コレは誰の姫ですか？

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　クリスマスコンサートは、校内のホールではなく市内の大き目のホールを使って開催される。ワンコインだけど有料になっていて、文化祭とは違う気合が入る。メンバーも三年生は殆ど出ないし、新体制でのファーストコンサートとも言える。

　プログラムは二部構成。
　第一部のど頭、オープニングはこれぞクリスマス、という“Sleigh Ride（そりすべり）”で始まるのが恒例で。
　そこからゴスペル曲や昔ながらのクリスマス曲をちょっと厳かな感じで演奏。
　衣装も制服ではなく、白いジャケットに赤いネクタイ、舞台にもクリスマスツリーと、LEDだけれどキャンドルもあちこちに置かれている。

　休憩を挟んで第二部。こちらはJポップのクリスマスソングを新旧織り交ぜて。一応テーマにクリスマスという大きなものがあるけれど、そこはやっぱり観客を楽しませるのがメインだから、最新ヒットソングなんてのも演奏するわけで。
　衣装もそれぞれのパート毎にサンタコスやトナカイ、ツリーなんてのもあって。
　途中でサンタ姿の顧問が白い大きな袋からちょっとしたお菓子の入ったミニブーツをちびっこ達にプレゼントしてみたり。
　趣向を凝らした、誰もが楽しめるコンサートである。

　という本番を終え、片付けまでが完了すれば明日からは冬休み。
　吹奏楽部も、ここまでほぼほぼ休日なしで駆け抜けてきたので、ここから年明けの三日間までは休暇期間に入る。
　とは言え、プライベートでコンテスト的なものに参加したい者や、休暇中にも練習をしたい者の為に音楽室は大晦日と元日以外は解放して貰えるし、自宅練習するために楽器を持ち帰るのも自由である。

「佐竹は？　楽器、持ち帰るのか？」
　学校で楽器の片付けをしていた三宅が問いかけた。
「ふっふっふー。僕、クリスマスプレゼントに、楽器買って貰った！」
　恵那譲りのドヤ顔で、フンフンと鼻息も荒く三宅にピースサイン。
「マジか！　どこのにした？　ヤマハ？」
「ハンス・ホイヤーのダブル。も、ずっと欲しくてホントは入学祝って話してたんだけど、いろいろあってやっと」
「そっかー」
「これだから金持ちのボンボンは」
　涼の背後から現れた恵那が、伸し掛かりながらそんなことを言う。
「はあ？　言っとくけど、僕だってちゃんとお小遣い貯めて、おばーちゃん達からの入学祝とか次の誕生日プレゼントとか、全部込みで買って貰ったんだからね！」
　涼の誕生日は三月である。つまり、前倒しのプレゼントということで。