30 / 53
deep end
deep end -4-
しおりを挟む
「きゃー!! 海! きれーい!!」
四人の女子が叫んでいる。
のを後目に、ルカが車を駐車場に停めて。
道中横で父にちまちまと注意されつつも、基本的に運転が好きなルカとしてはちょっとした遠出を運転させてもらえるだけでも嬉しいわけで。
「じゃ、先に行ってるね」
完全に、荷物持ちとその見張り番で来ているらしい父とルカである。砂浜に駆けて行った女子を追うが、のんびり歩く。
正に盛夏、という天気。
ここ数日、毎日のように「今年の最高気温を更新しました」とお天気お姉さんが言っているので、きっと今日も「今年の最高気温」となるのだろう。
そんな、最高の海日和な日で。
ルカの一番の楽しみはゆかりの水着姿だったりするのだが。
もう何年も見てない。いや、当たり前だが。
子供の頃はこのメンバー(まあ、プラスゆかりの元ダンナもいたが)でよく泳ぎに行っていたし、海だけでなく近所のプールにも行ったり。
美紅とゆかりが双子(?)を連れて動く時には大抵その横に子供のルカもいたので、その頃は当たり前のようにゆかりの水着姿も見ていたハズだが、さすがに今とは意識が違うわけで。
ちょっとワクワクしながら更衣室を出て、父が待っているテントに戻る。
「みんなは?」
ごろん、とテントの中で横になっている親父に訊くと。
「もう泳いでるよ。ムシが付かないようにお前が見張ってろよ」
「親父は泳がねーの?」
「気が向いたら行くけど。とりあえず寝てる」
「あ、そ」
軽く手足を振って、準備運動的な動きだけして、波打ち際へと向かう。
ゆかりちゃん、ゆかりちゃん、と。
「…………」
エメラルドグリーンのビキニの双子。の、横で。
がっつりラッシュガードを着込んでしっかり日よけの帽子を被ったオバチャン二人。
に、絶句。
いや、わかってたよ、半分。でも、期待してたんだよ!
「あ、るーちゃん。遅い!」
「……水着は?」
「着てるよー、下に」
「…………」
「どしたの、るーちゃん?」
明らかに不機嫌になったルカに、ゆかりがきょとんとした声で問いかけて。でもその横で美紅が必死で笑いを堪えている。のが更にムカつく!
「なんでもない。ちゃんと準備運動した?」
「してなーい」
「足、つるよ」
「つったらるーちゃん、助けてね」
「はいはい」
四人が浅瀬でぱちゃぱちゃと遊んでいるのを見て、とりえあえず周辺にいる男たちは双子をナンパすることはあってもこの妙齢のお二人に声をかけることはないな、と変な安心だけして。
ルカはざばざばと沖へと出た。
基本的に運動神経はいい方だと自覚はあるので、泳ぐのも得意である。小さい頃から毎年のように海には来ていたから、怖いと思ったこともないし。
沖で浮きながら、ゆかりを見る。
こんなオバチャン全開の恰好のゆかりでも、やっぱり彼女が好きだと思う。
間違ってもマザコンではない。だって同じ格好の美紅には「当たり前だろ」としか思わないし。
「ビキニとか、期待したんだけどなー」
ぼそ、と呟いてみる。
絶対似合うハズ、なのに。だって、かなりスタイルいいと思うし。
全体的に小さいけど、出るとこ出てる、ようには見える。まあ、さすがに裸を見たわけじゃないからわからないけれど。でも、ただただ細い美紅と違い、ふんわりとした雰囲気がある。
なんて、想像してたらちょっとヤバくなって(主に下半身が)、雑念を追い払うように、ざばざばと泳いだ。
四人の女子が叫んでいる。
のを後目に、ルカが車を駐車場に停めて。
道中横で父にちまちまと注意されつつも、基本的に運転が好きなルカとしてはちょっとした遠出を運転させてもらえるだけでも嬉しいわけで。
「じゃ、先に行ってるね」
完全に、荷物持ちとその見張り番で来ているらしい父とルカである。砂浜に駆けて行った女子を追うが、のんびり歩く。
正に盛夏、という天気。
ここ数日、毎日のように「今年の最高気温を更新しました」とお天気お姉さんが言っているので、きっと今日も「今年の最高気温」となるのだろう。
そんな、最高の海日和な日で。
ルカの一番の楽しみはゆかりの水着姿だったりするのだが。
もう何年も見てない。いや、当たり前だが。
子供の頃はこのメンバー(まあ、プラスゆかりの元ダンナもいたが)でよく泳ぎに行っていたし、海だけでなく近所のプールにも行ったり。
美紅とゆかりが双子(?)を連れて動く時には大抵その横に子供のルカもいたので、その頃は当たり前のようにゆかりの水着姿も見ていたハズだが、さすがに今とは意識が違うわけで。
ちょっとワクワクしながら更衣室を出て、父が待っているテントに戻る。
「みんなは?」
ごろん、とテントの中で横になっている親父に訊くと。
「もう泳いでるよ。ムシが付かないようにお前が見張ってろよ」
「親父は泳がねーの?」
「気が向いたら行くけど。とりあえず寝てる」
「あ、そ」
軽く手足を振って、準備運動的な動きだけして、波打ち際へと向かう。
ゆかりちゃん、ゆかりちゃん、と。
「…………」
エメラルドグリーンのビキニの双子。の、横で。
がっつりラッシュガードを着込んでしっかり日よけの帽子を被ったオバチャン二人。
に、絶句。
いや、わかってたよ、半分。でも、期待してたんだよ!
「あ、るーちゃん。遅い!」
「……水着は?」
「着てるよー、下に」
「…………」
「どしたの、るーちゃん?」
明らかに不機嫌になったルカに、ゆかりがきょとんとした声で問いかけて。でもその横で美紅が必死で笑いを堪えている。のが更にムカつく!
「なんでもない。ちゃんと準備運動した?」
「してなーい」
「足、つるよ」
「つったらるーちゃん、助けてね」
「はいはい」
四人が浅瀬でぱちゃぱちゃと遊んでいるのを見て、とりえあえず周辺にいる男たちは双子をナンパすることはあってもこの妙齢のお二人に声をかけることはないな、と変な安心だけして。
ルカはざばざばと沖へと出た。
基本的に運動神経はいい方だと自覚はあるので、泳ぐのも得意である。小さい頃から毎年のように海には来ていたから、怖いと思ったこともないし。
沖で浮きながら、ゆかりを見る。
こんなオバチャン全開の恰好のゆかりでも、やっぱり彼女が好きだと思う。
間違ってもマザコンではない。だって同じ格好の美紅には「当たり前だろ」としか思わないし。
「ビキニとか、期待したんだけどなー」
ぼそ、と呟いてみる。
絶対似合うハズ、なのに。だって、かなりスタイルいいと思うし。
全体的に小さいけど、出るとこ出てる、ようには見える。まあ、さすがに裸を見たわけじゃないからわからないけれど。でも、ただただ細い美紅と違い、ふんわりとした雰囲気がある。
なんて、想像してたらちょっとヤバくなって(主に下半身が)、雑念を追い払うように、ざばざばと泳いだ。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
「君の為の時間は取れない」と告げた旦那様の意図を私はちゃんと理解しています。
あおくん
恋愛
憧れの人であった旦那様は初夜が終わったあと私にこう告げた。
「君の為の時間は取れない」と。
それでも私は幸せだった。だから、旦那様を支えられるような妻になりたいと願った。
そして騎士団長でもある旦那様は次の日から家を空け、旦那様と入れ違いにやって来たのは旦那様の母親と見知らぬ女性。
旦那様の告げた「君の為の時間は取れない」という言葉はお二人には別の意味で伝わったようだ。
あなたは愛されていない。愛してもらうためには必要なことだと過度な労働を強いた結果、過労で倒れた私は記憶喪失になる。
そして帰ってきた旦那様は、全てを忘れていた私に困惑する。
※35〜37話くらいで終わります。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
皇太子夫妻の歪んだ結婚
夕鈴
恋愛
皇太子妃リーンは夫の秘密に気付いてしまった。
その秘密はリーンにとって許せないものだった。結婚1日目にして離縁を決意したリーンの夫婦生活の始まりだった。
本編完結してます。
番外編を更新中です。
愛しき夫は、男装の姫君と恋仲らしい。
星空 金平糖
恋愛
シエラは、政略結婚で夫婦となった公爵──グレイのことを深く愛していた。
グレイは優しく、とても親しみやすい人柄でその甘いルックスから、結婚してからも数多の女性達と浮名を流していた。
それでもシエラは、グレイが囁いてくれる「私が愛しているのは、あなただけだよ」その言葉を信じ、彼と夫婦であれることに幸福を感じていた。
しかし。ある日。
シエラは、グレイが美貌の少年と親密な様子で、王宮の庭を散策している場面を目撃してしまう。当初はどこかの令息に王宮案内をしているだけだと考えていたシエラだったが、実はその少年が王女─ディアナであると判明する。
聞くところによるとディアナとグレイは昔から想い会っていた。
ディアナはグレイが結婚してからも、健気に男装までしてグレイに会いに来ては逢瀬を重ねているという。
──……私は、ただの邪魔者だったの?
衝撃を受けるシエラは「これ以上、グレイとはいられない」と絶望する……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる