キュートなSF、悪魔な親友

月那

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キュートなSF、悪魔な親友

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「はあ? ……なんだよ。眠かっただけー?」
 わけのわからない甘え方をしてくると思っていたら、ただただ眠いのを我慢していただけだったのかと。
 田村は苦笑して、鹿倉の横に肘を立てて寝そべった。
 その寝顔を見つめる。
「かーわいいなあ、もう」
 白く滑らかな頬を、指で撫でる。
 すっと通った鼻筋を指の甲で辿り、薄いけれどピンク色の柔らかい唇を親指で軽く擦った。
 無意識なのだろうが、小さく開いてふう、と息が漏れる。
 温かいそれを感じて、自分の唇を重ねた。
 ぺろ、と舐めて再び寝顔を鑑賞する。
「……んっ……」
 露出している肩が冷えるのか、無意識に掌で包み込むような仕草をしたので、上から毛布をかけてやる。
 いつも、行為の後はそのまま裸で眠るのが当たり前になっているから、自分の方へと抱き寄せて、ぎゅっと両腕の中に入れる。
 鹿倉の小さな体は、そうされるのが必然のようにきちんと田村の腕の中に収まるから、少し冷たかった肌を掌で温めるように撫でると、ぴったりとくっついてきた。
「うーわ。これ、拷問だよなー」
 一回出したくらいで収まるわけがない田村のモノが、びくん、と硬さを増してくる。
 でも、この状況で一人でヌくのはさすがに虚しい。
 仕方がないから、違うことを考えてみた。
 この間の、まさかの浮気発覚には参った、と思う。
 いや、正確には“浮気”とは呼べないのだが。元々契約しているわけでもなく、鹿倉が誰と寝ようとも自分にそれを追究する権利なんてないのだから。
 たまたま。ほんとうに、たまたま。
 ふっと香る鹿倉の匂いにいつもと違うものを感じたのは確かで。
 最初は自宅で使っているシャンプーでも変えたのか、と思ったのだ。
 自分のそのうっすらとした思い付き。
 でも、いつもふざけて遊んでくる鹿倉に対して、ちょっとイジってやろうと、半分冗談でカマをかけた。
 そしたら。
 本当に固まってしまったから。
 まさかの爆発事故に、大怪我を負ったのは自分だった。
 実際普段の生活からは、一かけらもそんな素振りは見せないから。
 いつも通り堀さんとはイチャイチャしているし、下手すると志麻に対してもへらへらとふざけてイチャ付いて見せるし。
「もっさんには、甘えてる感じはあるけど、そいえばイチャイチャはしないよね、かぐ」
 小さく、呟く。
 まあ、ちょっと完璧なイケメン相手だから、逆に怖いのもあるだろうし。
 そこにイチャイチャを持ち込む勇気はさすがにないらしい。
 しかし。
 予想以上に鹿倉が自分に対して後ろめたさを感じてくれていたことが、少し嬉しくて。
 もっと平気な顔で堂々といろんな男に抱かれていると思っていたから。
 あんな風に、本音を見せてくれた鹿倉が愛おしかった。
 少なくとも、他のどんな男よりも、自分の傍にいたいと思ってくれているのがわかったから。
 田村は鹿倉を抱きしめる手に、少し力を込めた。
 まだ、下半身は鈍く疼くけれど。
 この柔らかい塊を抱いて、たまには持て余しながら寝てやるか、と。
 リモコンで灯りを消すと、鹿倉の頬にキスをしてから目を閉じた。
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