42 / 167
<2>
-2-
しおりを挟む
「俺、トモさんに合鍵貰ったんだー」
月曜日。
今日も朋樹は“おがた”に現れない。
明日、成績に関わる大事なプレゼンがあるらしく、今日は授業が終わってから朝まで仕上げ作業に追われるらしい。
ということを、櫂斗は朋樹から知らされていて。
なので、ほのかと二人体制。
だから当然、夕賄いは櫂斗の惚気タイムとなるわけで。
「もお櫂斗、ウザい。芳賀とえっちした報告なんか、聞きたかねーわ」
ほのかの手刀が櫂斗の額に決まる。
「…………」
無言でほんのり目の周囲が赤くなる、という櫂斗の反応に、ほのかは唖然とした。
「まじで、ヤったの?」
さすがに声を潜める。親に聞かせていい話じゃないだろう、と。
「……ちょっとだけ、ぽいことだけ、だけど」
コソコソと、赤面しながら櫂斗が答える。
「う、わー。まじかー。何だろう、詳細聴きたいけど、でも聴くの怖いな」
「言わねーって。詳しい話なんか、できるわけないじゃん」
女子じゃねーんだから、と櫂斗はほのかを軽く睨む。
「いや、まあいっけどさ。あんたらが幸せならそれで」
ふ、と鼻で笑うとほのかが麦茶の入ったコップを「おめでと」と櫂斗のそれに合わせた。
「なんかさ、俺今、幸せ過ぎて怖いんだよね」
「……もうお腹いっぱいなんだけど?」
「だってさー、聞いてよー。俺、やっと言って貰ったんだよ、トモさんに」
「…………」
黙ったまま、スルーしようとしていたほのかに、櫂斗が掌を耳へと扇ぐ。
「え、何をって訊かないといけないわけ?」
「うん訊いて」「それ、まじでウザいヤツな」
なんだかんだ言っているけれど、櫂斗が幸せそうにノロケるのを聞いてやるのは、実はほのかにも幸せな時間だったりする。
道ならぬ恋、なんてゆーものを人知れず突っ走っているほのかだから。可愛い弟的存在である櫂斗には幸せな道を歩んで欲しいと願う。まあ、同性ってカベがあるのは確かだが。
にこにこ、にこにこ。
いつものようにふわっふわな笑顔をして「トモさんがね、俺のこと大好きだって言ってくれたんだ」なんて、聞いているこっちが恥ずかしくなるようなことを、ホントに幸せそうに語る櫂斗が。
自分にとっても“癒し”なんだろうな、とは、口が裂けても本人には言わないけど。
月曜日。
今日も朋樹は“おがた”に現れない。
明日、成績に関わる大事なプレゼンがあるらしく、今日は授業が終わってから朝まで仕上げ作業に追われるらしい。
ということを、櫂斗は朋樹から知らされていて。
なので、ほのかと二人体制。
だから当然、夕賄いは櫂斗の惚気タイムとなるわけで。
「もお櫂斗、ウザい。芳賀とえっちした報告なんか、聞きたかねーわ」
ほのかの手刀が櫂斗の額に決まる。
「…………」
無言でほんのり目の周囲が赤くなる、という櫂斗の反応に、ほのかは唖然とした。
「まじで、ヤったの?」
さすがに声を潜める。親に聞かせていい話じゃないだろう、と。
「……ちょっとだけ、ぽいことだけ、だけど」
コソコソと、赤面しながら櫂斗が答える。
「う、わー。まじかー。何だろう、詳細聴きたいけど、でも聴くの怖いな」
「言わねーって。詳しい話なんか、できるわけないじゃん」
女子じゃねーんだから、と櫂斗はほのかを軽く睨む。
「いや、まあいっけどさ。あんたらが幸せならそれで」
ふ、と鼻で笑うとほのかが麦茶の入ったコップを「おめでと」と櫂斗のそれに合わせた。
「なんかさ、俺今、幸せ過ぎて怖いんだよね」
「……もうお腹いっぱいなんだけど?」
「だってさー、聞いてよー。俺、やっと言って貰ったんだよ、トモさんに」
「…………」
黙ったまま、スルーしようとしていたほのかに、櫂斗が掌を耳へと扇ぐ。
「え、何をって訊かないといけないわけ?」
「うん訊いて」「それ、まじでウザいヤツな」
なんだかんだ言っているけれど、櫂斗が幸せそうにノロケるのを聞いてやるのは、実はほのかにも幸せな時間だったりする。
道ならぬ恋、なんてゆーものを人知れず突っ走っているほのかだから。可愛い弟的存在である櫂斗には幸せな道を歩んで欲しいと願う。まあ、同性ってカベがあるのは確かだが。
にこにこ、にこにこ。
いつものようにふわっふわな笑顔をして「トモさんがね、俺のこと大好きだって言ってくれたんだ」なんて、聞いているこっちが恥ずかしくなるようなことを、ホントに幸せそうに語る櫂斗が。
自分にとっても“癒し”なんだろうな、とは、口が裂けても本人には言わないけど。
0
お気に入りに追加
33
あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

佐藤君のおませな冒険
円マリ子
BL
高校三年生の佐藤君は、クラスメイトの西田君と化学教師•橘先生の秘密の関係を知り平凡な日常が一変する。
当惑しながらも二人に導かれて佐藤君のマゾ性が開花していくのだった……。
1999年辺りの時代を想定しています
《登場人物メモ》
佐藤 健一:18歳、高校三年生
西田 明:18歳、高校三年生
橘 智彦:38歳、化学教師
※ムーンライトノベルズにも掲載しています

塾の先生を舐めてはいけません(性的な意味で)
ベータヴィレッジ 現実沈殿村落
BL
個別指導塾で講師のアルバイトを始めたが、妙にスキンシップ多めで懐いてくる生徒がいた。
そしてやがてその生徒の行為はエスカレートし、ついに一線を超えてくる――。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる