affection

月那

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deep end

deep end -4-

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「きゃー!! 海! きれーい!!」
 四人の女子が叫んでいる。
 のを後目に、ルカが車を駐車場に停めて。
 道中横で父にちまちまと注意されつつも、基本的に運転が好きなルカとしてはちょっとした遠出を運転させてもらえるだけでも嬉しいわけで。
「じゃ、先に行ってるね」
 完全に、荷物持ちとその見張り番で来ているらしい父とルカである。砂浜に駆けて行った女子を追うが、のんびり歩く。
 正に盛夏、という天気。
 ここ数日、毎日のように「今年の最高気温を更新しました」とお天気お姉さんが言っているので、きっと今日も「今年の最高気温」となるのだろう。
 そんな、最高の海日和な日で。
 ルカの一番の楽しみはゆかりの水着姿だったりするのだが。
 もう何年も見てない。いや、当たり前だが。
 子供の頃はこのメンバー(まあ、プラスゆかりの元ダンナもいたが)でよく泳ぎに行っていたし、海だけでなく近所のプールにも行ったり。
 美紅とゆかりが双子(?)を連れて動く時には大抵その横に子供のルカもいたので、その頃は当たり前のようにゆかりの水着姿も見ていたハズだが、さすがに今とは意識が違うわけで。
 ちょっとワクワクしながら更衣室を出て、父が待っているテントに戻る。
「みんなは?」
 ごろん、とテントの中で横になっている親父に訊くと。
「もう泳いでるよ。ムシが付かないようにお前が見張ってろよ」
「親父は泳がねーの?」
「気が向いたら行くけど。とりあえず寝てる」
「あ、そ」
 軽く手足を振って、準備運動的な動きだけして、波打ち際へと向かう。
 ゆかりちゃん、ゆかりちゃん、と。
「…………」
 エメラルドグリーンのビキニの双子。の、横で。
 がっつりラッシュガードを着込んでしっかり日よけの帽子を被ったオバチャン二人。
 に、絶句。
 いや、わかってたよ、半分。でも、期待してたんだよ!
「あ、るーちゃん。遅い!」
「……水着は?」
「着てるよー、下に」
「…………」
「どしたの、るーちゃん?」
 明らかに不機嫌になったルカに、ゆかりがきょとんとした声で問いかけて。でもその横で美紅が必死で笑いを堪えている。のが更にムカつく!
「なんでもない。ちゃんと準備運動した?」
「してなーい」
「足、つるよ」
「つったらるーちゃん、助けてね」
「はいはい」
 四人が浅瀬でぱちゃぱちゃと遊んでいるのを見て、とりえあえず周辺にいる男たちは双子をナンパすることはあってもこの妙齢のお二人に声をかけることはないな、と変な安心だけして。
 ルカはざばざばと沖へと出た。
 基本的に運動神経はいい方だと自覚はあるので、泳ぐのも得意である。小さい頃から毎年のように海には来ていたから、怖いと思ったこともないし。
 沖で浮きながら、ゆかりを見る。
 こんなオバチャン全開の恰好のゆかりでも、やっぱり彼女が好きだと思う。
 間違ってもマザコンではない。だって同じ格好の美紅には「当たり前だろ」としか思わないし。
「ビキニとか、期待したんだけどなー」
 ぼそ、と呟いてみる。
 絶対似合うハズ、なのに。だって、かなりスタイルいいと思うし。
 全体的に小さいけど、出るとこ出てる、ようには見える。まあ、さすがに裸を見たわけじゃないからわからないけれど。でも、ただただ細い美紅と違い、ふんわりとした雰囲気がある。
 なんて、想像してたらちょっとヤバくなって(主に下半身が)、雑念を追い払うように、ざばざばと泳いだ。
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