上った。
屋内に入ると、趣のある外観からは想像もつかないほど綺麗な内装が目に映る。入ってすぐのラウンジは開放感のある吹き抜けになっており、テーブル席とカウンターが備わったカフェスペースでは、談笑をしている人の姿が見受けられた。その人々の年代は様々なようで、湊と同じくらいの年齢から四十代かと思われる人もいる。皆が同じように寛いでいる姿を見ていると、ここが学院であるという事を忘れてしまいそうであった。
「これは、なんと……!」
明るい雰囲気に包まれた空間に凪は目を輝かせ、
(やっぱり、意外と子供っぽいところがあるよな)
一方の湊は、その姿を微笑ましく見ていた。
「行こう凪。これからは、いつでも来れるんだからさ」
そして、そのままラウンジを通り抜け、ようやく目的地にたどり着いた。突き出したルームプレートに『事務課』と書かれた場所。龍二から、学院に着いたらまず初めに立ち寄るようにと言われたのがここであった。
「……失礼します」
緊張しながら扉を開けた湊は、恐る恐る室内へと足を踏み入れる。
「はい! 何か御用で――あ、もしかして初めての方ですか?」
明るい声で迎えてくれた受付の女性は、明らかに挙動の怪しい湊の姿から用件を察してくれたようで、手続きなどの説明をする為にと、席へ案内してくれた。
「それでは、簡単に説明させていただきますね! まずは、学院の校舎についてですが、大きく分けて四つになってます。一つ目が、今いるここ一号館です。ここは、本館と呼ばれていて、学生の皆さんの生活をサポートする事務課。先ほども通られたかと思いますが、交流の場であるラウンジ。あ、ちなみにそのラウンジは一般の方にも開放されていますよ! 他にも会議室や、イベントで使われる小ホールと大ホールなどもこちらに入ってます」
「…………」
と、丁寧にパンフレットを見せながら説明してくれるのを聞いている途中、またしても目を輝かせる凪の横で、湊はあからさまに不思議そうな顔をしていた。
「何か、ご不明な点がありましたか?」
「あ、いえ……ただ、想像していたものと少し、いや大分違っていたなと……」
その湊の言葉に、待ってましたと言わんばかりに、受付の女性は次の資料を取り出した。
「えぇ。もちろん、ここからが本番ですよ! 次に説明しますのは、お隣の二号館。通称、教育棟です! まぁ、学生さんはこちらがメインになりますね。すでに知っていると思いますが、ここ夕日降学院は御霊使の養成所です。多くの学生さんは、ここで学び、実習を経験することで、ようやく御霊使としての資格を得られます。逆に言いますと、こういった場所で資格、つまり免許を取らずに御霊術を用いたりする事は、現代社会においては違法ということになりますね」
違法という言葉に、湊は先ほどの駅での出来事を思い出し、改めて気を付けるべきだろうと心に誓った。
「少し話が逸れてしまいましたね。では、教育棟について説明をしますね! 教育棟はその名の通り、御霊使としての知識や制度、歴史などの講義が行われる場所です。また、そういった座学を学ぶ教室以外にも、実技を学ぶ為の訓練室、資料の保存も兼ねた図書館などもあるので、大半の時間はこちらで過ごすことになると思います――と、ここまでに質問などはありますか?」
「あ、いえ……大丈夫です」
「はい、それでは……最後に、もう一つのこちらを紹介しますね」
そう言いながら、受付の女性は地図に描かれているもう一つの建物を指さした。
「教育棟から少し離れたここが三号館。通称、研究棟です! こちらでは、教師の方々がそれぞれ独自に研究室や実験室を構えています。普通の学生さんはあまり立ち入ることもしません。これは後ほど詳しく説明しますが、通常の講義や訓練とは別に、特定の教師の方に師事をしたい! という学生さんもいまして、了承が得られた場合はその研究室によく出入りする、といった事もありますよ。ともあれ、学院では自由な選択が許されていますが、自分が何をしたいのか、それだけはしっかりと考えておくことをお勧めしますね!」
「……分かりました。ありがとうございます!」
学院の概要の説明が終わり、これから始まる生活に向けての期待を抱く湊の心は、いつになく高揚していた。だが、一つ気になることがあり、質問をしようとすると、
「「……ところで」」
偶然ではあるが、受付の女性と言葉が重なる。
「すみません! まだ何か……?」
説明が終わっていないのではと思った湊は、女性の話を先に聞くことにする。
「いえいえ! ただ、一つ気になったのですが、えっと……」
「あ、高津湊です」
「高津くんが、学院への入学希望ということでいいんですよね?」
「……? はい、そのつもりですが」
「それじゃあ、お隣のお嬢ちゃんは……?」
湊は失念していた。自分にとって当たり前のように側にいて、灰奈にもその存在を特段不思議に思われていなかったが、よく考えてみれば凪の存在というのは、傍から見れば明らかに不自然なのだろう。
「えっと……い、妹――」
「保護者です」
この場で式神と答えるのもマズいと判断し、湊が苦し紛れの言い訳をしようとしたところで、凪は悪びれること無く平然とそのように答えた。
「……はい?」
しかし当然、困惑の表情が向けられる。
「保護者です」
「……頼む。少し静かにしていてくれ」
「いえ、湊様! これには、しかと理由があるのです!」
焦る湊を余所に、凪はどこからか一枚の封筒を取り出し、女性に差し出した。そして、その中身を取り出し、確認をしてもらう。
「あー、なるほど……松田龍二さんの……そうですか……」
中の文面を確認する女性は、先ほどまでの明るい表情が一変し、やや呆れた様子で状況を飲み込んでいた。
「あの……本当にすみません……」
湊は、ただただ謝る事しか出来なかった。
「いえ、事情は分かりました。とりあえず、今日のところはもう大丈夫ですので、また明日以降に来てください」
「はい……失礼しました」
気まずい雰囲気から早々に抜け出すべく、湊は事務課を後にした。
「なぁ、凪……」
「なんでしょうか?」
学院を出た二人は、駅から来た坂道とは反対の方角にある道を歩いていた。こちらも緑が豊富な場所であり、ベンチで休む人や池の周りを散歩している人の様子から、公園としての役割を持っているようであった。
「さっきの人の反応を見て思ったんだけど、多分あの封筒に書かれてた文面って……」
「えぇ。諸々の手続きや事情を、あの男らしい書き方で書かれたものです」
「……前から疑問だったんだけど、どうして龍二さんはそんなに避けられてるんだ?」
湊は、凪の反応や今回の出来事から、かねてより気になっていたことを尋ねた。
「それは……人を食ったような態度、怪しい言動、そして何より――いえ、きっと湊様にも、いつか分かる時が来ますとも」
すらすらと出てくる悪評の何れも、湊からすれば馴染みの無い印象であった。
(その時が来たら、オレは……)
「ところで、湊様。こちらでの住む場所は、どのように?」
「あぁ、それなら龍二さんの知り合いが持ってる良いアパートが貸してくれるらしくて……確か、この辺りでその大家さんが待っててくれてる筈なんだけど……」
坂を下りきり、緑豊かな場所から再び住宅街へと景色が戻ってきた時、湊は地図と時間を確認しながら辺りを見回す。すると、
「湊坊ちゃん! すいません、お待たせしたッス!」
怪しげな人物から声を掛けられた。認めたくは無かったが、恐らくこの男性が龍二の紹介してくれた大家さんなのだろうと、湊は思った。
「あの、坊ちゃんって……」
「いやいや! まさか、龍二のアニキに跡取りがいたなんて……お会い出来て感激ッス! あ、自分は龍二のアニキの一番舎弟、鶴屋謙佑と申しやす! どうぞ気軽にツルケンって呼んでくだせぇ!」
「あ、あの……オレは高津湊で、龍二さんは――」
「何も言わずとも結構ッス! 親子離れ離れ……さぞかし大変だったことでしょうに……しかし、この鶴屋! 大役を任されたからには、龍二のアニキに代わって坊ちゃんをお守り致します故、何なりとお申し付け下さいッス!」
それからアパートに着くまでの間も、人の話を聞かない大声の男――鶴屋謙佑から、矢継ぎ早に繰り出される言葉に、湊は誤解を解くことも、周囲から奇怪な目で見られることも諦め、以後も湊坊ちゃんと呼ばれ続けるのであった。
「……凪。学院に、寮って無いかな……?」
「ありますよ……女子寮ですが」
湊は、龍二の悪評を少しだけ実感したのであった。
「それにしても、ホントに広いな……」
まだ用事が残っている灰奈と別れた湊は、地図を片手に目的地へと歩いていた。その横にいる凪は、キョロキョロと周りを見回しているところから、相当驚いているようであった。
「えっと……あぁ、ここだな」
そして、一番大きな建物の前で足を止め、意を決して正面玄関への階段を上った。
屋内に入ると、趣のある外観からは想像もつかないほど綺麗な内装が目に映る。入ってすぐのラウンジは開放感のある吹き抜けになっており、テーブル席とカウンターが備わったカフェスペースでは、談笑をしている人の姿が見受けられた。その人々の年代は様々なようで、湊と同じくらいの年齢から四十代かと思われる人もいる。皆が同じように寛いでいる姿を見ていると、ここが学院であるという事を忘れてしまいそうであった。
「これは、なんと……!」
明るい雰囲気に包まれた空間に凪は目を輝かせ、
(やっぱり、意外と子供っぽいところがあるよな)
一方の湊は、その姿を微笑ましく見ていた。
「行こう凪。これからは、いつでも来れるんだからさ」
そして、そのままラウンジを通り抜け、ようやく目的地にたどり着いた。突き出したルームプレートに『事務課』と書かれた場所。龍二から、学院に着いたらまず初めに立ち寄るようにと言われたのがここであった。
「……失礼します」
緊張しながら扉を開けた湊は、恐る恐る室内へと足を踏み入れる。
「はい! 何か御用で――あ、もしかして初めての方ですか?」
明るい声で迎えてくれた受付の女性は、明らかに挙動の怪しい湊の姿から用件を察してくれたようで、手続きなどの説明をする為にと、席へ案内してくれた。
「それでは、簡単に説明させていただきますね! まずは、学院の校舎についてですが、大きく分けて四つになってます。一つ目が、今いるここ一号館です。ここは、本館と呼ばれていて、学生の皆さんの生活をサポートする事務課。先ほども通られたかと思いますが、交流の場であるラウンジ。あ、ちなみにそのラウンジは一般の方にも開放されていますよ! 他にも会議室や、イベントで使われる小ホールと大ホールなどもこちらに入ってます」
「…………」
と、丁寧にパンフレットを見せながら説明してくれるのを聞いている途中、またしても目を輝かせる凪の横で、湊はあからさまに不思議そうな顔をしていた。
「何か、ご不明な点がありましたか?」
「あ、いえ……ただ、想像していたものと少し、いや大分違っていたなと……」
その湊の言葉に、待ってましたと言わんばかりに、受付の女性は次の資料を取り出した。
「えぇ。もちろん、ここからが本番ですよ! 次に説明しますのは、お隣の二号館。通称、教育棟です! まぁ、学生さんはこちらがメインになりますね。すでに知っていると思いますが、ここ夕日降学院は御霊使の養成所です。多くの学生さんは、ここで学び、実習を経験することで、ようやく御霊使としての資格を得られます。逆に言いますと、こういった場所で資格、つまり免許を取らずに御霊術を用いたりする事は、現代社会においては違法ということになりますね」
違法という言葉に、湊は先ほどの駅での出来事を思い出し、改めて気を付けるべきだろうと心に誓った。
「少し話が逸れてしまいましたね。では、教育棟について説明をしますね! 教育棟はその名の通り、御霊使としての知識や制度、歴史などの講義が行われる場所です。また、そういった座学を学ぶ教室以外にも、実技を学ぶ為の訓練室、資料の保存も兼ねた図書館などもあるので、大半の時間はこちらで過ごすことになると思います――と、ここまでに質問などはありますか?」
「あ、いえ……大丈夫です」
「はい、それでは……最後に、もう一つのこちらを紹介しますね」
そう言いながら、受付の女性は地図に描かれているもう一つの建物を指さした。
「教育棟から少し離れたここが三号館。通称、研究棟です! こちらでは、教師の方々がそれぞれ独自に研究室や実験室を構えています。普通の学生さんはあまり立ち入ることもしません。これは後ほど詳しく説明しますが、通常の講義や訓練とは別に、特定の教師の方に師事をしたい! という学生さんもいまして、了承が得られた場合はその研究室によく出入りする、といった事もありますよ。ともあれ、学院では自由な選択が許されていますが、自分が何をしたいのか、それだけはしっかりと考えておくことをお勧めしますね!」
「……分かりました。ありがとうございます!」
学院の概要の説明が終わり、これから始まる生活に向けての期待を抱く湊の心は、いつになく高揚していた。だが、一つ気になることがあり、質問をしようとすると、
「「……ところで」」
偶然ではあるが、受付の女性と言葉が重なる。
「すみません! まだ何か……?」
説明が終わっていないのではと思った湊は、女性の話を先に聞くことにする。
「いえいえ! ただ、一つ気になったのですが、えっと……」
「あ、高津湊です」
「高津くんが、学院への入学希望ということでいいんですよね?」
「……? はい、そのつもりですが」
「それじゃあ、お隣のお嬢ちゃんは……?」
湊は失念していた。自分にとって当たり前のように側にいて、灰奈にもその存在を特段不思議に思われていなかったが、よく考えてみれば凪の存在というのは、傍から見れば明らかに不自然なのだろう。
「えっと……い、妹――」
「保護者です」
この場で式神と答えるのもマズいと判断し、湊が苦し紛れの言い訳をしようとしたところで、凪は悪びれること無く平然とそのように答えた。
「……はい?」
しかし当然、困惑の表情が向けられる。
「保護者です」
「……頼む。少し静かにしていてくれ」
「いえ、湊様! これには、しかと理由があるのです!」
焦る湊を余所に、凪はどこからか一枚の封筒を取り出し、女性に差し出した。そして、その中身を取り出し、確認をしてもらう。
「あー、なるほど……松田龍二さんの……そうですか……」
中の文面を確認する女性は、先ほどまでの明るい表情が一変し、やや呆れた様子で状況を飲み込んでいた。
「あの……本当にすみません……」
湊は、ただただ謝る事しか出来なかった。
「いえ、事情は分かりました。とりあえず、今日のところはもう大丈夫ですので、また明日以降に来てください」
「はい……失礼しました」
気まずい雰囲気から早々に抜け出すべく、湊は事務課を後にした。
「なぁ、凪……」
「なんでしょうか?」
学院を出た二人は、駅から来た坂道とは反対の方角にある道を歩いていた。こちらも緑が豊富な場所であり、ベンチで休む人や池の周りを散歩している人の様子から、公園としての役割を持っているようであった。
「さっきの人の反応を見て思ったんだけど、多分あの封筒に書かれてた文面って……」
「えぇ。諸々の手続きや事情を、あの男らしい書き方で書かれたものです」
「……前から疑問だったんだけど、どうして龍二さんはそんなに避けられてるんだ?」
湊は、凪の反応や今回の出来事から、かねてより気になっていたことを尋ねた。
「それは……人を食ったような態度、怪しい言動、そして何より――いえ、きっと湊様にも、いつか分かる時が来ますとも」
すらすらと出てくる悪評の何れも、湊からすれば馴染みの無い印象であった。
(その時が来たら、オレは……)
「ところで、湊様。こちらでの住む場所は、どのように?」
「あぁ、それなら龍二さんの知り合いが持ってる良いアパートが貸してくれるらしくて……確か、この辺りでその大家さんが待っててくれてる筈なんだけど……」
坂を下りきり、緑豊かな場所から再び住宅街へと景色が戻ってきた時、湊は地図と時間を確認しながら辺りを見回す。すると、
「湊坊ちゃん! すいません、お待たせしたッス!」
怪しげな人物から声を掛けられた。認めたくは無かったが、恐らくこの男性が龍二の紹介してくれた大家さんなのだろうと、湊は思った。
「あの、坊ちゃんって……」
「いやいや! まさか、龍二のアニキに跡取りがいたなんて……お会い出来て感激ッス! あ、自分は龍二のアニキの一番舎弟、鶴屋謙佑と申しやす! どうぞ気軽にツルケンって呼んでくだせぇ!」
「あ、あの……オレは高津湊で、龍二さんは――」
「何も言わずとも結構ッス! 親子離れ離れ……さぞかし大変だったことでしょうに……しかし、この鶴屋! 大役を任されたからには、龍二のアニキに代わって坊ちゃんをお守り致します故、何なりとお申し付け下さいッス!」
それからアパートに着くまでの間も、人の話を聞かない大声の男――鶴屋謙佑から、矢継ぎ早に繰り出される言葉に、湊は誤解を解くことも、周囲から奇怪な目で見られることも諦め、以後も湊坊ちゃんと呼ばれ続けるのであった。
「……凪。学院に、寮って無いかな……?」
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