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「で? カレシと待ち合わせは? 今日、来てるんじゃねーの?」
「ん。ほのかと二人で来てる。さっきなんか、噂が飛んでたからどっかにいる」
「噂って?」
「モデルばりの美男美女が歩いてたってさ」
「あー……それな」
そう、モデルばりの美男美女ならきっと、ほのかと朋樹だろう。
ほのかが美少女なのはもう、穂高も知っているし。
朋樹だって行動はただの“抜けサク”だが、ぱっと見イケメンだから。
こんな田舎の普通の高校に来れば、女子の目がハートマークになるのは想像できる。
でも。
即“ジェラ”にならないのは。信じているから。……だけじゃなく、疲れ切っているから。
「待ち合わせ場所は?」
「ん。さっきラインした。莉沙も連れて、紹介する」
櫂斗がさらっと言う。
「え? まじで?」
「ん。おまえらにはも、隠すつもりねーから」
二年一組お化け屋敷に寄ると、莉沙を呼ぶ。
こいつもなかなかの“猫娘”である。
ただし、可愛くするという方向性ではなく“化け猫”に向かっているため、さすがにちょっと怖め。
二匹の猫娘に挟まれて、穂高はちょっと複雑な感情で。
「今日はまた一段と激カワだな、おい。まじ並びたくねえ」と莉沙が完全に敗北感で眉を顰めた。
とは言え莉沙も、丁度休憩に入るトコだったらしく、すんなり連れ出して中庭のフードコート――先生有志による出店で売上競争には参加している――に向かった。
「……かっわいいなあ、櫂斗。写真撮らせろよ」
開口一番、ほのかが言って。
「かーちゃんに見せないなら、撮らしてやる」
「ばかじゃねーの? 見せるに決まってんだろ。即ラインするわ」
「じゃあヤだ」
「ほら、芳賀、そこに並べ」
「聞けよ、人の話をよ!」
いつものほのかと櫂斗のやり取りの横で、完全に朋樹は硬直していて。
「……トモさん? どしたの?」
とりあえず、櫂斗が心配そうに覗き込む。
が、朋樹はただただ小さく首を横に振って。
「バグってんな、こいつ」ほのかが鼻で笑って。
「何おまえ、そのカッコすんのゆってなかったわけ?」
「ゆっといたよ、いちお。可愛いカッコすっから、見に来てねって」
ちょっとだけ、教室にいた時のように可愛いフリして。
「あー。想像以上だったわけか。ま、いいや。ほっといて、お二人さん紹介してよ」
ほのかに促されたから、
「あそっか。ごめん。こっちが穂高、でこっちが莉沙。んで、この口の悪い美女がほのかで、そっちで固まってるのがトモさん」
と、さらっと二人に二人を紹介して。
「あ……まじ、めっちゃ美人ですね」
「あーそーゆの、いらねーから。んな子供のウチからお世辞なんか言わなくていいんだよ」
穂高が茫然とほのかの容姿を讃えても、当たり前にほのかは鼻で笑って流してしまう。
「あたし、全然イけます」
「はい?」
「ほのかさん、オトモダチになりたいっす」
莉沙が、そう言ってほのかの手を取った。
「あー莉沙って女子にモテるし実際女の子、好きだよね」
櫂斗が笑う。
「そーなん? じゃ、よろしくね。自分も可愛い女の子好きだよ。仲良くしよーね」
あっさりとほのかがスマホを出して、莉沙とライン交換なんかして。
おまけに猫娘やっている莉沙にポーズさせてツーショットなんて撮っている辺り、いかにも女子である。
「いい加減、戻んないかな、トモさん。俺、可愛くない?」
朋樹の前で可愛いフリをするのは、当然わざとである。
きっと“ノーサツ”されてる、なんて櫂斗はわかっているから。
ちょっとセクシーなウィンクなんてして。
「……櫂斗……」やっと、目が合う。
「あ、戻った。ね、写真、撮ろ」
にっこり笑ってツーショットを自撮り。
「似合ってるよ、櫂斗」
穂高が自然にそう言う。
猫娘姿の櫂斗が朋樹の横に並んでいる絵は普通にカップルだから。
「ん、ありがと。ま、ココではあんまし、いつものようにはできないけどね」
学校で恋人同士、なんて堂々とはできないから。
とりあえず一つのテーブルを囲んで、このメンバーの中でだけなら“カップル”でいられる。
「えっと、朋樹さん。櫂斗、よろしくです」
穂高が、言う。それはもう、半分保護者のような感覚。
自分の親友を、どうか幸せにしてやって下さいと。
「あ。じゃああたしら、二人で回るんで」
「え? 一緒に回んないの?」
ほのかが訊くと。
「いちお、あたしらもカップルなんで。ちょい、その辺でラブって来ますわ」
穂高と二人、“おがた”メンバーの邪魔にならないよう遠慮した。
「ん。ほのかと二人で来てる。さっきなんか、噂が飛んでたからどっかにいる」
「噂って?」
「モデルばりの美男美女が歩いてたってさ」
「あー……それな」
そう、モデルばりの美男美女ならきっと、ほのかと朋樹だろう。
ほのかが美少女なのはもう、穂高も知っているし。
朋樹だって行動はただの“抜けサク”だが、ぱっと見イケメンだから。
こんな田舎の普通の高校に来れば、女子の目がハートマークになるのは想像できる。
でも。
即“ジェラ”にならないのは。信じているから。……だけじゃなく、疲れ切っているから。
「待ち合わせ場所は?」
「ん。さっきラインした。莉沙も連れて、紹介する」
櫂斗がさらっと言う。
「え? まじで?」
「ん。おまえらにはも、隠すつもりねーから」
二年一組お化け屋敷に寄ると、莉沙を呼ぶ。
こいつもなかなかの“猫娘”である。
ただし、可愛くするという方向性ではなく“化け猫”に向かっているため、さすがにちょっと怖め。
二匹の猫娘に挟まれて、穂高はちょっと複雑な感情で。
「今日はまた一段と激カワだな、おい。まじ並びたくねえ」と莉沙が完全に敗北感で眉を顰めた。
とは言え莉沙も、丁度休憩に入るトコだったらしく、すんなり連れ出して中庭のフードコート――先生有志による出店で売上競争には参加している――に向かった。
「……かっわいいなあ、櫂斗。写真撮らせろよ」
開口一番、ほのかが言って。
「かーちゃんに見せないなら、撮らしてやる」
「ばかじゃねーの? 見せるに決まってんだろ。即ラインするわ」
「じゃあヤだ」
「ほら、芳賀、そこに並べ」
「聞けよ、人の話をよ!」
いつものほのかと櫂斗のやり取りの横で、完全に朋樹は硬直していて。
「……トモさん? どしたの?」
とりあえず、櫂斗が心配そうに覗き込む。
が、朋樹はただただ小さく首を横に振って。
「バグってんな、こいつ」ほのかが鼻で笑って。
「何おまえ、そのカッコすんのゆってなかったわけ?」
「ゆっといたよ、いちお。可愛いカッコすっから、見に来てねって」
ちょっとだけ、教室にいた時のように可愛いフリして。
「あー。想像以上だったわけか。ま、いいや。ほっといて、お二人さん紹介してよ」
ほのかに促されたから、
「あそっか。ごめん。こっちが穂高、でこっちが莉沙。んで、この口の悪い美女がほのかで、そっちで固まってるのがトモさん」
と、さらっと二人に二人を紹介して。
「あ……まじ、めっちゃ美人ですね」
「あーそーゆの、いらねーから。んな子供のウチからお世辞なんか言わなくていいんだよ」
穂高が茫然とほのかの容姿を讃えても、当たり前にほのかは鼻で笑って流してしまう。
「あたし、全然イけます」
「はい?」
「ほのかさん、オトモダチになりたいっす」
莉沙が、そう言ってほのかの手を取った。
「あー莉沙って女子にモテるし実際女の子、好きだよね」
櫂斗が笑う。
「そーなん? じゃ、よろしくね。自分も可愛い女の子好きだよ。仲良くしよーね」
あっさりとほのかがスマホを出して、莉沙とライン交換なんかして。
おまけに猫娘やっている莉沙にポーズさせてツーショットなんて撮っている辺り、いかにも女子である。
「いい加減、戻んないかな、トモさん。俺、可愛くない?」
朋樹の前で可愛いフリをするのは、当然わざとである。
きっと“ノーサツ”されてる、なんて櫂斗はわかっているから。
ちょっとセクシーなウィンクなんてして。
「……櫂斗……」やっと、目が合う。
「あ、戻った。ね、写真、撮ろ」
にっこり笑ってツーショットを自撮り。
「似合ってるよ、櫂斗」
穂高が自然にそう言う。
猫娘姿の櫂斗が朋樹の横に並んでいる絵は普通にカップルだから。
「ん、ありがと。ま、ココではあんまし、いつものようにはできないけどね」
学校で恋人同士、なんて堂々とはできないから。
とりあえず一つのテーブルを囲んで、このメンバーの中でだけなら“カップル”でいられる。
「えっと、朋樹さん。櫂斗、よろしくです」
穂高が、言う。それはもう、半分保護者のような感覚。
自分の親友を、どうか幸せにしてやって下さいと。
「あ。じゃああたしら、二人で回るんで」
「え? 一緒に回んないの?」
ほのかが訊くと。
「いちお、あたしらもカップルなんで。ちょい、その辺でラブって来ますわ」
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