Treasure of life

月那

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【2】Malachite

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「あ。そいえば最近、めっちゃ可愛いウサギ、見つけたんだよね」
 思い出し笑い、なんてしながら言う彬に皇が。
「どんなコ?」
 興味を示してきた。
 好みのタイプはあまり被らないから相手を共有することは今までになかったけれど。

「なんか、すっげー普通なんだけど、どっかやたらと可愛いっつーか」
「意味わからん」
「特選の二年に楠本ってヤツがいんだけど、多分そいつのツレなんだよね」
「女の子?」
「にゃ、男の子。でも、俺はすっげー好み」
「へえ。珍しい」
「だろ? 見るからに男子なんだけど、何だろうね、あの色気は。ふっつーな感じがめちゃくちゃ可愛くて、あれ、多分楠本は食ってんだろーな」
「楠本、ね。なんか、聞いたことあるな」
「生徒会の副会長だよ」
「ああ、翔か」

「え、何? こおくん知ってんの?」
「ん。ツレが何か、言ってた。おまえと一緒で、努力して特選科ってタイプじゃなくて、ただただ飄々とそこにいるって感じで。そいつはあんま、気に食わねーつってたけど、俺としては結構好みの顔」
「あ、それはわかる。こおくん、あの手の甘い顔好きだよね」
「体つきは結構いいけどな。鍛えてるっぽい」
 確かに、スイートな顔つきの割にはいい体をしてるのが制服越しにもわかる。
「じゃ、一緒に食っちゃう?」
「二人ごとナンパ?」
 皇がふ、と鼻の奥で笑いながら提案する。

「そりゃムズイな。でも何とかしてしょおくんのこと取り込んでやれば、あのコは手に入るかも」
「お裾分け、待ってる」
「んな、美味しいトコだけ?」
「俺にはおまえみたいな手練手管はねーからな」
 皇がくふくふ嗤って、彬のモノを指先で弾いた。

「コイツ喜ばせるために、おまえのノーミソあんだろ?」
「んな、人をケダモノみたいに」
「彬、ケダモノじゃん。誰でも食ってるし」
「俺はちゃんと選別してるよ」
「ふーん、じゃ俺もちゃんと選別されてるってこと?」
「んー……てか、こおくんは特別、かな」
「ほほお?」
 皇が少し、嬉しそうに笑った。
 別に好きとか、そんな感情はないけれど、“特別”って響きに擽られた。

「だって、この俺様がネコになってやんの、こおくんだけだし」
「彬は、他のヤツが思ってる以上にかわいんだよ」
「そーゆートコな。俺に“可愛い”って言うのはこおくんだけ」

 太めの眉や彫の深さもあって凛々しい顔立ちだから、怖いという印象こそ与えるけれど、間違っても“可愛い”なんて言われたことはない。

 まあ、大人な女性に言われることは、あるけれど。当然それは“言わせて”るわけで。

「までも、今日は俺、コイツに仕事して貰いたい気分だったし」
 再び皇が彬のモノに刺激を与えるから。
 反応しないではいられなくて、彬が起き上がった。
「じゃ、再開?」
 問うと、皇が目を閉じてキスで返事をした。
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