1 / 62
1 男装令嬢、殿下とお忍び中にケンカを売られる
しおりを挟む
「決闘だ! 街外れで貴族が決闘してるぞ!」
店が立ち並ぶ通りで誰かが声高に叫ぶと、店主や買い物客の間にざわめきが広がった。
「物騒なことだねぇ。流血騒ぎなんて御免だよ」
「オレは見に行ってくるぜ! どんな奴らか興味あるしな」
ある者は眉をひそめて不快げな顔をし、ある者は興奮した様子で決闘の会場へ走り出す。結局、その場に残った人間は少数だった。平民のほとんどが「血は嫌だ」と言いながらも嬉しそうにしている。彼らは平穏を持て余しているのだ。
そうして街外れに着いた彼らが目にしたのは、華奢な少年とガタイのいい青年が剣を抜いて対峙している場だった。
――なんて綺麗な少年だろう……!
細身の少年を目にした者は誰もが感嘆し、思わずため息を漏らす。
年の頃は十七か、十八か。一つにくくられた少年の髪は珍しい紫銀。瞳は宝石のように透きとおる紺碧。涼やかな目元は長い銀の睫毛に縁取られ、日の光を浴びても焼けることのない白い肌に影を落としている。
薄紅色の小さな唇は少女のようでもあるが、きりりとした眉がその儚さを打ち消し、男とも女ともつかない魅力を放っていた。
――この子が負けるだろうなぁ。
少年を目にした者は皆そう思った。彼の前に立ちはだかる青年は背が高く、ゴツゴツと逞しい体をしている。顔立ちは粗野で、血の気の多そうな印象があった。
「おまえみたいな女顔の弱そうな奴が殿下の側近だなんて、この国の恥だ。俺が勝ったら大人しく領地に引退しろ。そして女のようにドレスを着て、刺繍でもするんだな」
粗野な青年が吐き捨てるように言うと、華奢な少年は余裕の表情で笑う。
「文句は僕に勝ってから言うんですね。時間が勿体ないので、さっさと終わらせたいんですけど?」
「こっ、この野郎……! 死ねぇ!」
青年が真っ赤な顔で剣を振り上げた。
ああ可哀相に、綺麗な子が惨めに負けてしまうに違いない――固唾を飲んで見守っていた彼らは次の瞬間、あっと声を上げた。
「ぐあぁっ!」
何が起こったのか、気が付いた時には粗野な青年が地面に倒れ伏している。華奢な少年が疾風のように素早く彼の背後に回って急所を攻撃したのだが、その瞬間を目にしたものはほとんどいなかった。動きが速すぎるのだ。
「勝負あったな。この決闘、勝者はルルシェ・ニール・コンウェイだ」
離れたところから決闘を眺めていた黒髪の青年が告げると、割れるような拍手がわき起こった。青年が勝利した少年――ルルシェに歩み寄ると、自然と人垣が割れる。
ルルシェは剣を鞘に収め、倒れ伏した男へ冷ややかに言った。
「いくら力が強くても、剣の軌道が単純すぎて動きがバレバレです。実戦向きじゃないですね。今回は剣の柄だけで倒してあげましたけど、また僕を女顔だと言ったらもう容赦はしません。死を覚悟してください」
「ち、畜生……。なんでそんな細いくせに、化け物みたいに強いんだよ……!」
力の差を痛感した男は地面に倒れたまま呻いている。痛みが強くて動けないらしい。
「ルルシェ、その辺にしておけ。あまり騒ぎを大きくするな」
黒髪の青年に言われたルルシェは「はい」と返事をし、彼と一緒にその場を離れた。今さらのようにマントを羽織り、フードを深く被って、馬を預けた店を目指して歩く。
早く城に戻らないと、こっそり抜け出したことがばれてしまう――いや、騒ぎを起こした時点で詰んでいるが。
「ったく、ギルトーに叱られたらおまえのせいだぞ。あれぐらいの嫌味、聞き流したらいいだろ」
「駄目ですよ。ああいう筋力だけに頼りきったバカは早めに潰しておかないと、増長してある事ない事いいふらすんですから。イグニス殿下だって、弱そうな側近つれてるとか言われたら嫌でしょ」
「……まぁな」
イグニスは苦虫を噛み潰したような顔で言った。まだ何か納得できないらしい。
「そもそも街まで出る事になったのは殿下のせいでしょ。侍従長から預かったものをすぐに失くすから、城を抜け出す羽目になるんですよ。絹のハンカチちゃんと買いました?」
「言われるまでもなく買った。あまりぐちぐち言うな、さっさとズラかるぞ」
イグニスは王宮を出て長いせいか、言葉遣いも素行もよろしくない。「ズラかる」なんて言葉を口にする王子は彼ぐらいのものだろう。
ルルシェは嘆息し、小走りで王子を追いかけた。この街を含む広大な領地マラハイドはイグニスのもので、彼は八年前の十四歳の時から領主としてこの地に君臨している。
ルルシェはこの見目麗しい青年――ブロンテ王国の王弟殿下の側近なのだった。
店主に声を掛けて預かってもらっていた馬に跨り、二人で城に戻る。今ごろ侍従長はこめかみをピクピクさせているかもしれない。
(ほんと手の掛かる王子さまなんだから)
ルルシェは密かに口をとがらせ、前を行く青年の背中を睨んだ。
マラハイド公爵――イグニス・ルース・ヴェルトーラム・ブロンテは自領を治める傍ら、兄王を支えるため国政にも深く関わっている。
彼の側近であるルルシェも、国内では知らぬ者がいないほど優秀な人材であった。馬術にも弓術にもすぐれ、学んだことは砂のようになんでも吸い込む賢さもあわせ持つ。
多忙を極める王子に付いて行けるのはルルシェ卿しかいないと貴族の誰もが認めているし、顔の整った二人が並んでいる姿は絵のように美しく、他の者が入り込む隙など感じさせない完璧さであった。
が、当事者であるルルシェは、その事実を鬱陶しいと思っている。
(殿下が僕を選ばなければ、今ごろ父さまの跡を継いでいたかもしれないのに)
いや、そもそもお披露目会に行かなければ良かったのか。
(僕は何事もなく、望む人生をまっとう出来るだろうか?)
いくどとなく考えてきた事が、また頭の中にぼんやりと浮かび上がってくる。馬の背で揺られながら、ルルシェの思考は遠い過去へ飛んでいた。
店が立ち並ぶ通りで誰かが声高に叫ぶと、店主や買い物客の間にざわめきが広がった。
「物騒なことだねぇ。流血騒ぎなんて御免だよ」
「オレは見に行ってくるぜ! どんな奴らか興味あるしな」
ある者は眉をひそめて不快げな顔をし、ある者は興奮した様子で決闘の会場へ走り出す。結局、その場に残った人間は少数だった。平民のほとんどが「血は嫌だ」と言いながらも嬉しそうにしている。彼らは平穏を持て余しているのだ。
そうして街外れに着いた彼らが目にしたのは、華奢な少年とガタイのいい青年が剣を抜いて対峙している場だった。
――なんて綺麗な少年だろう……!
細身の少年を目にした者は誰もが感嘆し、思わずため息を漏らす。
年の頃は十七か、十八か。一つにくくられた少年の髪は珍しい紫銀。瞳は宝石のように透きとおる紺碧。涼やかな目元は長い銀の睫毛に縁取られ、日の光を浴びても焼けることのない白い肌に影を落としている。
薄紅色の小さな唇は少女のようでもあるが、きりりとした眉がその儚さを打ち消し、男とも女ともつかない魅力を放っていた。
――この子が負けるだろうなぁ。
少年を目にした者は皆そう思った。彼の前に立ちはだかる青年は背が高く、ゴツゴツと逞しい体をしている。顔立ちは粗野で、血の気の多そうな印象があった。
「おまえみたいな女顔の弱そうな奴が殿下の側近だなんて、この国の恥だ。俺が勝ったら大人しく領地に引退しろ。そして女のようにドレスを着て、刺繍でもするんだな」
粗野な青年が吐き捨てるように言うと、華奢な少年は余裕の表情で笑う。
「文句は僕に勝ってから言うんですね。時間が勿体ないので、さっさと終わらせたいんですけど?」
「こっ、この野郎……! 死ねぇ!」
青年が真っ赤な顔で剣を振り上げた。
ああ可哀相に、綺麗な子が惨めに負けてしまうに違いない――固唾を飲んで見守っていた彼らは次の瞬間、あっと声を上げた。
「ぐあぁっ!」
何が起こったのか、気が付いた時には粗野な青年が地面に倒れ伏している。華奢な少年が疾風のように素早く彼の背後に回って急所を攻撃したのだが、その瞬間を目にしたものはほとんどいなかった。動きが速すぎるのだ。
「勝負あったな。この決闘、勝者はルルシェ・ニール・コンウェイだ」
離れたところから決闘を眺めていた黒髪の青年が告げると、割れるような拍手がわき起こった。青年が勝利した少年――ルルシェに歩み寄ると、自然と人垣が割れる。
ルルシェは剣を鞘に収め、倒れ伏した男へ冷ややかに言った。
「いくら力が強くても、剣の軌道が単純すぎて動きがバレバレです。実戦向きじゃないですね。今回は剣の柄だけで倒してあげましたけど、また僕を女顔だと言ったらもう容赦はしません。死を覚悟してください」
「ち、畜生……。なんでそんな細いくせに、化け物みたいに強いんだよ……!」
力の差を痛感した男は地面に倒れたまま呻いている。痛みが強くて動けないらしい。
「ルルシェ、その辺にしておけ。あまり騒ぎを大きくするな」
黒髪の青年に言われたルルシェは「はい」と返事をし、彼と一緒にその場を離れた。今さらのようにマントを羽織り、フードを深く被って、馬を預けた店を目指して歩く。
早く城に戻らないと、こっそり抜け出したことがばれてしまう――いや、騒ぎを起こした時点で詰んでいるが。
「ったく、ギルトーに叱られたらおまえのせいだぞ。あれぐらいの嫌味、聞き流したらいいだろ」
「駄目ですよ。ああいう筋力だけに頼りきったバカは早めに潰しておかないと、増長してある事ない事いいふらすんですから。イグニス殿下だって、弱そうな側近つれてるとか言われたら嫌でしょ」
「……まぁな」
イグニスは苦虫を噛み潰したような顔で言った。まだ何か納得できないらしい。
「そもそも街まで出る事になったのは殿下のせいでしょ。侍従長から預かったものをすぐに失くすから、城を抜け出す羽目になるんですよ。絹のハンカチちゃんと買いました?」
「言われるまでもなく買った。あまりぐちぐち言うな、さっさとズラかるぞ」
イグニスは王宮を出て長いせいか、言葉遣いも素行もよろしくない。「ズラかる」なんて言葉を口にする王子は彼ぐらいのものだろう。
ルルシェは嘆息し、小走りで王子を追いかけた。この街を含む広大な領地マラハイドはイグニスのもので、彼は八年前の十四歳の時から領主としてこの地に君臨している。
ルルシェはこの見目麗しい青年――ブロンテ王国の王弟殿下の側近なのだった。
店主に声を掛けて預かってもらっていた馬に跨り、二人で城に戻る。今ごろ侍従長はこめかみをピクピクさせているかもしれない。
(ほんと手の掛かる王子さまなんだから)
ルルシェは密かに口をとがらせ、前を行く青年の背中を睨んだ。
マラハイド公爵――イグニス・ルース・ヴェルトーラム・ブロンテは自領を治める傍ら、兄王を支えるため国政にも深く関わっている。
彼の側近であるルルシェも、国内では知らぬ者がいないほど優秀な人材であった。馬術にも弓術にもすぐれ、学んだことは砂のようになんでも吸い込む賢さもあわせ持つ。
多忙を極める王子に付いて行けるのはルルシェ卿しかいないと貴族の誰もが認めているし、顔の整った二人が並んでいる姿は絵のように美しく、他の者が入り込む隙など感じさせない完璧さであった。
が、当事者であるルルシェは、その事実を鬱陶しいと思っている。
(殿下が僕を選ばなければ、今ごろ父さまの跡を継いでいたかもしれないのに)
いや、そもそもお披露目会に行かなければ良かったのか。
(僕は何事もなく、望む人生をまっとう出来るだろうか?)
いくどとなく考えてきた事が、また頭の中にぼんやりと浮かび上がってくる。馬の背で揺られながら、ルルシェの思考は遠い過去へ飛んでいた。
23
お気に入りに追加
2,245
あなたにおすすめの小説

婚約破棄された令嬢は騎士団長に溺愛される
狭山雪菜
恋愛
マリアは学園卒業後の社交場で、王太子から婚約破棄を言い渡されるがそもそも婚約者候補であり、まだ正式な婚約者じゃなかった
公の場で婚約破棄されたマリアは縁談の話が来なくなり、このままじゃ一生独身と落ち込む
すると、友人のエリカが気分転換に騎士団員への慰労会へ誘ってくれて…
全編甘々を目指しています。
この作品は「小説家になろう」にも掲載しております。
不器用騎士様は記憶喪失の婚約者を逃がさない
かべうち右近
恋愛
「あなたみたいな人と、婚約したくなかった……!」
婚約者ヴィルヘルミーナにそう言われたルドガー。しかし、ツンツンなヴィルヘルミーナはそれからすぐに事故で記憶を失い、それまでとは打って変わって素直な可愛らしい令嬢に生まれ変わっていたーー。
もともとルドガーとヴィルヘルミーナは、顔を合わせればたびたび口喧嘩をする幼馴染同士だった。
ずっと好きな女などいないと思い込んでいたルドガーは、女性に人気で付き合いも広い。そんな彼は、悪友に指摘されて、ヴィルヘルミーナが好きなのだとやっと気付いた。
想いに気づいたとたんに、何の幸運か、親の意向によりとんとん拍子にヴィルヘルミーナとルドガーの婚約がまとまったものの、女たらしのルドガーに対してヴィルヘルミーナはツンツンだったのだ。
記憶を失ったヴィルヘルミーナには悪いが、今度こそ彼女を口説き落して円満結婚を目指し、ルドガーは彼女にアプローチを始める。しかし、元女誑しの不器用騎士は息を吸うようにステップをすっ飛ばしたアプローチばかりしてしまい…?
不器用騎士×元ツンデレ・今素直令嬢のラブコメです。
12/11追記
書籍版の配信に伴い、WEB連載版は取り下げております。
たくさんお読みいただきありがとうございました!
伯爵は年下の妻に振り回される 記憶喪失の奥様は今日も元気に旦那様の心を抉る
新高
恋愛
※第15回恋愛小説大賞で奨励賞をいただきました!ありがとうございます!
※※2023/10/16書籍化しますーー!!!!!応援してくださったみなさま、ありがとうございます!!
契約結婚三年目の若き伯爵夫人であるフェリシアはある日記憶喪失となってしまう。失った記憶はちょうどこの三年分。記憶は失ったものの、性格は逆に明るく快活ーーぶっちゃけ大雑把になり、軽率に契約結婚相手の伯爵の心を抉りつつ、流石に申し訳ないとお詫びの品を探し出せばそれがとんだ騒ぎとなり、結果的に契約が取れて仲睦まじい夫婦となるまでの、そんな二人のドタバタ劇。
※本編完結しました。コネタを随時更新していきます。
※R要素の話には「※」マークを付けています。
※勢いとテンション高めのコメディーなのでふわっとした感じで読んでいただけたら嬉しいです。
※他サイト様でも公開しています
婚約者の本性を暴こうとメイドになったら溺愛されました!
柿崎まつる
恋愛
世継ぎの王女アリスには完璧な婚約者がいる。侯爵家次男のグラシアンだ。容姿端麗・文武両道。名声を求めず、穏やかで他人に優しい。アリスにも紳士的に対応する。だが、完璧すぎる婚約者にかえって不信を覚えたアリスは、彼の本性を探るため侯爵家にメイドとして潜入する。2022eロマンスロイヤル大賞、コミック原作賞を受賞しました。
責任を取らなくていいので溺愛しないでください
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
漆黒騎士団の女騎士であるシャンテルは任務の途中で一人の男にまんまと美味しくいただかれてしまった。どうやらその男は以前から彼女を狙っていたらしい。
だが任務のため、そんなことにはお構いなしのシャンテル。むしろ邪魔。その男から逃げながら任務をこなす日々。だが、その男の正体に気づいたとき――。
※2023.6.14:アルファポリスノーチェブックスより書籍化されました。
※ノーチェ作品の何かをレンタルしますと特別番外編(鍵付き)がお読みいただけます。
ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます
沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!
腹黒宰相との白い結婚
黎
恋愛
大嫌いな腹黒宰相ロイドと結婚する羽目になったランメリアは、条件をつきつけた――これは白い結婚であること。代わりに側妻を娶るも愛人を作るも好きにすればいい。そう決めたはずだったのだが、なぜか、周囲が全力で溝を埋めてくる。

一途なエリート騎士の指先はご多忙。もはや暴走は時間の問題か?
はなまる
恋愛
シエルは20歳。父ルドルフはセルベーラ国の国王の弟だ。17歳の時に婚約するが誤解を受けて婚約破棄された。以来結婚になど目もくれず父の仕事を手伝って来た。
ところが2か月前国王が急死してしまう。国王の息子はまだ12歳でシエルの父が急きょ国王の代理をすることになる。ここ数年天候不順が続いてセルベーラ国の食糧事情は危うかった。
そこで隣国のオーランド国から作物を輸入する取り決めをする。だが、オーランド国の皇帝は無類の女好きで王族の女性を一人側妃に迎えたいと申し出た。
国王にも王女は3人ほどいたのだが、こちらもまだ一番上が14歳。とても側妃になど行かせられないとシエルに白羽の矢が立った。シエルは国のためならと思い腰を上げる。
そこに護衛兵として同行を申し出た騎士団に所属するボルク。彼は小さいころからの知り合いで仲のいい友達でもあった。互いに気心が知れた中でシエルは彼の事を好いていた。
彼には面白い癖があってイライラしたり怒ると親指と人差し指を擦り合わせる。うれしいと親指と中指を擦り合わせ、照れたり、言いにくい事があるときは親指と薬指を擦り合わせるのだ。だからボルクが怒っているとすぐにわかる。
そんな彼がシエルに同行したいと申し出た時彼は怒っていた。それはこんな話に怒っていたのだった。そして同行できる事になると喜んだ。シエルの心は一瞬にしてざわめく。
隣国の例え側妃といえども皇帝の妻となる身の自分がこんな気持ちになってはいけないと自分を叱咤するが道中色々なことが起こるうちにふたりは仲は急接近していく…
この話は全てフィクションです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる