59 / 76
-59-
キュートなSF、悪魔な親友
しおりを挟む
「はあ? ……なんだよ。眠かっただけー?」
わけのわからない甘え方をしてくると思っていたら、ただただ眠いのを我慢していただけだったのかと。
田村は苦笑して、鹿倉の横に肘を立てて寝そべった。
その寝顔を見つめる。
「かーわいいなあ、もう」
白く滑らかな頬を、指で撫でる。
すっと通った鼻筋を指の甲で辿り、薄いけれどピンク色の柔らかい唇を親指で軽く擦った。
無意識なのだろうが、小さく開いてふう、と息が漏れる。
温かいそれを感じて、自分の唇を重ねた。
ぺろ、と舐めて再び寝顔を鑑賞する。
「……んっ……」
露出している肩が冷えるのか、無意識に掌で包み込むような仕草をしたので、上から毛布をかけてやる。
いつも、行為の後はそのまま裸で眠るのが当たり前になっているから、自分の方へと抱き寄せて、ぎゅっと両腕の中に入れる。
鹿倉の小さな体は、そうされるのが必然のようにきちんと田村の腕の中に収まるから、少し冷たかった肌を掌で温めるように撫でると、ぴったりとくっついてきた。
「うーわ。これ、拷問だよなー」
一回出したくらいで収まるわけがない田村のモノが、びくん、と硬さを増してくる。
でも、この状況で一人でヌくのはさすがに虚しい。
仕方がないから、違うことを考えてみた。
この間の、まさかの浮気発覚には参った、と思う。
いや、正確には“浮気”とは呼べないのだが。元々契約しているわけでもなく、鹿倉が誰と寝ようとも自分にそれを追究する権利なんてないのだから。
たまたま。ほんとうに、たまたま。
ふっと香る鹿倉の匂いにいつもと違うものを感じたのは確かで。
最初は自宅で使っているシャンプーでも変えたのか、と思ったのだ。
自分のそのうっすらとした思い付き。
でも、いつもふざけて遊んでくる鹿倉に対して、ちょっとイジってやろうと、半分冗談でカマをかけた。
そしたら。
本当に固まってしまったから。
まさかの爆発事故に、大怪我を負ったのは自分だった。
実際普段の生活からは、一かけらもそんな素振りは見せないから。
いつも通り堀さんとはイチャイチャしているし、下手すると志麻に対してもへらへらとふざけてイチャ付いて見せるし。
「もっさんには、甘えてる感じはあるけど、そいえばイチャイチャはしないよね、かぐ」
小さく、呟く。
まあ、ちょっと完璧なイケメン相手だから、逆に怖いのもあるだろうし。
そこにイチャイチャを持ち込む勇気はさすがにないらしい。
しかし。
予想以上に鹿倉が自分に対して後ろめたさを感じてくれていたことが、少し嬉しくて。
もっと平気な顔で堂々といろんな男に抱かれていると思っていたから。
あんな風に、本音を見せてくれた鹿倉が愛おしかった。
少なくとも、他のどんな男よりも、自分の傍にいたいと思ってくれているのがわかったから。
田村は鹿倉を抱きしめる手に、少し力を込めた。
まだ、下半身は鈍く疼くけれど。
この柔らかい塊を抱いて、たまには持て余しながら寝てやるか、と。
リモコンで灯りを消すと、鹿倉の頬にキスをしてから目を閉じた。
わけのわからない甘え方をしてくると思っていたら、ただただ眠いのを我慢していただけだったのかと。
田村は苦笑して、鹿倉の横に肘を立てて寝そべった。
その寝顔を見つめる。
「かーわいいなあ、もう」
白く滑らかな頬を、指で撫でる。
すっと通った鼻筋を指の甲で辿り、薄いけれどピンク色の柔らかい唇を親指で軽く擦った。
無意識なのだろうが、小さく開いてふう、と息が漏れる。
温かいそれを感じて、自分の唇を重ねた。
ぺろ、と舐めて再び寝顔を鑑賞する。
「……んっ……」
露出している肩が冷えるのか、無意識に掌で包み込むような仕草をしたので、上から毛布をかけてやる。
いつも、行為の後はそのまま裸で眠るのが当たり前になっているから、自分の方へと抱き寄せて、ぎゅっと両腕の中に入れる。
鹿倉の小さな体は、そうされるのが必然のようにきちんと田村の腕の中に収まるから、少し冷たかった肌を掌で温めるように撫でると、ぴったりとくっついてきた。
「うーわ。これ、拷問だよなー」
一回出したくらいで収まるわけがない田村のモノが、びくん、と硬さを増してくる。
でも、この状況で一人でヌくのはさすがに虚しい。
仕方がないから、違うことを考えてみた。
この間の、まさかの浮気発覚には参った、と思う。
いや、正確には“浮気”とは呼べないのだが。元々契約しているわけでもなく、鹿倉が誰と寝ようとも自分にそれを追究する権利なんてないのだから。
たまたま。ほんとうに、たまたま。
ふっと香る鹿倉の匂いにいつもと違うものを感じたのは確かで。
最初は自宅で使っているシャンプーでも変えたのか、と思ったのだ。
自分のそのうっすらとした思い付き。
でも、いつもふざけて遊んでくる鹿倉に対して、ちょっとイジってやろうと、半分冗談でカマをかけた。
そしたら。
本当に固まってしまったから。
まさかの爆発事故に、大怪我を負ったのは自分だった。
実際普段の生活からは、一かけらもそんな素振りは見せないから。
いつも通り堀さんとはイチャイチャしているし、下手すると志麻に対してもへらへらとふざけてイチャ付いて見せるし。
「もっさんには、甘えてる感じはあるけど、そいえばイチャイチャはしないよね、かぐ」
小さく、呟く。
まあ、ちょっと完璧なイケメン相手だから、逆に怖いのもあるだろうし。
そこにイチャイチャを持ち込む勇気はさすがにないらしい。
しかし。
予想以上に鹿倉が自分に対して後ろめたさを感じてくれていたことが、少し嬉しくて。
もっと平気な顔で堂々といろんな男に抱かれていると思っていたから。
あんな風に、本音を見せてくれた鹿倉が愛おしかった。
少なくとも、他のどんな男よりも、自分の傍にいたいと思ってくれているのがわかったから。
田村は鹿倉を抱きしめる手に、少し力を込めた。
まだ、下半身は鈍く疼くけれど。
この柔らかい塊を抱いて、たまには持て余しながら寝てやるか、と。
リモコンで灯りを消すと、鹿倉の頬にキスをしてから目を閉じた。
0
お気に入りに追加
30
あなたにおすすめの小説

そんなの真実じゃない
イヌノカニ
BL
引きこもって四年、生きていてもしょうがないと感じた主人公は身の周りの整理し始める。自分の部屋に溢れる幼馴染との思い出を見て、どんなパソコンやスマホよりも自分の事を知っているのは幼馴染だと気付く。どうにかして彼から自分に関する記憶を消したいと思った主人公は偶然見た広告の人を意のままに操れるというお香を手に幼馴染に会いに行くが———?
彼は本当に俺の知っている彼なのだろうか。
==============
人の証言と記憶の曖昧さをテーマに書いたので、ハッキリとせずに終わります。


【完結】I adore you
ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。
そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。
※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。


好きなあいつの嫉妬がすごい
カムカム
BL
新しいクラスで新しい友達ができることを楽しみにしていたが、特に気になる存在がいた。それは幼馴染のランだった。
ランはいつもクールで落ち着いていて、どこか遠くを見ているような眼差しが印象的だった。レンとは対照的に、内向的で多くの人と打ち解けることが少なかった。しかし、レンだけは違った。ランはレンに対してだけ心を開き、笑顔を見せることが多かった。
教室に入ると、運命的にレンとランは隣同士の席になった。レンは心の中でガッツポーズをしながら、ランに話しかけた。
「ラン、おはよう!今年も一緒のクラスだね。」
ランは少し驚いた表情を見せたが、すぐに微笑み返した。「おはよう、レン。そうだね、今年もよろしく。」

ある少年の体調不良について
雨水林檎
BL
皆に好かれるいつもにこやかな少年新島陽(にいじまはる)と幼馴染で親友の薬師寺優巳(やくしじまさみ)。高校に入学してしばらく陽は風邪をひいたことをきっかけにひどく体調を崩して行く……。
BLもしくはブロマンス小説。
体調不良描写があります。

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる