上 下
66 / 78

066 賽は投げられた

しおりを挟む
 「臣ちゃん、類君、キララちゃんの三種の神器揃ったー! たとえ人数少なかろうともこれで成功まちがいなーしんぐベリーグー!」

 「リルさん、臣ちゃん、良かったね」

 伊莉愛が雄叫び心は安堵する、スタッフ達も頷く、どこからともなく拍手が鳴り会場が賑やかになった。

 「確かにこの三人に肉山君と近藤さんが居てくれれば後はリルさんが上手くやってくれるよな」

 先程迄眉間にしわを寄せていた彗夏がようやく笑顔になる。

 「それより還流の兄貴、会場前に観覧客がチラホラいたぜ」

 類が教えてくれた、時計を見ると17時を過ぎていた、本番まで一時間を切っている。

 「わかった、俺はお客さんを案内してくる、各人自分のやることに集中してくれよ」

 リルは笑顔で生徒五人に番組内での話す内容や段取りをレクチャーする。




 一人一人が本番に向けて準備を整える、俺は観覧客を迎えに行く間社長の言葉を思い返す、今回のステージ、最初にする教えてリル先生が成功するかにかかっている、それと同時に大の意識空間を作り出すことが大切だと、多くの生徒がいる中で演じる、その場の人数の多さは大切との事をだ。

 臣、類、キララ、肉山、近藤の五人、目立つポジションの子供達だし番組は盛り上がり成立させることも出来るだろうけど社長の言う大の意識空間を作り出せるのかどうか、その一点に関してのみ俺は疑問を感じていた。


_____________________________________________________________


 「さあキルト、もう間もなく始まるぞ」

 神谷宗男はワイングラスを揺らしながらキルトの表情を見て楽しんでいる。

 「そんなに落ち込むなよ、一ついい事を教えてやろう、お前の弟リルの番組で人気のある類とキララと言ったかな? その子達は出るぞ」

 「何、それは本当か?」

 「ああ、他にも芸能界を去ったやつもいるようだから五人位の生徒は居るんじゃあないのか? まぁそんな人数では番組が成りたつとは思えないがね」

 確かにリルを含めて十人以下だと大の意識、俺の理想とするステージにはならない。

 「しかし、やつらも馬鹿だな、所詮はガキって事か、私に逆らったんだ、お望み通りこの世界に居られなしてやるよ」

 「あんた本当に最低だな」

 「何とでも言え、しかしあの手の番組は色んな子達がいて楽しむものだろ? 目立つ子を集め少人数でやってしまうと全く別の番組になるんじゃないのか?」

 確かに、その通りだ、視聴者が見たがっている教えてリル先生を見せなければ・・・・別物になっては意味がない。


 「ネット番組でコメントを受け付けてしかも視聴者に見れるように設定しているんだったな、今回はそれが大きなマイナス要因になるだろうなぁフフフ」

 悔しいがそれに関しても宗さんの言う通りだ、見たかったものと違うなどネガティブなコメントが書かれてはマイナスしかない、この手の書き込みは連鎖する、悪い書き込みが多いとラストの新曲に大きく影響してしまう・・・・。
 
 「顔を上げろよキルト、始まるぞ!」

 神谷はクイっと一気にワインを飲み干した。

 神谷宗男と宝城キルトの座るカウンター席の正面にあるモニター2台、一つは『リミテッドガーデン新曲お披露目スペシャルライブ』もう一つは『復活! 一日限りの教えてリル先生』のテロップが流れ番組が始まった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

若妻の穴を堪能する夫の話

かめのこたろう
現代文学
内容は題名の通りです。

イケメンドクターは幼馴染み!夜の診察はベッドの上!?

すずなり。
恋愛
仕事帰りにケガをしてしまった私、かざね。 病院で診てくれた医師は幼馴染みだった! 「こんなにかわいくなって・・・。」 10年ぶりに再会した私たち。 お互いに気持ちを伝えられないまま・・・想いだけが加速していく。 かざね「どうしよう・・・私、ちーちゃんが好きだ。」 幼馴染『千秋』。 通称『ちーちゃん』。 きびしい一面もあるけど、優しい『ちーちゃん』。 千秋「かざねの側に・・・俺はいたい。」 自分の気持ちに気がついたあと、距離を詰めてくるのはかざねの仕事仲間の『ユウト』。 ユウト「今・・特定の『誰か』がいないなら・・・俺と付き合ってください。」 かざねは悩む。 かざね(ちーちゃんに振り向いてもらえないなら・・・・・・私がユウトさんを愛しさえすれば・・・・・忘れられる・・?) ※お話の中に出てくる病気や、治療法、職業内容などは全て架空のものです。 想像の中だけでお楽しみください。 ※お話は全て想像の世界です。現実世界とはなんの関係もありません。 ※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。 ただただ楽しんでいただけたら嬉しいです。 すずなり。

蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる

フルーツパフェ
大衆娯楽
 転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。  一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。  そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!  寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。 ――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです  そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。  大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。  相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。      

生贄にされた先は、エロエロ神世界

雑煮
恋愛
村の習慣で50年に一度の生贄にされた少女。だが、少女を待っていたのはしではなくどエロい使命だった。

隣の席の女の子がエッチだったのでおっぱい揉んでみたら発情されました

ねんごろ
恋愛
隣の女の子がエッチすぎて、思わず授業中に胸を揉んでしまったら…… という、とんでもないお話を書きました。 ぜひ読んでください。

処理中です...