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「おいし? ね、トモさん、美味しい?」
 冷蔵庫に入っていたコーラで乾杯して、櫂斗の作った春巻きを食べた朋樹に、櫂斗が問う。
「ん、旨いよ。凄いね、櫂斗。俺手作りの春巻きなんか、こっち来て初めて食ったわー」
「あー、うちの店基本的に中華は出さないもんね。和食メインだし」

 さすがに自分で春巻きなんて作ったことなんてなかった櫂斗だから、スマホでググりながら春巻きの皮と格闘して。
 手伝わなくていいよ、と言った手前孤軍奮闘で完成した春巻きの山を、リビングでまったりテレビを観て寛いでいた朋樹の前に出すと、「おお!」なんて感動してくれたから。
 なんか、それだけでも嬉しくて。

「良かった。じゃあトモさん、コレ食べ終わったらご褒美ね」
 櫂斗も一口齧ってみる。

 うん、旨い。我ながら天才。
 なんてくふくふ笑う。

「はいはい。何したらいい? どっか出掛ける? それか、さっきレンタルしてきた映画観る?」
 いつだって櫂斗のねだる“ご褒美”は、一緒に何かしたい、ってヤツだから。
 そんなの、全然可愛いモンだし自分だって楽しんでいる。

「じゃあ、映画観ながらベッドでえっちなことしたい」
 櫂斗は目を細め、唇の端を上げてニヤリと嗤った。

「え?」
「そろそろよくない? まだ、ちゅうしかしてないし。俺だって健康な男子だもん、そーゆー願望はめっちゃあるし」
 おまけにさっき、ばーちゃんに煽られたし。

「え……って……え?」
 朋樹がいつものように狼狽しているのが可愛くて。

「最後までヤんなくていいけどさ、でも俺トモさんの裸見たり触ったりしたい」
「お、お、俺、の? は……裸って……え?」
「知ってるもんね、俺。トモさんって意外と筋肉質なの。見た目細いけど、腕とか触ったらムキムキしてるし、こないだ着替えてるの見たら腹筋バキバキだったし」
「か……櫂斗?」
 Tシャツの上から腹筋を撫でながら、櫂斗が言う。
 目を白黒させておろおろする朋樹、なんてのが櫂斗にとっては大好物だったりするので、もちろんわざとセクシーな目つきでエロく触っているわけだが。

「首元だって、トモさん白いからちょー色っぽいし、ぷるっぷるな唇はもう俺のってマーキングしてるけど、他のトコにもマーキングしときたい」
 見えている白い首筋に、ちゅ、とキスして。

 煽られてしまった朋樹が思わず櫂斗の細い肩を抱こうとしたけれど。

 次の瞬間。
「ま、でも先にお腹、満たさないとね」するり、と身を引いて「いただきます」なんて春巻きに手を伸ばすから。

「……どっちだよお」
 朋樹はがっくりと項垂れた。
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