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キュートなSF、悪魔な親友
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鹿倉が来ない。
いや、来ないと言っても一週間来なかった、というだけだけど。
田村がソラを猫じゃらしで遊ばせながら、少し膨れた。
二人で担当してる仕事があるから、全然会わないわけでもないし、業務連絡的なことはラインで交わしているけれど。
それでも、家に一週間全く来ないとなるといろいろ気になってくるわけで。
「あいつ、ちゃんとメシ食ってんのかな?」
ソラに向かって話しかける。
「てか、こっちもおかず、ダブついて来てんだよなー」
毎回大量に料理するわけではないが、それでも鹿倉が食べることも念頭に置いているから、口が減ればそれだけ余る物が出てくる。
それについては苦情、言いたい。
と。
自分に言い訳して、田村は鹿倉に電話した。
「ん? どした?」
ワンコールであっさり繋がって、拍子抜けする。
「いや。メシ、余ってんだけど」
「はあ?」
「だからー。何で来ねーんだよ」
もう、ここでグダグダ言い訳なんか考えてられなくて、素直にはっきり言ってしまうところが田村である。
「あー、ごめんごめん。タイミング合わなくてさ」
「タイミングって何?」
「こないだそっち行こうと思った日、限定フェス初日だったから。おまえ、そっちでゲームしてたら拗ねるじゃん」
正論だ。
まさに、ぐうの音も出ない。
「でも……」
口ごもってしまった田村に鹿倉が。
「わかったわかった。寂しかったのな?」
「寂しくなんか、ねーし」
「一人でヌくの、虚しいもんな?」
「ヌいてねーし!」
「ソラは抱けねーもんな?」
「……かぐのばーか」
いよいよ反論できなくて、小学生みたいな悪口になってしまった田村に、鹿倉がくふくふと笑い転げる。
「ハンバーグ、食いたい」
「え?」
「あー、ハンバーグ、食べたいなー。美味しいヤツ。手作りの」
鹿倉のまるで何かのセリフみたいな言葉が。
嬉しくなった田村は、
「もー、しょーがないなー。明日、作ってやんよ」
と満面の笑みで応えた。
いや、来ないと言っても一週間来なかった、というだけだけど。
田村がソラを猫じゃらしで遊ばせながら、少し膨れた。
二人で担当してる仕事があるから、全然会わないわけでもないし、業務連絡的なことはラインで交わしているけれど。
それでも、家に一週間全く来ないとなるといろいろ気になってくるわけで。
「あいつ、ちゃんとメシ食ってんのかな?」
ソラに向かって話しかける。
「てか、こっちもおかず、ダブついて来てんだよなー」
毎回大量に料理するわけではないが、それでも鹿倉が食べることも念頭に置いているから、口が減ればそれだけ余る物が出てくる。
それについては苦情、言いたい。
と。
自分に言い訳して、田村は鹿倉に電話した。
「ん? どした?」
ワンコールであっさり繋がって、拍子抜けする。
「いや。メシ、余ってんだけど」
「はあ?」
「だからー。何で来ねーんだよ」
もう、ここでグダグダ言い訳なんか考えてられなくて、素直にはっきり言ってしまうところが田村である。
「あー、ごめんごめん。タイミング合わなくてさ」
「タイミングって何?」
「こないだそっち行こうと思った日、限定フェス初日だったから。おまえ、そっちでゲームしてたら拗ねるじゃん」
正論だ。
まさに、ぐうの音も出ない。
「でも……」
口ごもってしまった田村に鹿倉が。
「わかったわかった。寂しかったのな?」
「寂しくなんか、ねーし」
「一人でヌくの、虚しいもんな?」
「ヌいてねーし!」
「ソラは抱けねーもんな?」
「……かぐのばーか」
いよいよ反論できなくて、小学生みたいな悪口になってしまった田村に、鹿倉がくふくふと笑い転げる。
「ハンバーグ、食いたい」
「え?」
「あー、ハンバーグ、食べたいなー。美味しいヤツ。手作りの」
鹿倉のまるで何かのセリフみたいな言葉が。
嬉しくなった田村は、
「もー、しょーがないなー。明日、作ってやんよ」
と満面の笑みで応えた。
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