彼女たちをトップアイドルに育てるのが俺が生まれた大きな理由の一つだったりするわけであり。

てたまろ

文字の大きさ
上 下
60 / 78

060 怪しい雲行き

しおりを挟む
 翌日、昨日のリハーサルが完璧だった事もあり何の心配もなく現場に入った。

 日曜夕方6時の本番に向けての準備、俺やスタッフ、カメラマンは午前中の内から現場に入っていて最終チェックをする。

 社長も本番は顔を出すとの事だったが急な用が入ったとかで来られない。

 「還流よ、すべてはお前にかかっているぞ」

 なんてプレッシャーの言葉だけ置いていくもんだから参ったよ。

 「雨木川さん、おはようございます、今日はよろしくお願いします」

 こちらこそよろしくお願いします、社長は来ないかわりに強力な助っ人が来てくれた、挨拶を交わしたのはこのネットを使っての生放送の話を持ってきてくれた劇団の団長でもある三島さんだ、彼がいることでプリフォーの演出など細かなところをサポートしてくれるので心強い、頼りになる存在だ。

 「今回はプリフォー主演のミュージカル風演劇は流れましたがあきらめてませんからね、内の団員と絡めて20名以上のキャストでいずれ挑戦しましょう」

 「ええ、その時はまたお世話になります」

 三島さんに今日の段取りを説明する、彼も社長同様最初にする教えてリル先生が今回の成功するかどうかの鍵を握っているという、久しぶりの人気番組の復活、それを見たさに視聴者が集まる、その後朗読、ダンスと繋ぎ新曲披露、この一連の流れが大切だと言うのだ。

 昨日のリハを見せたかったな、そうこうしているうちに時計の針も13時を指していたので昼食を摂りその後一息ついた辺りでリルとプリフォーが現場入りをする。

 「おーい、かえるー来たよー」

 臣が右手を振って駆け足で近づいてくる。

 「生徒役の皆はいつ頃来るんだっけ?」
 「16時過ぎだな、早い子は後二時間くらいしたら来るんじゃないのか?」
 「今日のタイムスケジュール教えて」

 臣に時間割が書かれた一枚紙を渡す。

 「本番一時間前に観覧者の方々が入って来るんだよね? 早くあいちゃんと香里奈ちゃんに会いたいなぁ」

 「わかったからここにいる関係者の皆さんに挨拶してきなさい」

 分かってる、そう言うとリルたちと共に数名のスタッフ、三島さんに挨拶を交わす。

 「還流、今日はよろしくね、セットも立派だし本番が楽しみだ」

 「ああ、しかし腹話術をやりながら生徒とのやり取りをするってのも大変だよな?」

 リルは腹話術用の環ちゃん人形を動かしながら
 「そんなことは無いでちゅ、ぼくちゃんが付いているから平気でちゅ」
 
 余裕の表情を見せてくれるので安心する。

 「マネージャー、時間まで新曲の振り付けなど再チェックしておきますね」

 リーダーの彗夏が最終チェックをしようと三人に声をかける。

 本番まで三時間を切ったか、こちらの準備は万端だ、後はぼちぼちリル先生の生徒が一人くらい来ても良い頃なんだがな・・・・。


 何だか嫌な予感がした、その思いが的中することになる、そう、本番が始まっても生徒達が全員集まることは無かったんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~

菱沼あゆ
キャラ文芸
 突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。  洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。  天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。  洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。  中華後宮ラブコメディ。

ヤンデレエリートの執愛婚で懐妊させられます

沖田弥子
恋愛
職場の後輩に恋人を略奪された澪。終業後に堪えきれず泣いていたところを、営業部のエリート社員、天王寺明夜に見つかってしまう。彼に優しく慰められながら居酒屋で事の顛末を話していたが、なぜか明夜と一夜を過ごすことに――!? 明夜は傷心した自分を慰めてくれただけだ、と考える澪だったが、翌朝「責任をとってほしい」と明夜に迫られ、婚姻届にサインしてしまった。突如始まった新婚生活。明夜は澪の心と身体を幸せで満たしてくれていたが、徐々に明夜のヤンデレな一面が見えてきて――執着強めな旦那様との極上溺愛ラブストーリー!

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

裏切りの代償

中岡 始
キャラ文芸
かつて夫と共に立ち上げたベンチャー企業「ネクサスラボ」。奏は結婚を機に経営の第一線を退き、専業主婦として家庭を支えてきた。しかし、平穏だった生活は夫・尚紀の裏切りによって一変する。彼の部下であり不倫相手の優美が、会社を混乱に陥れつつあったのだ。 尚紀の冷たい態度と優美の挑発に苦しむ中、奏は再び経営者としての力を取り戻す決意をする。裏切りの証拠を集め、かつての仲間や信頼できる協力者たちと連携しながら、会社を立て直すための計画を進める奏。だが、それは尚紀と優美の野望を徹底的に打ち砕く覚悟でもあった。 取締役会での対決、揺れる社内外の信頼、そして壊れた夫婦の絆の果てに待つのは――。 自分の誇りと未来を取り戻すため、すべてを賭けて挑む奏の闘い。復讐の果てに見える新たな希望と、繊細な人間ドラマが交錯する物語がここに。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...