54 / 101
【4】Crystal
4
しおりを挟む
少しだけ時間を遡る。
授業が終わり、成親が彬からのラインの地図を見たら彼の自宅はほんとに学校の近くだった。
成親は、とりあえず彬に“今から行くけど、いい?”とだけメッセージを入れる。
まだ十六時過ぎだから、特選科は補講中かもしれない。
それなら暫くは校内のどこかで時間を潰すつもりだったし。
“いいよ。今日はなるの為に補講サボったから”
彬から可愛い返事が来て、笑う。
“それで成績落ちたからって、俺のせいにすんなよ”
自転車に乗る前にそう送った。
翔が補講をサボるなんてあり得ないから、特選科の中にこんな不真面目なヤツがいるのかと思うと、笑える。
が、彬の自宅前に来て、笑っていられなくなった。
この辺りが高級住宅街ということは、噂には聞いていた。
けれど白壁の豪華な建物と、その周囲にある生垣で囲われた塀、そしてその広さに愕然とする。
しかも、中から見ていたのか、成親が門の入口に着いた瞬間その通用口である扉の鍵が開く音がして。
“そのまま入って。中、どこでもいいからチャリ止めて”
メッセージが入る。
言われるままに自転車を置いて、玄関を見ると彬が立っていた。
「おまえ……ほんっと勝ち組だなー」
成親が言うと、
「親の持ちモンだから、どーでもいいよ。ここ、すぐわかった?」
笑いながら手招きされ、玄関を入る。
今の家に引っ越す前に、いくつか回ったモデルハウスのような、豪華なエントランスに目をきょろきょろさせている成親が靴を揃えていたら、
「俺の部屋、二階だから。まだ親帰ってねーからいないし、挨拶とかどーでもいいから」
彬が言ってきた。
かしこまらなくていいよ、と笑うから、少し安心して後に続いて階段を上がる。
「他に友達、いんの?」
「ん、先に部屋に来てるよ」
確かに、玄関には学校指定の靴が既に三足あったから。一つは彬のならば、友人は他に二人ってことか。
特選科の人間が彬のように補講サボるなんてことはないだろうから、友人は特選科じゃないのだろうと予測して、成親が部屋の扉を開けた。
その瞬間、視界に入った姿が。
あまりにも、想像を超えたモノだったから。
成親は茫然として、固まった。
「しょーさん……?」
一番大好きな人。
が。
全裸で。
男に組み敷かれていて。
目尻に涙を流しながら、こっちを、見た。から。
何も言えなくて、ただ目だけがそこに吸い寄せられるように光景を脳に伝えていて。
息すらできないくらいの驚愕に、固まるしかなくて。
「なる、おいで」
固まった自分の肩を、彬が、抱いた。
「ごめんね、なる。ほんとは、黙っておこうと思ったんだけど」
「……なるに、触るな!!」
彬の声を遮るように、翔が大声で叫んだ。
「俺の恋人が、しょおくんと、浮気してたんだ」
彬が、そう、言って。
「あっ……ああっ……!」
男にモノを突っ込まれ、されるがままに翔が喘ぎ、自分のモノを扱きながらその淫楽に腰を振る姿が。
成親の下半身を、無駄に刺激していて。
だって、そんな翔の姿は、あまりにも淫靡で。
成親の見たことのない、乱れた翔は煩悶しながらもその白い肌をピンクに染めて善がっていて。
綺麗な翔が、淫らに美しくて。
今までに見たどんなエロ動画より、ずっと淫猥なその光景に瞬きすらできない。
色黒の筋肉質な男が、白い脚を大きく広げた翔の間に入り込んで、思うままに腰を動かして。
翔の腰をその筋張った腕で掴み、奥を突き上げている様が。
与えられた快感に喘ぐ翔の声すら、聴いたことのない色気でその場を震わせていて。
目の前で繰り広げられる、あり得ないくらい猥雑で、でも美し過ぎるその光景は、男である成親のモノに刺激を伝えるから。
茫然としながら、勃起している自分を抑えられなかった。
「あーあ。なる、これ、キツいでしょ?」
彬は成親のベルトに手をかけた。
「んあっ……ああんっ……やっ……さ、さわるなっ!」
翔が、声で彬を制しようとするが、快楽の喘ぎに掠れて力のないその声は、空気に溶けて消えた。
そして、彬は成親の前を寛げると、モノに手をかける。
茫然としたままの成親の肩を抱きながら、ソレを扱き、
「んんっ……あっ……あっ……」
先走りを使ってくちゅくちゅと先端を揉み上げると、根元を激しく擦って射精させた。
「あ……あき、ら……」
くた、と成親は彬の腕の中に倒れ込むと、そのまま意識を失った。
授業が終わり、成親が彬からのラインの地図を見たら彼の自宅はほんとに学校の近くだった。
成親は、とりあえず彬に“今から行くけど、いい?”とだけメッセージを入れる。
まだ十六時過ぎだから、特選科は補講中かもしれない。
それなら暫くは校内のどこかで時間を潰すつもりだったし。
“いいよ。今日はなるの為に補講サボったから”
彬から可愛い返事が来て、笑う。
“それで成績落ちたからって、俺のせいにすんなよ”
自転車に乗る前にそう送った。
翔が補講をサボるなんてあり得ないから、特選科の中にこんな不真面目なヤツがいるのかと思うと、笑える。
が、彬の自宅前に来て、笑っていられなくなった。
この辺りが高級住宅街ということは、噂には聞いていた。
けれど白壁の豪華な建物と、その周囲にある生垣で囲われた塀、そしてその広さに愕然とする。
しかも、中から見ていたのか、成親が門の入口に着いた瞬間その通用口である扉の鍵が開く音がして。
“そのまま入って。中、どこでもいいからチャリ止めて”
メッセージが入る。
言われるままに自転車を置いて、玄関を見ると彬が立っていた。
「おまえ……ほんっと勝ち組だなー」
成親が言うと、
「親の持ちモンだから、どーでもいいよ。ここ、すぐわかった?」
笑いながら手招きされ、玄関を入る。
今の家に引っ越す前に、いくつか回ったモデルハウスのような、豪華なエントランスに目をきょろきょろさせている成親が靴を揃えていたら、
「俺の部屋、二階だから。まだ親帰ってねーからいないし、挨拶とかどーでもいいから」
彬が言ってきた。
かしこまらなくていいよ、と笑うから、少し安心して後に続いて階段を上がる。
「他に友達、いんの?」
「ん、先に部屋に来てるよ」
確かに、玄関には学校指定の靴が既に三足あったから。一つは彬のならば、友人は他に二人ってことか。
特選科の人間が彬のように補講サボるなんてことはないだろうから、友人は特選科じゃないのだろうと予測して、成親が部屋の扉を開けた。
その瞬間、視界に入った姿が。
あまりにも、想像を超えたモノだったから。
成親は茫然として、固まった。
「しょーさん……?」
一番大好きな人。
が。
全裸で。
男に組み敷かれていて。
目尻に涙を流しながら、こっちを、見た。から。
何も言えなくて、ただ目だけがそこに吸い寄せられるように光景を脳に伝えていて。
息すらできないくらいの驚愕に、固まるしかなくて。
「なる、おいで」
固まった自分の肩を、彬が、抱いた。
「ごめんね、なる。ほんとは、黙っておこうと思ったんだけど」
「……なるに、触るな!!」
彬の声を遮るように、翔が大声で叫んだ。
「俺の恋人が、しょおくんと、浮気してたんだ」
彬が、そう、言って。
「あっ……ああっ……!」
男にモノを突っ込まれ、されるがままに翔が喘ぎ、自分のモノを扱きながらその淫楽に腰を振る姿が。
成親の下半身を、無駄に刺激していて。
だって、そんな翔の姿は、あまりにも淫靡で。
成親の見たことのない、乱れた翔は煩悶しながらもその白い肌をピンクに染めて善がっていて。
綺麗な翔が、淫らに美しくて。
今までに見たどんなエロ動画より、ずっと淫猥なその光景に瞬きすらできない。
色黒の筋肉質な男が、白い脚を大きく広げた翔の間に入り込んで、思うままに腰を動かして。
翔の腰をその筋張った腕で掴み、奥を突き上げている様が。
与えられた快感に喘ぐ翔の声すら、聴いたことのない色気でその場を震わせていて。
目の前で繰り広げられる、あり得ないくらい猥雑で、でも美し過ぎるその光景は、男である成親のモノに刺激を伝えるから。
茫然としながら、勃起している自分を抑えられなかった。
「あーあ。なる、これ、キツいでしょ?」
彬は成親のベルトに手をかけた。
「んあっ……ああんっ……やっ……さ、さわるなっ!」
翔が、声で彬を制しようとするが、快楽の喘ぎに掠れて力のないその声は、空気に溶けて消えた。
そして、彬は成親の前を寛げると、モノに手をかける。
茫然としたままの成親の肩を抱きながら、ソレを扱き、
「んんっ……あっ……あっ……」
先走りを使ってくちゅくちゅと先端を揉み上げると、根元を激しく擦って射精させた。
「あ……あき、ら……」
くた、と成親は彬の腕の中に倒れ込むと、そのまま意識を失った。
0
お気に入りに追加
38
あなたにおすすめの小説
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
英国紳士の熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです
坂合奏
恋愛
「I love much more than you think(君が思っているよりは、愛しているよ)」
祖母の策略によって、冷徹上司であるイギリス人のジャン・ブラウンと婚約することになってしまった、二十八歳の清水萌衣。
こんな男と結婚してしまったら、この先人生お先真っ暗だと思いきや、意外にもジャンは恋人に甘々の男で……。
あまりの熱い抱擁に、今にも腰が砕けそうです。
※物語の都合で軽い性描写が2~3ページほどあります。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
Take On Me
マン太
BL
親父の借金を返済するため、ヤクザの若頭、岳(たける)の元でハウスキーパーとして働く事になった大和(やまと)。
初めは乗り気でなかったが、持ち前の前向きな性格により、次第に力を発揮していく。
岳とも次第に打ち解ける様になり…。
軽いノリのお話しを目指しています。
※BLに分類していますが軽めです。
※他サイトへも掲載しています。
狂愛的ロマンス〜孤高の若頭の狂気めいた執着愛〜
羽村美海
恋愛
古式ゆかしき華道の家元のお嬢様である美桜は、ある事情から、家をもりたてる駒となれるよう厳しく育てられてきた。
とうとうその日を迎え、見合いのため格式高い高級料亭の一室に赴いていた美桜は貞操の危機に見舞われる。
そこに現れた男により救われた美桜だったが、それがきっかけで思いがけない展開にーー
住む世界が違い、交わることのなかったはずの尊の不器用な優しさに触れ惹かれていく美桜の行き着く先は……?
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
✧天澤美桜•20歳✧
古式ゆかしき華道の家元の世間知らずな鳥籠のお嬢様
✧九條 尊•30歳✧
誰もが知るIT企業の経営者だが、実は裏社会の皇帝として畏れられている日本最大の極道組織泣く子も黙る極心会の若頭
✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦・━・✦
*西雲ササメ様より素敵な表紙をご提供頂きました✨
※TL小説です。設定上強引な展開もあるので閲覧にはご注意ください。
※設定や登場する人物、団体、グループの名称等全てフィクションです。
※随時概要含め本文の改稿や修正等をしています。
✧
✧連載期間22.4.29〜22.7.7 ✧
✧22.3.14 エブリスタ様にて先行公開✧
【第15回らぶドロップス恋愛小説コンテスト一次選考通過作品です。コンテストの結果が出たので再公開しました。※エブリスタ様限定でヤス視点のSS公開中】
モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)
夏目碧央
BL
兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。
ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる