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「ええー! 何で今年も僕なの? 姫は一年生の仕事じゃないのお?」
音楽準備室で、今年も恵那と二人拉致られて。
「だって俺のリクエストだし」
と嗤っているのは徹。
文化祭が終わり、幹部の交代式の日。
今回の引継ぎで部長となったのは芝崎だった。
最初徹が恵那に打診したのだが「俺が人まとめんのなんか、ムリムリ。向いてねーし、絶対反逆者が出て革命が起こる」と断固として宜わず。
かと言ってこの恵那の手綱を引ける者が、他にいるのかと言われると本当に困り果て。
ふと目についたのが芝崎だったのだ。
なんだかんだ恵那とはうまく付き合っていて、何もかもに頷くイエスマンでもなければ、恵那の存在をちゃんと認めて隣で並走できる人間だと思われて。
元々人の上に立つタイプの人間ではないだろうが、肝の太さは恵那がフォローするだろうし、楽器の腕前は部内でも上位にランク付けされる。一年生も、芝崎なら付いてくるだろうということは、同じサックスパートだから徹にはわかる。
ならばと芝崎に部長を任命し、そこから木管・金管のセクションリーダーやコンマス、庶務も決まって行き、最後に“姫”候補問題が残ってしまったのだ。
なんとなれば、今年の一年生は誰もかれもが基本的にガタイがいい。食い物のせいか時代のせいか、日向が辛うじて百七十を切っているが、それ以外は軒並み超えていて。“シンデレラフィット”してくれそうな一年生が見当たらない。
それもあって徹が「俺、佐竹しかあの制服が似合うヤツはいねーと思う」なんて言って。
涼のJK姿なんて、見たくない人間なんて誰一人いないから。
当たり前に、その日音楽室に入って来た二人を芝崎が拉致ったのである。
「ねえ、見てわかんない? もう僕、こんなに逞しくなっちゃってんだよ? 背だって伸びたし、こんな可愛い制服、似合うわけないじゃん」
涼が主張するが、
「でも俺も、涼のJK姿はもっかい見れるモンなら見たいと思ってたけど」と恵那がさらりと返して。
「百六十五、だろ? うん、大丈夫、多少丈が短くてエロ要素増えるくらいで、ほら、胸とかまんまだから、入る入る」
そう言って恵那が遠慮なく涼の胸を揉んで。
「セクハラ!」
「そういうことは、Aカップ以上のおっぱいを育ててから言ってくれ」
恵那と違ってプロテインも飲んでなければ筋トレとも無縁の生活をしている涼である。胸筋なんてあるわけがない。ぺったんこの可愛いお胸はともかく、手足の細さは女子が恐れをなす代物だから。
「はい、黙ってお着替えしておいで。俺が全身くまなく撮影してあげるから」
「もお! えなのばか!」
ぷーっと膨れながらも、去年と同じようにトルソから制服を剥がし取ると、準備室を出て着替えに行った。
「ええー! 何で今年も僕なの? 姫は一年生の仕事じゃないのお?」
音楽準備室で、今年も恵那と二人拉致られて。
「だって俺のリクエストだし」
と嗤っているのは徹。
文化祭が終わり、幹部の交代式の日。
今回の引継ぎで部長となったのは芝崎だった。
最初徹が恵那に打診したのだが「俺が人まとめんのなんか、ムリムリ。向いてねーし、絶対反逆者が出て革命が起こる」と断固として宜わず。
かと言ってこの恵那の手綱を引ける者が、他にいるのかと言われると本当に困り果て。
ふと目についたのが芝崎だったのだ。
なんだかんだ恵那とはうまく付き合っていて、何もかもに頷くイエスマンでもなければ、恵那の存在をちゃんと認めて隣で並走できる人間だと思われて。
元々人の上に立つタイプの人間ではないだろうが、肝の太さは恵那がフォローするだろうし、楽器の腕前は部内でも上位にランク付けされる。一年生も、芝崎なら付いてくるだろうということは、同じサックスパートだから徹にはわかる。
ならばと芝崎に部長を任命し、そこから木管・金管のセクションリーダーやコンマス、庶務も決まって行き、最後に“姫”候補問題が残ってしまったのだ。
なんとなれば、今年の一年生は誰もかれもが基本的にガタイがいい。食い物のせいか時代のせいか、日向が辛うじて百七十を切っているが、それ以外は軒並み超えていて。“シンデレラフィット”してくれそうな一年生が見当たらない。
それもあって徹が「俺、佐竹しかあの制服が似合うヤツはいねーと思う」なんて言って。
涼のJK姿なんて、見たくない人間なんて誰一人いないから。
当たり前に、その日音楽室に入って来た二人を芝崎が拉致ったのである。
「ねえ、見てわかんない? もう僕、こんなに逞しくなっちゃってんだよ? 背だって伸びたし、こんな可愛い制服、似合うわけないじゃん」
涼が主張するが、
「でも俺も、涼のJK姿はもっかい見れるモンなら見たいと思ってたけど」と恵那がさらりと返して。
「百六十五、だろ? うん、大丈夫、多少丈が短くてエロ要素増えるくらいで、ほら、胸とかまんまだから、入る入る」
そう言って恵那が遠慮なく涼の胸を揉んで。
「セクハラ!」
「そういうことは、Aカップ以上のおっぱいを育ててから言ってくれ」
恵那と違ってプロテインも飲んでなければ筋トレとも無縁の生活をしている涼である。胸筋なんてあるわけがない。ぺったんこの可愛いお胸はともかく、手足の細さは女子が恐れをなす代物だから。
「はい、黙ってお着替えしておいで。俺が全身くまなく撮影してあげるから」
「もお! えなのばか!」
ぷーっと膨れながらも、去年と同じようにトルソから制服を剥がし取ると、準備室を出て着替えに行った。
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