108 / 167
<4>
☆☆☆
しおりを挟む
「ダイジョブだよ。俺、も、絶対誰にも触らせないし。もっと筋トレして体でっかくして、誰にも襲われないくらいガタイよくするから」
「……まあ、そんな体型になった櫂斗も、愛し続ける自信はあるけど。でも、櫂斗は可愛いままがいい」
「見てろよ。絶対筋肉モリモリマッチョマンになってやっから」
「やめてえ」
朋樹が半分悲鳴のような声を出すけど。
できるものなら本当に筋肉付けて体を大きくしたいけれど、多分それは無理な話で。
野球を諦めた時から、自分の体には見切りをつけている。
細くて華奢で。一応腹筋だけはなんとなくついているけれど、腕も脚も腰も、もうどうしようもなくて。
でも、絶対に自分の身は自分で護る。
それだけは決める。
だって自分だけのモノじゃないから。
大好きな朋樹が、大好きだと言ってくれる自分だから。
油断しちゃ、ダメだと思う。
今日みたいなこと、そうそうあるわけないだろうけれど。
穂高がいなかったら、どうなっていたかなんて怖すぎる。
「できる限り、俺が護るからね、櫂斗」
「そんなことゆってるトモさんの方が、俺は心配だから。トモさんのことは俺が護るね」
二人してそんなことを言って、くすくす笑う。
「今度、櫂斗の友達にも会えたらいいな」
「え?」
「だって。俺の見てないトコで、櫂斗のこと護って貰いたい」
「あー……ね」
ま、でも穂高が護るのは俺じゃないし。
きっと今頃莉沙と二人、らぶらぶになってるハズだから。
えっちはしてるかどうか微妙だけど、気持ちを通わせることくらい、ちゃんとしてるハズ。
「じゃあ、俺も瀬川さんにゆっとこ。トモさんがふわふわしてないか、ちゃんと見張っててねって」
「ん。瀬川、知ってるから」
「え?」
今度は櫂斗が目を丸くする。
「俺と櫂斗が付き合ってるって、瀬川にバレてた。あいつ、店にも時々来てるし」
「……そっか」
“おがた”にいる二人を見れば、確かにそれはそうだろう。
櫂斗の朋樹を見る目は完全に恋してるし、朋樹が櫂斗を可愛いと思っているのなんて、そんなのもう、歴然としているから。
「瀬川、応援してくれた」
「相手、俺でいいって?」
「誉めてたよ。しっかりしてるって」
「朔に高校生じゃねーって言われた。でも、いいんだ。俺、早く大人になりたいし」
悪口のつもりで言ったんだろうけど、櫂斗にとってはそんなの全然逆だから。
「知ってた?」
「え?」
「オトナになりたいって言ってるヤツは子供なんだよ?」
珍しく、朋樹が櫂斗を言いくるめる。
くふくふ笑いなんていう、櫂斗の専売特許を朋樹がしてみせるから。
「くっそ。ちょっと、悔しい」
「櫂斗、まだまだおこちゃまだねえ」
「トモさんに言われたくないし」
むー、とふくれっ面をしている可愛い櫂斗の頭を、ぐりぐりと撫でながら。
「大人になんか、ならなくていいよ。櫂斗はもっと子供っぽく甘えて、ワガママ言えばいいんだ」
居酒屋なんて言う大人の世界で育った櫂斗だから、きっと本来の子供っぽさなんてどこかに捨てて来てて。
可愛く笑うのも、甘えたフリするのも、全部きっとそれは回りの大人が求めている姿で。
聡いせいでそれを演じることこそが、自分の求められている“役”だとわかっているのだろう。
なら、そんなの自分の前で演じなくていい。
本気の部分で甘えてワガママ言って、欲しいものを欲しいと言ってくれればいい。
そしてそれに、できる限り応えたいと朋樹は思う。
そりゃ、自分がポンコツなのはわかっているし、店で仕事している分にはめちゃくちゃ櫂斗を頼っているけれど。でも、その分二人きりになった時は、櫂斗をそのままの櫂斗として愛したい。
俺だけのトモさんでいて、というならば、絶対に櫂斗だけのモノでいるし。
俺だけ見てて、なんて可愛いワガママ、もう永遠にきいてやれるから。
「でもトモさん、俺いないと“おがた”の週末は回んないよ?」
「……ごめん、そこだけは甘えさせて」
「ま、代わりにトモさんちで甘えまくるけどね」
「いくらでも。櫂斗はうちで赤ちゃん返りすればいい」
「トモさんが抱っこしてくれるから?」
言われるままに、ぎゅ、と抱きしめる。
小さい子供を抱くように、優しく包み込んで。
「どんな櫂斗でもいんだよ。赤ちゃんでも、高校生でも。俺の腕ん中にいれば、ずっと護ってやるから」
「ん」
やわやわと、櫂斗の体を味わう。
細いけど、ちゃんと筋肉はついていて、野球やっていたせいなのか、お尻なんてぷりぷりだし。
どこを触っても“ん”なんてちょっとした反応を返してくれるから、それも嬉しい。
ずっと触っていたい、ずっと抱いていたい。
「トモさん」
「ん?」
「もっかい、シよ」
またこの、エロい目が堪らないわけで。
いくらでもシてやれる、と思うから。いや、むしろこっちがシたいんだけど。
つるつるの頬に手を添えて、唇を重ねる。
キスを合図に、再びその場の空気が熱を持つ。
結局何度も何度も交わって、その夜櫂斗の意識がなくなるまでずっと、朋樹はその愛しい体を抱いていた。
「……まあ、そんな体型になった櫂斗も、愛し続ける自信はあるけど。でも、櫂斗は可愛いままがいい」
「見てろよ。絶対筋肉モリモリマッチョマンになってやっから」
「やめてえ」
朋樹が半分悲鳴のような声を出すけど。
できるものなら本当に筋肉付けて体を大きくしたいけれど、多分それは無理な話で。
野球を諦めた時から、自分の体には見切りをつけている。
細くて華奢で。一応腹筋だけはなんとなくついているけれど、腕も脚も腰も、もうどうしようもなくて。
でも、絶対に自分の身は自分で護る。
それだけは決める。
だって自分だけのモノじゃないから。
大好きな朋樹が、大好きだと言ってくれる自分だから。
油断しちゃ、ダメだと思う。
今日みたいなこと、そうそうあるわけないだろうけれど。
穂高がいなかったら、どうなっていたかなんて怖すぎる。
「できる限り、俺が護るからね、櫂斗」
「そんなことゆってるトモさんの方が、俺は心配だから。トモさんのことは俺が護るね」
二人してそんなことを言って、くすくす笑う。
「今度、櫂斗の友達にも会えたらいいな」
「え?」
「だって。俺の見てないトコで、櫂斗のこと護って貰いたい」
「あー……ね」
ま、でも穂高が護るのは俺じゃないし。
きっと今頃莉沙と二人、らぶらぶになってるハズだから。
えっちはしてるかどうか微妙だけど、気持ちを通わせることくらい、ちゃんとしてるハズ。
「じゃあ、俺も瀬川さんにゆっとこ。トモさんがふわふわしてないか、ちゃんと見張っててねって」
「ん。瀬川、知ってるから」
「え?」
今度は櫂斗が目を丸くする。
「俺と櫂斗が付き合ってるって、瀬川にバレてた。あいつ、店にも時々来てるし」
「……そっか」
“おがた”にいる二人を見れば、確かにそれはそうだろう。
櫂斗の朋樹を見る目は完全に恋してるし、朋樹が櫂斗を可愛いと思っているのなんて、そんなのもう、歴然としているから。
「瀬川、応援してくれた」
「相手、俺でいいって?」
「誉めてたよ。しっかりしてるって」
「朔に高校生じゃねーって言われた。でも、いいんだ。俺、早く大人になりたいし」
悪口のつもりで言ったんだろうけど、櫂斗にとってはそんなの全然逆だから。
「知ってた?」
「え?」
「オトナになりたいって言ってるヤツは子供なんだよ?」
珍しく、朋樹が櫂斗を言いくるめる。
くふくふ笑いなんていう、櫂斗の専売特許を朋樹がしてみせるから。
「くっそ。ちょっと、悔しい」
「櫂斗、まだまだおこちゃまだねえ」
「トモさんに言われたくないし」
むー、とふくれっ面をしている可愛い櫂斗の頭を、ぐりぐりと撫でながら。
「大人になんか、ならなくていいよ。櫂斗はもっと子供っぽく甘えて、ワガママ言えばいいんだ」
居酒屋なんて言う大人の世界で育った櫂斗だから、きっと本来の子供っぽさなんてどこかに捨てて来てて。
可愛く笑うのも、甘えたフリするのも、全部きっとそれは回りの大人が求めている姿で。
聡いせいでそれを演じることこそが、自分の求められている“役”だとわかっているのだろう。
なら、そんなの自分の前で演じなくていい。
本気の部分で甘えてワガママ言って、欲しいものを欲しいと言ってくれればいい。
そしてそれに、できる限り応えたいと朋樹は思う。
そりゃ、自分がポンコツなのはわかっているし、店で仕事している分にはめちゃくちゃ櫂斗を頼っているけれど。でも、その分二人きりになった時は、櫂斗をそのままの櫂斗として愛したい。
俺だけのトモさんでいて、というならば、絶対に櫂斗だけのモノでいるし。
俺だけ見てて、なんて可愛いワガママ、もう永遠にきいてやれるから。
「でもトモさん、俺いないと“おがた”の週末は回んないよ?」
「……ごめん、そこだけは甘えさせて」
「ま、代わりにトモさんちで甘えまくるけどね」
「いくらでも。櫂斗はうちで赤ちゃん返りすればいい」
「トモさんが抱っこしてくれるから?」
言われるままに、ぎゅ、と抱きしめる。
小さい子供を抱くように、優しく包み込んで。
「どんな櫂斗でもいんだよ。赤ちゃんでも、高校生でも。俺の腕ん中にいれば、ずっと護ってやるから」
「ん」
やわやわと、櫂斗の体を味わう。
細いけど、ちゃんと筋肉はついていて、野球やっていたせいなのか、お尻なんてぷりぷりだし。
どこを触っても“ん”なんてちょっとした反応を返してくれるから、それも嬉しい。
ずっと触っていたい、ずっと抱いていたい。
「トモさん」
「ん?」
「もっかい、シよ」
またこの、エロい目が堪らないわけで。
いくらでもシてやれる、と思うから。いや、むしろこっちがシたいんだけど。
つるつるの頬に手を添えて、唇を重ねる。
キスを合図に、再びその場の空気が熱を持つ。
結局何度も何度も交わって、その夜櫂斗の意識がなくなるまでずっと、朋樹はその愛しい体を抱いていた。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
貢がせて、ハニー!
わこ
BL
隣の部屋のサラリーマンがしょっちゅう貢ぎにやって来る。
隣人のストレートな求愛活動に困惑する男子学生の話。
社会人×大学生の日常系年の差ラブコメ。
※現時点で小説の公開対象範囲は全年齢となっております。しばらくはこのまま指定なしで更新を続ける予定ですが、アルファポリスさんのガイドラインに合わせて今後変更する場合があります。(2020.11.8)
■2024.03.09 2月2日にわざわざサイトの方へ誤変換のお知らせをくださった方、どうもありがとうございました。瀬名さんの名前が僧侶みたいになっていたのに全く気付いていなかったので助かりました!
■2024.03.09 195話/196話のタイトルを変更しました。
■2020.10.25 25話目「帰り道」追加(差し込み)しました。話の流れに変更はありません。
目が覚めたら囲まれてました
るんぱっぱ
BL
燈和(トウワ)は、いつも独りぼっちだった。
燈和の母は愛人で、すでに亡くなっている。愛人の子として虐げられてきた燈和は、ある日家から飛び出し街へ。でも、そこで不良とぶつかりボコボコにされてしまう。
そして、目が覚めると、3人の男が燈和を囲んでいて…話を聞くと、チカという男が燈和を拾ってくれたらしい。
チカに気に入られた燈和は3人と共に行動するようになる。
不思議な3人は、闇医者、若頭、ハッカー、と異色な人達で!
独りぼっちだった燈和が非日常な幸せを勝ち取る話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる