彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

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071 続行 ネオ・アイドルプロジェクト

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 プリフォーのシャイニング・ダークネス、この曲で一気にのし上がって見せる、その思いで作った新曲を今初めて人前で披露する。

 イントロ中に彗夏と伊莉愛はステージからはける、舞台袖で早や着替え、すでに衣装に着替えスタンバイしていた臣と心が中央に現れる。
 
 ファースト&セカンドシングル曲ではヴォーカル組の臣と心はマイクを持っていたが今回の新曲は四人共ヘッドセット(頭部に装着するマイク)をして歌う、衣装も今までと違い黒一色でダークな雰囲気を醸し出す。

 臣と心が横向き背中合わせでリズムに乗る、左右から着替え終えた彗夏と伊莉愛が現れ四人が揃う、四人が一列になり歌いだす、振り付けもばっちりだ、キャンプ合宿からみっちり特訓したフォーメーションダンスを見せつける。

 臣がシャウトし一気に音楽が膨れ上がる、俺はただじっと見ているだけなのに心臓の鼓動が早くなっていくのがわかる、それはおそらくこの場にいる全員が体感しているのではないかと思えた。
 アイドルなのに一切笑顔を見せることなく歌う四人、普段一緒にいる時とは全然違う表情だ、ロックバンドの歌を聴いている感じでもある、今のお前達めちゃくちゃカッコイイよ。

 ラストは四人が息の合ったステップからダンスを披露し音楽が鳴りやみ終了、その瞬間大勢の拍手喝采が会場に響き渡る。


 放送はここで終了、感想書き込み有の番組にしていたので視聴者の反応も欲しかったし終了後にも今日の24時までは書き込みできるページを事前に作っておいた、プリフォーにも見せてやりたいし今後の参考にもなるからな。

 「よくやったな、お疲れ様」

 無事に歌え終えた4人をねぎらう。

 「還流、どうだった!」

 臣が飛びかかってきた、俺は受け止めると先ほど歌っていた人物とは思えないほどの無邪気な笑顔を向けてくる、頭を撫でよくやったと褒めてやる、少女はシシシと笑い今度はリルの方へと向かって行った。

 目の前には心、彗夏、伊莉愛の三人が並んで立っている、俺は自然と体が動き両手いっぱい横に広げ三人を包むようにハグした。

 戸惑う三人だったが、

 「お前達最高のステージだったよ」
 
 そう伝えると三人共微笑み返してくれた。



_____________________________________


 男は胸ポケットから付髭を取り出すと鼻の下に付け、

 「はーはっはっはっはっ、はーはっはっはっはっ、はーはっはっはっはっ」

 BARの中が甲高い三段笑いで響き渡る。

 「宗さん、どうです、これが俺たちのプリミアムフォーだ」

 「フン、いい気になるなよキルト」
 
 神谷は横にいる付髭の男を見て怪訝な顔をして答える。

 「これは視聴者の反応を見ても一気にブレイクしそうですなぁ、ぶっちゃけアイドルビジネスも大変だし時期を見て辞めようかとも思っていたんですが取り消します、今後も続行だ!」

 「もう成功したとでも言いたげだな」

 「ええ、俺の直感は当たりますよ、そうだ! いっそのこと増員するか」

 「何だと」

 テーブルの上に置いてあるキルトのケータイから着信音が鳴る、電話をかけてきたのは天城シローだった。

 「おうシロー久しぶりだな、どうした?」

 「どうしたじゃねぇよ、プリフォーのライブの生放送見たぞ、皆腕上げていて凄いじゃないか!」

 「まあな、これから先もっと大きくしていくつもりだ、お前も協力しろよ」

 「ああ、落ち着いたら日本へ帰るつもりだ、今度はしばらく滞在することになるからこちらこそよろしくな、ちなみに二夜のやつも一緒に観ていたんだがかなり刺激を受けている感じだったぜ」

 「ほう、二夜もまた臣と一緒に活躍してもらいたいものだな」

 「日本には二夜も一緒に連れて行くから、じゃあまた後で連絡する」

 シローからの電話が切れるとキルトは不敵な笑みを浮かべた。

 「二夜も来るのか・・・・二夜、ニヤ、にや、NIYA・・・・に、や、28・・・・28にや

 神谷は黙って付髭の男が次に何を口に出すのか待っている。

 「良し決めた! プリフォーを入れて28人組のアイドルグループを作るぞ!」







 「何だと! ふっふざけるな!」

 神谷がカウンターを叩く音が彼の怒り具合を表している。


 「ふざけてなんていませんよ、いたって真面目に考えた事です」


 「お前は俺が仕切っているアイドル業界を荒らそうというのか!」

 「そうお考えでしたらいつものように邪魔したらいいではありませんか、プリフォーを中心に新たに24人入れてアイドルグループを作ってやりますよ」

 神谷は目を見開き付髭の男を睨み付ける。

 「あっそうだせっかく視聴者に受けが良かったしリルの番組もネットを使って月一で放送しても良いかも、盛り上げるためにも類とキララもいて欲しいなぁ」

 「なんだとぉ~」

 「映画やテレビ番組が降板されるならあいつらも暇になるし誘いに乗ってくれるだろうからな」

 「お前の思い通りにはさせんぞ!」

 「だったらあいつらに変な圧力かけるのは辞めるんだな、他の生徒にも約束通りレギュラー番組持たせてやれよ」

 歯ぎしりしながら睨み続ける神谷。

 「一昔前の時代だったら間違いなく俺もプリフォーもあんたにつぶされていただろう、だが今は実力があればのし上がることが出来る、視聴者は本当に見たいものを探して選ぶ、そんな時代だ、プリフォーは今日を境に一気にのし上がるぞ、駆け上がっていくのを見ているんだな」

 キルトは立ち上がり扇子を広げ仰ぎまたも三段笑いをすると神谷に背を向けて出口に向かって歩き出した。

 「まだ話は終わってないぞキルト!」

 怒鳴り声を無視して出口に向かうが神谷の部下2名が立ちふさがる。

 「どけっ」

 キルトは鋭い眼をしながら言い放つとその迫力に押されて部下共は後ずさる。

 ドアを開けBARを出ようとすると再度神谷宗男は大声でキルトと叫んだ、その声を聴いて立ち止まり神谷の方に顔を向ける。
 
 お互い無言のまま数秒目を合わせる・・・・糸目の男は最後に一言。

 「お前その口髭似合ってないぞ」

 神谷の言葉セリフを聞いてキルトは高笑いしながらBARを後にした。
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