122 / 231
<3>
☆☆☆
しおりを挟む
「ホント? 土岐くんたちも、試合に出るの? 応援、行きたい!」
キリエが目をキラキラさせる。
「ちょっときーちゃん、あんまり無理言っちゃだめだよお」
「なんで? キリだってもう高校生になるんだよ? キリたちの学校のバスケ部と試合とかだって、あるかもじゃん」
「いやいや、きーちゃんトコ女子高だし、うちは男子高だからそれはないから」
可愛いボケ発言に、響がけらけら笑う。
「M女の女バスも結構強いねん。でも、さすがに試合はしたことないわあ。堪忍な?」
「ウチのガッコと同じような環境で、強化対象の部活には結構力入ってるしな。吹部もだけど、他にもバレー部だっけ? インターハイで県代表になってたハズ」
恵那が言うと「そゆの、学校説明会でもゆってたー。キリ、吹部が強いのに憧れて、M女にしたんだー」とにこにこ笑う。
「そう言えば、キリがM女に入る為だけに家族でこっちに引っ越してきたのか?」
県外からわざわざ、そこまでして入学するだけの魅力がM女子高校にあるとは思えなくて。いろいろな部活に力を入れているのは確かだが、そんなの各地方毎にどこにでもあるだろうから。
不思議に思った恵那が問うと。
「んなわけないじゃん。ママが再婚すんの決まって、だからこっちの高校受験したんだよ」
キリエの発言に涼以外が目を見開いた。
「あ、だから山之内じゃなくて、今度から浦田樹李江ね。まだ慣れないから変な感じだけど」
改めての自己紹介、なんてのを平然として。
「えっと。涼ちゃんのママ、英恵さんがキリのママのお姉ちゃんなのね。で、元々ママもこっちでキリ産んだんだけど、元パパの仕事の都合で前のおうちに行ってー。で、離婚したけどあっちでママ、仕事してたからその関係でそのままあっちにいて。そしたら今度はこっちで英恵さんのお友達と仲良くなって、結婚することになったの」
親の都合に振り回されちゃってんだよねー、と、なかなか濃い内容の話をさらっと言ってくれる。
「おかあさんのお友達、ってゆーかお仕事の関係者さんだけどね」
涼が軽くフォローして。
「きーちゃんのママ、めっちゃ美人さんなんだよ。それに仕事も僕のおとうさんの仕事にもちょっとだけ関わってて。そしたらなんか、もういいからこっちおいでっておとうさんも協力してくれて。いつの間にかこっち来ることになっちゃったんだよねー」
キリエと涼がお互いに「ねー」なんて目を合わせて。
まるで姉妹のような二人が可愛いのだけれど、そんなことよりその内容に三人共面くらっていた。
「あ、そーいえばきーちゃん。僕、きーちゃんにいっぱいあげるものあるんだよ」
キリエの引っ越しのドタバタと吹部の定期演奏会前のバタバタが重なったから、二人してゆっくり会うのは久しぶりだから。
「例のヤツか?」と恵那が笑う。
「そうそう。えっとねー、なんか美容関係のグッズいろいろ。僕が貰っても使い道ないから。きーちゃんにあげようと思ってたんだー」
そう言って紙袋を手渡す。
中身はファンクラブからの贈り物である。
「キリも、キリも。涼ちゃんに誕プレ渡そうと思ってたの」
キリエまでもが紙袋を取り出して、中からピンク色のラッピングが施された可愛らしい包みを涼に渡した。
「え、何なに? 嬉しい、開けてみていい?」
「ん。遅くなってごめんね」
誕生日当日にはラインでメッセージをくれていたから、涼はふるふると首を振って。
袋の中から出てきたのは。
「あ、チャムスのサコッシュだー。可愛いー」
「でしょでしょ。涼ちゃん、この水色似合うって思ったから。ま、本音ゆっちゃうとリュックあげたかったけどお小遣い足りなかったんだー」
えへー、なんてちょっと舌を出して。キリエが肩を竦めたけれど、涼は「そんなの、全然無理することないよお。気持ちだけで十分嬉しいもん」とハグ。
どこからどう見ても女子トークな二人の会話に、三人して目が細くなる。
つくづく、女子といたら当たり前に女の子になってしまう涼が、学校では当然だけれど男子なのが不思議で仕方がない。
キリエが目をキラキラさせる。
「ちょっときーちゃん、あんまり無理言っちゃだめだよお」
「なんで? キリだってもう高校生になるんだよ? キリたちの学校のバスケ部と試合とかだって、あるかもじゃん」
「いやいや、きーちゃんトコ女子高だし、うちは男子高だからそれはないから」
可愛いボケ発言に、響がけらけら笑う。
「M女の女バスも結構強いねん。でも、さすがに試合はしたことないわあ。堪忍な?」
「ウチのガッコと同じような環境で、強化対象の部活には結構力入ってるしな。吹部もだけど、他にもバレー部だっけ? インターハイで県代表になってたハズ」
恵那が言うと「そゆの、学校説明会でもゆってたー。キリ、吹部が強いのに憧れて、M女にしたんだー」とにこにこ笑う。
「そう言えば、キリがM女に入る為だけに家族でこっちに引っ越してきたのか?」
県外からわざわざ、そこまでして入学するだけの魅力がM女子高校にあるとは思えなくて。いろいろな部活に力を入れているのは確かだが、そんなの各地方毎にどこにでもあるだろうから。
不思議に思った恵那が問うと。
「んなわけないじゃん。ママが再婚すんの決まって、だからこっちの高校受験したんだよ」
キリエの発言に涼以外が目を見開いた。
「あ、だから山之内じゃなくて、今度から浦田樹李江ね。まだ慣れないから変な感じだけど」
改めての自己紹介、なんてのを平然として。
「えっと。涼ちゃんのママ、英恵さんがキリのママのお姉ちゃんなのね。で、元々ママもこっちでキリ産んだんだけど、元パパの仕事の都合で前のおうちに行ってー。で、離婚したけどあっちでママ、仕事してたからその関係でそのままあっちにいて。そしたら今度はこっちで英恵さんのお友達と仲良くなって、結婚することになったの」
親の都合に振り回されちゃってんだよねー、と、なかなか濃い内容の話をさらっと言ってくれる。
「おかあさんのお友達、ってゆーかお仕事の関係者さんだけどね」
涼が軽くフォローして。
「きーちゃんのママ、めっちゃ美人さんなんだよ。それに仕事も僕のおとうさんの仕事にもちょっとだけ関わってて。そしたらなんか、もういいからこっちおいでっておとうさんも協力してくれて。いつの間にかこっち来ることになっちゃったんだよねー」
キリエと涼がお互いに「ねー」なんて目を合わせて。
まるで姉妹のような二人が可愛いのだけれど、そんなことよりその内容に三人共面くらっていた。
「あ、そーいえばきーちゃん。僕、きーちゃんにいっぱいあげるものあるんだよ」
キリエの引っ越しのドタバタと吹部の定期演奏会前のバタバタが重なったから、二人してゆっくり会うのは久しぶりだから。
「例のヤツか?」と恵那が笑う。
「そうそう。えっとねー、なんか美容関係のグッズいろいろ。僕が貰っても使い道ないから。きーちゃんにあげようと思ってたんだー」
そう言って紙袋を手渡す。
中身はファンクラブからの贈り物である。
「キリも、キリも。涼ちゃんに誕プレ渡そうと思ってたの」
キリエまでもが紙袋を取り出して、中からピンク色のラッピングが施された可愛らしい包みを涼に渡した。
「え、何なに? 嬉しい、開けてみていい?」
「ん。遅くなってごめんね」
誕生日当日にはラインでメッセージをくれていたから、涼はふるふると首を振って。
袋の中から出てきたのは。
「あ、チャムスのサコッシュだー。可愛いー」
「でしょでしょ。涼ちゃん、この水色似合うって思ったから。ま、本音ゆっちゃうとリュックあげたかったけどお小遣い足りなかったんだー」
えへー、なんてちょっと舌を出して。キリエが肩を竦めたけれど、涼は「そんなの、全然無理することないよお。気持ちだけで十分嬉しいもん」とハグ。
どこからどう見ても女子トークな二人の会話に、三人して目が細くなる。
つくづく、女子といたら当たり前に女の子になってしまう涼が、学校では当然だけれど男子なのが不思議で仕方がない。
0
お気に入りに追加
63
あなたにおすすめの小説
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
病気になって芸能界から消えたアイドル。退院し、復学先の高校には昔の仕事仲間が居たけれど、彼女は俺だと気付かない
月島日向
ライト文芸
俺、日生遼、本名、竹中祐は2年前に病に倒れた。
人気絶頂だった『Cherry’s』のリーダーをやめた。
2年間の闘病生活に一区切りし、久しぶりに高校に通うことになった。けど、誰も俺の事を元アイドルだとは思わない。薬で細くなった手足。そんな細身の体にアンバランスなムーンフェイス(薬の副作用で顔だけが大きくなる事)
。
誰も俺に気付いてはくれない。そう。
2年間、連絡をくれ続け、俺が無視してきた彼女さえも。
もう、全部どうでもよく感じた。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる