コレは誰の姫ですか?

月那

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「数学の課題、教えて」
 と。
 涼が言ったから。
「じゃあ、明日ウチ来る?」
 恵那が誘った。のは、金曜日で。

「あれ? 土岐は?」
 土曜日の朝、訪れた涼は恵那が一人でいたから、訊いた。
「試合。どっかの高校行って練習試合してる。アイスコーヒーでいい?」
 トレイにグラスが二つと、お菓子が山盛りになったお皿。左手でそれを持って、右手にアイスコーヒーのペットボトルを握って。
 部屋に入るよう促して、扉を閉めた。

 ちなみに両親、仕事で不在である。
 土日関係ない営業マンな父も、どうせ高校生なんて家族がどうってもんでもないでしょと土曜日こそ忙しい近所の定食屋でパートしている母も、当たり前にいないのがわかっているから恵那が「おもてなし」する。

「とっとと終わらせて、遊ぼうぜ」
 と、恵那は数学の課題を広げた。
 月曜日に数学の小テストがあるということで。
「涼、数学苦手じゃないだろ?」
「嫌いじゃない。でも、三角比がイマイチ、わかってない感じで」
「あー。テスト範囲に入ってたね。涼、数Aは全然得意なくせに、変なトコ躓いてるよな」
「うん、中学時代は結構わかってたし」
「大丈夫だよ。慣れ、慣れ。とにかく課題終わらせよ」

 どちらかと言うと、恵那より土岐の方が成績はいい。
 でも別にバカってわけでもないし。
 グダグダ勉強するのが好きじゃないから、授業だけ聞いて理解して、あとは出された課題をやるだけ。
 高校受験の為に中学三年の時には塾に通っていたが、高校に入ってからは完全に自学自習のみだ。

 涼がわかっていない部分を恵那が説明すると、きっかけさえわかればどうってこともなかったようで、二人して課題を終えると、
「おっし。じゃあ今からどーする?」
 ノートを閉じて放り投げた。
 
 暫くは部活があったから土日も学校だったせいで、こうやって何もない休日なんて初めてで。
 せっかくだから出かけたい、と思ったのは恵那だけではなくて。

「美術館行きたい」
「はあああ? 何、そのジミなの」
「地味、ゆーなよ。前から五百藏さん好き、ゆってんじゃん? 今さー、現代美術館で近代建築についてイベントやってんの。えな、付き合ってよ」

「美術館、ねえ。俺、行ったことねーわ」
「え?」
「我が家にそんな高尚なシュミ持ってるヤツなんかいねーもん。絵とか、わからん」
「僕だって別に絵画の良し悪しなんてわかんないよ。でも、行ったことない、なんてことあり得る? 高校生でしょ?」
「るせーな。そんな大事おおごとか?」
「てか、行ったことないなら余計に。ね、僕が連れてってあげる」

 涼がちょっと上からな言い方をして。
 だってこんなの、めったにないから。
 基本的に世間知らずな涼のことを、恵那が面白がっていろいろ教えていて。
 あまりテレビだって観ないから、知らないアイドルやお笑いタレントの話なんて、響たちといたらいつだって置いてけぼりで。
 三人で下らない話で爆笑しているのに付いていけなくて「?」な顔をしている涼に、スマホでいろいろ教えてくれるのだ。
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