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「ダンスの芸術点だけは、年功序列になんないからさ。あれで去年は二年が優勝したじゃん?」
櫂斗も自分のペットボトルから水分補給して。
「今年も勝つって三年が鼻息荒いらしくて、莉沙も必死でダンス部と練習してた」
莉沙が頑張っていることなんて、櫂斗だって知ってる。
「ん。あいつ、負けず嫌いだしな。手足長いし、映えるからダンス部と一緒にセンター付近で踊るらしくて。昨日も結構遅くまで残って練習してたし。ま、それは映像残してやんないと、だろ?」
「そんな目立ったらさ、莉沙、誰かに取られるんじゃね?」
櫂斗がここぞとばかりに煽る。が。
「あー、一年女子に?」穂高が笑う。
「そうそう。もはやタカラヅカ状態だもんな、莉沙……じゃなくて。本気で他の男にかっさらわれっぞ?」
ノリツッコミしてる場合じゃないだろうが。
「んー。どおだろーねえ」
「え、何? 穂高さん、莉沙は自分にしか靡かねえって自信満々ってこと?」
「ちげーわ、ばーか」
「やだ、もう俺のモノってこと? 知らんかったー、きゃあ、穂高さんってば、やるう」
「きしょいからやめれ」
ぶりぶりしてふざける櫂斗を睨む。
「別に、莉沙は俺のモンじゃねーし。実際、誰かほかのヤツが莉沙んこといいなって言うならさ、そいつと付き合うのってもう、止める権利は俺にはねーし」
「あると思うけど」
何達観してんだよ、と逆に櫂斗が睨む。
「小学校だぜ? も、時効だろ」
「どーゆー“時効”だよ?」
使い方違くねーか、と突っ込むと。
「莉沙と俺の話はいんだよ。も、ほっといて」
「えー、俺としては二人がらぶらぶになるの、楽しみにしてんだけど?」
「たとえなったとしても、おまえの前では見せるつもりはない」
「うわ、ずる。隠すなよー」
「隠してんの、おまえの方じゃん」
穂高の言葉に、虚を衝かれる。
隠しているつもりは、ないけれど。でも……隠さないといけない事実は、あるから。
「でもごめん、俺ら、見ちゃった」
「……何を?」
さすがに、固まる。
朋樹と二人で外を出歩く時に、隠さないで当たり前に手を繋いでいるから。
そんな姿を見られれば、見る人が見れば二人の関係なんて明白で。
「こないださ。夏休み終わりくらいかなー、莉沙とマック行ったらさ。おまえ、彼女とめちゃくちゃらぶらぶでデートしてたから。さすがに声かけらんなくて」
穂高がニヤニヤしながら言う。
「すっげー可愛いのな、彼女。あれはもう、ずりーわおまえ。見せたくないってのも、ま、わからんでもないし」
「……」
一瞬、迷う。
否定すべきか。それとも、このままほのかを隠れ蓑にさせてもらうか。
「年上の美女なんかさー、そんなんこっちからしてみれば羨ましい以外のナニモンでもねーしさー。だからって俺に隠すことねーじゃん。別に、ジャマなんかする気ねーし」
「いや、まあ……うん。あいつが、そーゆーの嫌がるから」
「照れ屋さん? 何それ、めっちゃモえんじゃん。くそー。いいなあ、櫂斗」
とりあえず、ごめん、と心の中で朋樹とほのか二人に謝っておく。
「俺のことはいんだよ、もう」
「へえへえ。出来上がったカップルなんて、俺には眩し過ぎるしな」
櫂斗があまりソコに触れられたくない、という雰囲気なのは穂高にもわかるから。
あっさりと話を変えてくれた。
「そいえば莉沙、ムカデ出るらしい。あいつ背が高いから、男子と組まされるって言ってたけど。面白そうだから一緒に応援してやろーぜ」
櫂斗も自分のペットボトルから水分補給して。
「今年も勝つって三年が鼻息荒いらしくて、莉沙も必死でダンス部と練習してた」
莉沙が頑張っていることなんて、櫂斗だって知ってる。
「ん。あいつ、負けず嫌いだしな。手足長いし、映えるからダンス部と一緒にセンター付近で踊るらしくて。昨日も結構遅くまで残って練習してたし。ま、それは映像残してやんないと、だろ?」
「そんな目立ったらさ、莉沙、誰かに取られるんじゃね?」
櫂斗がここぞとばかりに煽る。が。
「あー、一年女子に?」穂高が笑う。
「そうそう。もはやタカラヅカ状態だもんな、莉沙……じゃなくて。本気で他の男にかっさらわれっぞ?」
ノリツッコミしてる場合じゃないだろうが。
「んー。どおだろーねえ」
「え、何? 穂高さん、莉沙は自分にしか靡かねえって自信満々ってこと?」
「ちげーわ、ばーか」
「やだ、もう俺のモノってこと? 知らんかったー、きゃあ、穂高さんってば、やるう」
「きしょいからやめれ」
ぶりぶりしてふざける櫂斗を睨む。
「別に、莉沙は俺のモンじゃねーし。実際、誰かほかのヤツが莉沙んこといいなって言うならさ、そいつと付き合うのってもう、止める権利は俺にはねーし」
「あると思うけど」
何達観してんだよ、と逆に櫂斗が睨む。
「小学校だぜ? も、時効だろ」
「どーゆー“時効”だよ?」
使い方違くねーか、と突っ込むと。
「莉沙と俺の話はいんだよ。も、ほっといて」
「えー、俺としては二人がらぶらぶになるの、楽しみにしてんだけど?」
「たとえなったとしても、おまえの前では見せるつもりはない」
「うわ、ずる。隠すなよー」
「隠してんの、おまえの方じゃん」
穂高の言葉に、虚を衝かれる。
隠しているつもりは、ないけれど。でも……隠さないといけない事実は、あるから。
「でもごめん、俺ら、見ちゃった」
「……何を?」
さすがに、固まる。
朋樹と二人で外を出歩く時に、隠さないで当たり前に手を繋いでいるから。
そんな姿を見られれば、見る人が見れば二人の関係なんて明白で。
「こないださ。夏休み終わりくらいかなー、莉沙とマック行ったらさ。おまえ、彼女とめちゃくちゃらぶらぶでデートしてたから。さすがに声かけらんなくて」
穂高がニヤニヤしながら言う。
「すっげー可愛いのな、彼女。あれはもう、ずりーわおまえ。見せたくないってのも、ま、わからんでもないし」
「……」
一瞬、迷う。
否定すべきか。それとも、このままほのかを隠れ蓑にさせてもらうか。
「年上の美女なんかさー、そんなんこっちからしてみれば羨ましい以外のナニモンでもねーしさー。だからって俺に隠すことねーじゃん。別に、ジャマなんかする気ねーし」
「いや、まあ……うん。あいつが、そーゆーの嫌がるから」
「照れ屋さん? 何それ、めっちゃモえんじゃん。くそー。いいなあ、櫂斗」
とりあえず、ごめん、と心の中で朋樹とほのか二人に謝っておく。
「俺のことはいんだよ、もう」
「へえへえ。出来上がったカップルなんて、俺には眩し過ぎるしな」
櫂斗があまりソコに触れられたくない、という雰囲気なのは穂高にもわかるから。
あっさりと話を変えてくれた。
「そいえば莉沙、ムカデ出るらしい。あいつ背が高いから、男子と組まされるって言ってたけど。面白そうだから一緒に応援してやろーぜ」
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